2009年1月21日

ロード オブ ザ リング  二つの塔

ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 [DVD] 「Rord of the rings」 (2002年 米・ニュージーランド)
監督 ピーター・ジャクソン
原作 J.R.R.トールキン
脚本 フィリッパ・ボウエン
出演 イライジャ・ウッド(フロド) イアン・マッケラン(ガンダルフ) 
    ヴイゴ・モーテンセン(アラゴルン) ショーン・アステン(サム) 
    リヴ・タイラー(アルウェン) オーランド・ブルーム(レゴラス) 
    ケイト・ブランシェット(ガラドリエル)
旅の仲間の一人、アラルゴンの重要な位置が明確になる。彼は王位を捨てた放浪者だった。
そしてついに自分の使命を果たすべく国を守るために立ち上がる。
美 しいエルフの種族、不死の命を持つアルウエンは彼のために限りある命を選ぶ、
アルウェン(リヴタイラー)は気高く美しく、アラゴルン(ヴィゴモーテ ンセン)は勇敢で思慮深い、
また同じエルフ族のレゴラス(オーランドブルーム)もまたまれな美貌と勇気で魅力的、
弓を放つときの苦しげな表情と若い演技力で世界の女性観客を惹きつけて人気がブレイクした。
物語は魔の軍勢一万と迎え撃つ白の軍隊三百の戦いに移る、戦闘場面は壮大で独創的。
一方指輪を運ぶフロトは庭師サムの献身的な友情に助けられて少しずつ「滅びの山」に近づいていた。
指輪の持つ悪の力に体力が消耗していくが、運命だという一途さは痛々しい。
道案内には指輪の力に魅せられたゴラムがいる。彼は昔仲間を殺して指輪を奪い
それを失った今もそこに宿る悪の力を手に入れようとしている。
人々にまつわるエピソードが物語をより身近なものにして、幻想的なお伽話を現実に近づけ、
力が入る。

ロード オブ ザ リング  旅の仲間編

ロード・オブ・ザ・リング 知られざる中つ国 '旅の仲間編' [DVD] 「Rord of the rings」 (2001年 米・ニュージーランド)
監督 ピーター・ジャクソン
原作 J.R.R.トールキン
脚本 フィリッパ・ボウエン
出演 イライジャ・ウッド(フロド) イアン・マッケラン(ガンダルフ) 
    ヴイゴ・モーテンセン(アラゴルン) ショーン・アステン(サム) 
    リヴ・タイラー(アルウェン) オーランド・ブルーム(レゴラス) 
    ケイト・ブランシェット(ガラドリエル)

牧歌的な中つ国の風景の中に、魔法使いガンダルフの馬車が来て花火が上がる日、食べて飲んで楽しい生活が日常のホビットの村に指輪があったことから一転、壮大な物語が始まる。
フロドの叔父が長く隠していた指輪は実は暗黒の地獄を封じ込めた魔力を持つものだった。
有名な「指輪物語」は本で読めば長く、出だしは少し退屈する。でもこの話はのめりこむと、
もう出ることが不可能という魔力を秘めている。
現実にないさまざまな世界を映像にした、ピータージャクソンという監督の偉業といえる。
この映画は素晴らしい。登場人物のそれぞれの運命とともにスケールの大きな美しい景色、
魅力的な俳優、一部でも3時間近くかかる上映時間も短く感じられる。
指輪に操られる弱い人たち、悪の力を手に入れるため指輪を奪おうとする人々から守り、
指輪をこの世からなくすには「滅びの山」の亀裂に投げこまねければならない。
そこまでの旅の途中には恐ろしい魔物が棲み断崖絶壁に阻まれる。
指輪を狙う者同士の争いもある。そして魔王サウロンと戦うことを運命付けられた人たちの物語が続く。
指輪を運ぶ運命の子フロトと共に出発した9人の旅の仲間は魔からフロトを守り、
故郷を守る戦闘に身を挺し、それぞれの過酷な運命に翻弄される。
このファンタジックな物語が現実のスクリーンに展開することが出来たという、
今の映画技術にも圧倒される。
まさに夢と現実の合体する豊かな想像力が生み出した映画ならではの試みといえる。

2009年1月20日

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル [DVD] 「THE LIFE OF DAVID GALE」 (2003年 米)
監督 アラン・パーカー
製作 ニコラス・ケイジ アラン・パーカー リサ・モラン
脚本 チャールス・ランドルフ
出演 ケビン・スペイシー(デビッド・ゲイル) ケイト・ウインスレット(ビッツイー)
    ローラ・リネイ(コンスタンス) ガブリエル・マン(ザック)
    マット・クレイヴン(ダスティ) ット・クレイヴン(ダスティ)
    ケイト・ウインスレット(ビッツイー) ローラ・リネイ(コンスタンス)
    ガブリエル・マン(ザック) マット・クレイヴン(ダスティ)
ジャンルはミステリーになっているが多分にサスペンス色の濃い作品。
米国で一番死刑が多いというテキサス州が舞台で、死刑反対派のデビッド・ゲイルと、
同僚で同じ活動をしてきたコンスタンスの話に、ジャーナリスト(レポーター)のビッツイーと新入りのザックが絡む。

デビッドはハーバードを主席で卒業し、27才でテキサス大の心理学の教授になった秀才で、
社会的にも認められたリベラリストである。息子と妻がいるが妻とはうまくいってない。
 卒業点の足りない女生徒に点数を与える交換条件として関係を迫られるが断る。
その結果卒業できなかった女生徒にパーティーで出会い誘惑に負けてしまう。
女生徒の訴えで強姦したということになり、地位も名誉も失ってしまう。

その前に、死刑廃止についてのテレビ討論会があり、その席でデビッドは知事の発言を抑えて、
強引な口調で、さまざまなデータを元に死刑廃止論をまくし立てる。
そこには知識人としてのプライドと傲慢さが見える、こういったシーンは彼を通俗的な知識人として
伝えようとするなら、その後の行為すべては彼の意に反した俗物としての
彼の生き方であったといえるが。

そこで、「では今まで冤罪で死刑にされた人があれば具体的に名前を」という質問に、言葉に詰まってしまう。
公衆の面前で恥をかいたわけで、さらっとしか触れられてないこの場面があるいは、デビッドにとっては重いしこりになったのではないだろうか。

同僚で活動家のコンスタンスがキッチンでポリ袋をかぶせられて窒息死する。
多くの証拠を残したデビッドが逮捕され、その残忍で悲惨な殺し方に加え、前の強姦罪の記憶もあって死刑の判決が下りる。

7年後、記者のビッツイーが指名され、デビッドにインタビューをするために彼が
収監されている刑務所に出かけることになる。それは死刑執行の4日前。
一日おきに二日、前日、と3日間で二時間ずつデビッドの話を聞くことが条件になっている。
ビッツイーはこの有名な事件で、すでに刑の確定したデビッドには悪感情しかない。
そして 回想シーンも交えてデビッドの話が始まる。

この映画は、死刑についてどうあるべきかというテーマに沿ったものではない。
あくまで、デビッドの話を時間を追って見ながら、結末がどうなるのかという楽しみで見る映画である。
一種の謎解きの面白さと、死刑執行の時間が刻々と迫る中で、
ビッツイーとザックが巻き込まれた状況をどう切り抜けるかハラハラする。
周りの人物が思いが けない動きをはじめる。
最初にいくつかの伏線もある。無能な弁護士、コンスタンスと活動を共にしてきた崇拝者、愛する息子、別居中の妻なども重要な人物で 話が複雑になる。
まったくよく出来たストーリーで、登場人物の中で誰が書いた筋書きなのかということもあるし、
最後の場面では手に汗を握る。

ケビン・スペイシーはこんな悲惨な暗い役がよく似合う。「アメリカンビューティ」も素晴らしかった。
ぱっとしない風貌で俳優らしくないが、スマートにもセクシーにもなる。
ビッツイーは「タイタニック」で手を広げたローズのケイト・ウインスレット。

ユージュアル ・サスペクツ

ユージュアル・サスペクツ [DVD] 「The Usual Suspects」 (1995年 米)
監督 ブライアン・シンガー
製作 ブライアン・シンガー ジマイケル・マクドネル
脚本 クリストファー・マックァリー
出演 スティーブン・ボールドウイン(マイケル・マクマラス)
   ガブリエル・バーン(ディーン・キートン)ケビン・スペイシー(ヴァーバル・キント)
   チャズ・バルミンテリ(クイヤン) ピート・ボスルスウェイト(コバヤシ)
   スージー・エイミス(イーディ) ベニチオ・デル・トロ・(フエンスター)
   ミンテリ、「カジノ」のケヴィン・ポ
また「結末は話さないでください」の、どんでん返し映画を見た。
重要な登場人物が多いが、犯人当てをしたいならどの場面も見逃しては大変だし
ストーリーを追って乗せられて楽しむのもいい、最後が特に面白くとても良く出来ている。

*

冒頭、埠頭で船が爆発する。船では謎の人物の殺人場面があって犯人が船に放火、
炎上させてしまった。
その船から助かったのは火傷を負って重症の一人と、キントだけだった。
捜査官クイヤンは命の危ない乗組員から事情を聞こうとするが彼の話す外国語で聞き取れたのは「カイザー・ソゼ」という名前だけだった。がこの名前を聞いて慄然となる。
「ソゼ」というギャングは長く犯罪の陰にいて逮捕出来ないでいる大物だった。
クイヤンは瀕死の乗組員から聞き出してすぐに似顔絵を作成する。
一方、足が不自由で弱々しいキントからも事情を聞き始めていた。
キントも仲間の一人だったが障害があるために主に計画を立てる一味の司令塔の役目を果たしていた。
キントはそもそもの事の次第を話しだした。
それは6週間前のことだった。警察は銃を積んだトラックを襲った5人組を逮捕して調べ始めた。
逮捕されたのは札付きの犯罪者ばかりだったが、そこに集められた事で知り合った5人は、
密かに次の犯罪を計画していた。
釈放された彼らはまず警官の犯罪をあばいて大量のエメラルドを強奪、
それを売りさばくために知り合った故買屋に次の宝石商を狙うことを持ちかけられる。
だがこの実行が大失敗に終わった上に、ガードマンまで皆殺しにしてしまい、蓋を開けてみると、
宝石だと思ったのは9100万ドル相当の麻薬だった。
この計画の裏にはソゼが居たということで、彼には9100万ドルの借りが出来てしまう。
そこで新たに命令を受け冒頭のシ?ンである、爆発した船を襲うことになる。
だが5人のうちこの仕事を恐れて逃げたフェンスターは殺され、爆発とともに残りの2人も死に、
キートンは行方不明、残ったのはキントだけになった。ソゼも巻き込まれて死んだという。
一部始終を話した後、足の悪いキントは釈放され不自由な足を引きながら去っていった。
さて「カイザー・ソゼ」とは誰だったのだろう。そこにFAXで似顔絵が届く。

* * *

癖のある5人の犯罪者、中でも更正したというキートンは、女弁護士と付き合っていて死んだことにして逃げた過去がある。
などと5人にまつわるサブストーリーがあって犯人探しには泣かせる場面が多い。
ちょっと古いけれどこの種の映画が好きなら見て損をしない。面白く上出来。

68回アカデミー脚本賞・助演男優賞

ミリオンダラー・ベイビー

ミリオンダラー・ベイビー [DVD] 「MILLION DOLLAR BABY」 (2004年 米)
監督 クリント・イーストウッド
脚本 ポール・ハギス 
音楽 クリント・イーストウッド
製作総指揮 ロバート・ロレンツ、ゲイリー・ルチェッシ 
出演 クリント・イーストウッド(フランキー) ヒラリー・スワンク(マギー)
    モーガン・フリーマン(スクラップ)
    ミンテリ、「カジノ」のケヴィン・ポ
人の話を半分しか聞かないのが大きな欠点なので、ポスターやCMで見ていても、
この映画は富豪の捨て子をボクサーが育てる話かと思っていた、コレ本気で。
ふざけた前置きから入ったが、名作といわれるのにふさわしい心に残るいい映画だった。

*

富豪の捨て子ではなかったが極貧の家庭で育った女性(マギー)がボクシングで成功するのを夢見て弟子入りする。
場末の小さなジムを経営しているフランキーは元ボクシングチャンピオンで優秀なトレーナーだった。
アイルランド系アメリカ人の彼は敬虔なクリスチャンだったが、教会の神父からはあまり歓迎されてない。
その上娘とは絶縁状態で出した手紙も読まれずに返送されてきている。
一方弟子を思うあまり、見込みのある選手をすぐにはチャンピオン戦に出さず、優秀なボクサーは彼の元から去っていった。
彼女に対しては女性ということもあって毒舌を吐き、指導することを頑固に拒んでいたが、
熱心に練習に通うこととスクラップの陰からの勧めもあってやっとその気になる。次第に素質を認め、彼女の純で一途な人柄にも惹かれて厳しいトレーニングを始める。やがて試合に出るまでになった時、もうトレーナーではなくマネージャーの出番だと言い、いったんは身を引くのだが、見守らないではいられずついにマネージャーも引き受けてしまう。
彼女は生来の才能と練習で得た強烈なパンチで連勝を続け、人気も上がり、試合の申し込みも増えてくる。
いつまでも避けていられないチャンピオン戦だった、マギーの夢でもありファイトマネーの
100万ドルで過酷な生活から彼女を解放したいとフランキーも思い引き受けてしまう。
対戦相手は勝つことに手段を選ばないアフリカ女性だった。戦いを有利に進めていたマギーは引き上げるために背を向けた瞬間に相手のパンチを受けて倒れてしまう。
そこはコーナー近くですでにイスが置かれてあった。
倒れただけでなく、イスの角にクビがぶつかり頚骨を折ってしまう。
命だけは取り留めたが頭だけしか動かない重症で将来寝たままの生活になると診断が下る。
そしてフランキーとマギーの苦しい戦いが始まる。マギーはもう十分に生きたと思っていた、
しかし動かない体で死を選ぶことも出来ない、彼女は厳しい選択をする。

* * *

地味な映画でテーマもありそうなもので、目新しくはない。でも心を打つ。
マギーのヒラリー・スワンクを見た途端、ボーイズ・ドント・クライを思い出した。
性同一障害に苦しむ女性を演じた人だ。中性的で不思議な魅力がある。
モーガン・フリーマンも深みがある。
クリント・イーストウッドは年をとった、若々しい「ローハイド」から見続けていた彼が
こんな年になってしまったと自分を振り返ってみる。
枯れたような体がそのまま平安から見放された環境にぴったりに見える。
彼の監督作品はいい映画だと安心して見ることが出来る。
リング上の戦いも要領よくまとめ、後半、人間の尊厳を扱った重いテーマに時間を割いている。
ベッドに寝たままで顔だけで静かに哀願するマギーの表情も、それを見守るフランクの心の痛みも胸に迫る。
スクラップに対する深い悔恨、家族に対しての思い、頑固者の胸のうちには口に出さない人生の出来事が深く沈んでいる。
マギーは家族を思いやって自分を賭けたことに後悔はない、怠け者で卑怯な家族であったことが悲しみを誘う。
クリント・イーストウッド75歳、まだ最後の名作だと言って欲しくない。

モーターサイクル・ダイアリーズ

モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD] 「Motorcycle Diaries」 (2003年 英・米)
監督  ウォルター・サレス
製作総指揮 ロバート・レッドフォード
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル ロドリゴ・デ・ラ・セルナ ミア・マエストロ
若い日のチェ・ゲバラと友人のアルベルトが故郷のコルトバからカラカスまで
中古のおんぼろバイクで旅したゲバラの日記を元に作られた。
ゲバラを演じたガエル・ガルシア・ベルナルの出世作といわれている。
裕福な家庭で育ったゲバラが革命家になった人格形成の過程と思想の基礎が伺える。
青春を謳歌しながら辿った南米の旅で美しい風景とともに厳しい自然の中で暮らす人々の生活を実感して、南米大陸に住む人々のことを語る場面が印象的。

*

ゲバラ23歳、アルベルトは30歳の誕生日を前に二人は1万キロを目指して南米大陸の旅に出る。
暖かい家族の見送りを受けて出発するが中古のおんぼろバイクはいつも故障するし、
ゲバラは持病の喘息に苦しみながらの旅はハプニングの連続で、所持金も底を尽く。
医学生のゲバラは行きづりの病人を診て宿を借り、、生化学専攻のアルベルトも人当たりのよさで何とか旅を進めていく。
雪をかぶったアンデス山脈を通るがそこではタイヤが滑って言うことを聞かず、
チリの海岸線を北上する道ではパンパの中を走り抜け港町に止まるが、
そこでとうとうバイクがだめになりヒッチハイクを始める。
アタカマ砂漠の中を銅山を目指す途中で、コミュニストであったために家も土地もなくして追われた夫婦にであう、焚き火を囲んで一夜をともにして、彼らの生活を知る。
銅山に着き夫婦は働くことになり、旅人の二人はそこから追い出される。
ペルーでインカの遺跡を見、サン・パブロのハンセン病院につく。
そこで病気のために隔離された人々の看病を手伝い人間的なふれあいに目覚める。
そこから空路カラカス向かいアルベルトはその地で職に就き、ゲバラと別れる。

* * *

豊かな家庭で育ったゲバラの見た厳しい自然の中での貧困と差別は、楽しい旅の記憶の中で、
彼の人格を少しずつ形作っていく、そのことを知る(偲ぶ)ために作られた映画なのだろう。
その後、キューバでであったカストロとの交わり、革命家としての運動のようすはあまり詳しくは知らないが、帽子に一つ星をつけた肖像は今でもなにかの折に見ることがあってよく知られている。
キューバ革命を成功させたこと、若くして人生の幕を閉じたこと、アルベルトとの友情は政界に入っても続いたこと、現在もアルベルトは健在であることなど、近い史実と対面することができる。
ガエル・ガルシア・ベルナルのものは偶然三作見た、彼は特異な風貌で、美少年ながら何か暗いものを秘めたような不思議な雰囲気があり、そのような役柄が多い。
すごく若いひとなのに非常に印象的。

2009年1月19日

マグダレンの祈り

マグダレンの祈り [DVD] 「THE MAGDALENE SISTERS」 (2002年 英・アイルランド)
監督  ピーター・ミュラン  
製作  フランシス・ヒグソン  
脚本  ピーター・ムーラン
出演  ノーラ・ジェーン・ヌーン(バーナデット)
      アンヌ・マリー・ダフ(マーガレット)
      ドロシー・ダフィ(ローズ/パトリシア)
     アイリーン・ウォルシュ(クリスピーナ)  
キリストに救済された売春婦のマグダラのマリアの名に因んで名づけられた、
実存した修道院が舞台の実話を映画化したもの。
この修道院はダブリン(アイルランド)の郊外にあって最近、1996年まで存在した。

*

結婚パーティで従兄弟に犯されたのが原因で収容されたマーガレット、
美貌が男性の目を惹くという理由のバーナデッド、未婚の母になったローズとクリスピーナ、
それぞれの家族にとって、こういう堕落した出来事は「恥」だという理由で、信仰と労働によって
矯正させるという名目の修道院に収容し、彼女達は生涯をここで暮らさなくてはならなくなる。
門には見張りが立ち終始監禁された状態で働かされる。
仕事は汚れ物の洗濯で、毎日洗っては干し洗っては干し、ただ単調なこれの繰り返しの毎日である、その上外部からの洗濯物の注文で得た利益は教会に入る仕組みになっている。
教会内部の権力者である神父やシスターは彼女たちを奴隷のように扱い時には裸にして並ばせ身体を見て笑ったりする。神父は性行為の相手をさせる。
人権も自由もない暮らしの中で、自己を見失うもの自殺を試みるもの反抗して拷問を受け、
髪を刈られるものなど、家族に見放された上煉獄のような暮らしが続く。
若い女性は清廉で質素で純潔でなくてはならないという社会の中で、
故意であってもなくても、純潔を失えば魔女狩りのように捕らえられ、教会に隔離され、
次第に人としての尊厳が奪われていく。
信仰の名を借りた教会内部の腐敗は、外に知られることもなく、少女とも言える年齢の者に恐怖を与え続けた。
こんな中でついに脱走に成功した二人の女性の精神力の強さに感動する

* * *

権力を持つものの傲慢さが持たないものを抑圧し、それが目的のためには当然とされた閉ざされた空間で、密かに長い時間虐待が続けられていた。
それにも拘らず、だれも救済の手を差し伸べなかった。家族の「恥」を隠蔽するには格好の施設だった。
社会とはそういうもので、人間とはどうしようもない強さと弱さを併せ持っている。
ただ社会がどうあろうと人がどういうものであろうと許されないものがある。
このような現実が実際に存在した社会があり、人としての自由がいかに大切なものかを問うこの映画は、目前のシーンだけではなく、それを引き金にして考えられる多くのものを心の中に残した。
四人の少女役は個性的で素晴らしい。それぞれの背景をしっかり表現している。
ストーリーの流れに破綻もなくとてもいい作品だ。

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞 他多数受賞

マスター アンド コマンダー

マスター・アンド・コマンダー [DVD] 「MASTER AND COMMANDER」 (2003年 米)
監督 ピーター・ウィアー 
原作 パトリック・オブライアン  
出演 ラッセル・クロウ (オーブリー艦長))  ポール・ベタニー (船医マチュリン)
    ビリー・ボイド  ジェームズ・ダーシー  マックス・パーキス
監督の名前を見て面白いかもしれないと思ったので何の前知識もなく見始めた。
出だしは、少し太っている艦長(ラッセル・クロウ)が窮屈そうにクラシックな船長服を着て、
帆船に乗っていた。これはCMでチラット見たアレか、とやっと思い出した。
それがなんと、面白くてあっという間に終わってしまった。
期待もなくてこんなに楽しい映画に出会ったのは幸運だった。
だがどうした訳か余り話題に上らなかったが、アカデミー賞では撮影賞と音響効果賞をとったとか、
アカデミー賞ってなんだかなぁと思っていたがまぁ見るところは見ているのだと、
この映画の事もあって少し見直した。

*

ナポレオン皇帝軍の「ケアロン」号とイギリス軍の「サプライズ」号との大西洋での戦い。
まだ帆船の時代で、(この帆船というのは、動かすのに大変な体力がいるものだ)
オーブリー艦長の「サプライズ」号は「ケアロン」号に比べて規模が小さく装備、
速力の点など相当に負けているので、出会った時は勝ち目がなさそうだと、乗組員は緊張している。
だが艦長は歴戦を勝ち抜いてきた伝説の人物なので、訓練のためと人手不足もあって乗船している少年の士官候補生たちは、信頼と憧憬を持って励んでいる。
小さい子供たちが可愛らしい。艦内には食料用に動物まで飼っているのだ。
ついに出あった両船の対決は、艦長の機智に富んだ戦略で乗り切る。
これが又緊迫感となんともいえない爽快感があって面白い。
戦って勝つためには手段を選んでいられない艦長の良心を、船医のマチュリンがうまく代弁している。
親友の二人は航海の平安な折にはそれぞれバイオリンとチェロを弾いて楽しんだり、艦長は乗組員と会食をして今までの戦いの話をしたりしている。
船長室は最後尾の大きく開いた窓がある気持ちよさそうな部屋だ。
船医は珍しい生物の研究が趣味でガラパゴスの近くを通るときは上陸できるのを楽しみにしている。
などほほえましい話もある。

* * *

今のように計器なども進歩していなくて操舵等すべて人力だった時代は、
戦うにも艦長の指揮に運命をゆだねていた時代だった。オーブリー艦長の活躍は見ていても楽しい。
嵐の中の帆船の走りは緊張感と共にロマンがある。
(そういえば前に見た「白い嵐」も帆船だったし面白かった)
壊れた部分をすぐに修理する様子など、船内の生活の仕方も興味深い。
「ケアロン」号に乗り込んだ時、艦長がベッドで死んでいた。
いくら相手の船医がそういったとしても、素直に信じるのはオーブリー艦長らしくない。
出あったことはなくても死んでいるのが本当に艦長かどうか一応疑ってみるものでしょう。
もう長く、超高額所得者になって、ステキなラッセル・クロウも太ってしまったんじゃないかな。
少し運動して引き締めて欲しい。
マチュリン医師のポール・ペタニーの奥さんはジェニファーコネリーだって。
やはりイギリス人はイギリスの人と結婚するのがいいのかな。
なんて余計なお世話かも。

ブラス!

ブラス! [DVD] 「Brass」 (2000年 デンマーク)
監督:マーク・ハーマン
出演:ピート・ポスルスウェイト、ユアン・マクレガー、タラ・フィッツジェラルド 
ギリスのまもなく閉鎖されるという炭鉱のある小さな町に、鉱夫たちが作ったブラスバンドがある。
貧しい生活の中から、お金を出し合い存続させてはいるが、それも危機に直面している。
そんな中での様々なエピソードを積み重ねた感動作。
馴染みのある曲目が次々に演奏され、それも楽しい。

ブラックホークダウン

ブラックホーク・ダウン [DVD] 「BLACK HAWK DOWN」 (2001年 米)
監督:リドリー・スコット
製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ジュシュ・ハートネット(エヴァーズマン)ユアン・マクレガー(グライムズ)
    トム・サイズモア(マクナイト)エリック・バナ(フート)
    ウィリアム・フイクナー(サンダーソン)サム・シェパード(ガリソン)
    オーランド・ブルーム(ブラックバーン)
前に一度見たのだが、話題になった映画なのにあまり覚えていなくて、また見てみた。

*

飢餓に苦しむソマリアではそれを利用して内紛を煽り、
略奪と虐殺を繰り返して勢力を伸ばしているアルディード将軍がいた。
その副官二名を逮捕することになった。
アメリカ軍の特殊部隊ヘリ(ブラックホーク)が飛び立つ。
基地では作戦通り行けば1時間で解決すると楽観していた。
だが目的地近くで民兵に狙撃され、ヘリは市街地の真ん中に墜落してしまう。
仲間を救出するために向かったヘリもまた撃墜され、救出部隊と民兵の壮絶な市街戦に突入する。

* * *

敵を狙撃しながら墜落地点に近づきたいアメリカ部隊と、ソマリア民兵との戦い、
臨場感も生々しい至近戦の様子が映し出される。
指揮を任された若いエヴァーズマン。
降下途中で地面に激突し意識不明で基地に搬送されるブラックバーン。
事務屋のグライムズらのレンジャー隊。
サンダーソン、マクナイトらのデルタ隊。市街地に残されたこの二つの隊員99名が墜落地点に向かうが、民兵の攻撃に会って建物に立てこもることになる。次々に負傷し、死者も出る。
この映画は、アメリカ側の戦状をリアルに写しエピソードを交えて伝え、監督の目を通して戦争を見ることだった。
新しく見直しても、観客の感情は敵地にいて戦う若いアメリカ兵にあって、
終始ソマリアの民兵は敵なのだった。

2009年1月18日

プライドと偏見

プライドと偏見 [DVD] 「Pride and Prejudice」 (2006年 英)
監督 ジョー・ライト
製作 ティム・ビーバン エリック・フェルナー ポール・ウエブスター
出演 キーラ・ナイトレイ(エリザベス) マシュー・マクファディン(ダーシー) 
     ドナルド・サザーランド(父) ジュディ・デンチ(マダムキャサリン)
     ロザムンド・バイク(ジェーン) ブレンダ・ブレッシン(母)
     サイモン・ウッズ(ピングリー)
歴史のあるイギリスという国で、この舞台になる18世紀末には、女性には相続権がなかった。
女の子は出来るだけ裕福な家に嫁がせて幸せな暮らしをさせてやりたいというのが親心、
娘ばかり5人もいるベネット家は年頃になった娘達を前に悩みは深いが、
娘達にすればそれぞれの個性にあわせ未来には裕福さだけではない何かを待つ気持ちも大きい。

*

隣のネザーフィールド邸にピングリーという独身男性がやってきた。挨拶代わりの舞踏会が開かれ、
娘達はみんな着飾って出かけていく。
ピングリーは美しい長女のジェーンに一目ぼれ、だが一緒に来た友人のダーシーは気位も高く人づきあいも苦手で娘達の誰にも関心を示さなかった。
その上自由奔放で知的なエリザベスについて言った言葉を聞いてしまった彼女には大いに反感をかってしまう。
エリザベスは続いてやってきた連隊のハンサムなウィッカムに夢中になるが、彼は昔受けた扱いの酷さをダーシーのせいにして彼を恨んでいた。
それを聞いたエリザベスはますます彼を嫌うようになる。
そうするうちに、ベネット家の相続人だと言う従兄弟のコリンズがやってくる。
彼は娘達の一人と結婚して家族を守ろうと考えていた。
白羽の矢が立ったエリザベスは聖職に在りながら俗物ぶりをひけらかす彼の求婚を即座に断ってしまったので幼馴染のシャーロットが彼に応えて結婚することになる。
突然ピングリーは邸を引き払って去っていきウィッカムも転属しダーシーもいなくなる。
両親は大いに落胆するが、ピングリーを諦められないジェーンは彼を追ってロンドンに行ってしまう。
コリンズの庇護者であるキャサリン夫人を訪ねてダーシーと出あったエリザベスは彼から突然愛の告白を聞き、反射的に断ってしまう。
ピングリーが邸を去ったのもウィッカムに酷い仕打ちをしたのも彼だったが、
暫くしてダーシーからいままでの誤解を解くことが出来る手紙が届いて(このあたリ出来すぎ)
エリザベスの硬かった心のしこりも溶けていく。
彼は総てを丸く納めエリザベスの両親に結婚の承諾を求めに来る。

* * *

典型的なラブストーリーで、最近人気の高いキーラ・ナイトレイを主人公に、ロマンス好きの女性を引きつけようと作られた映画(のように思う)
ロンドン郊外の美しい田舎の風景や優雅な建物、当時の舞踏会の衣装など舞台装置も揃っている。
相手役のマシュー・マクファデンは知らない人だが、しかつめらしい表情と晴れ晴れ笑ったときの笑顔が可愛らしい演技派で、彼のようにイギリスには知らない俳優がいて層の厚さを感じる。
イギリスの俳優と言えば、随分前にティモシー・ダルトンが演じた「嵐が丘」のヒースクリフに感動したが、彼はジェームス・ボンドを二回演じた。
でもボンドの底抜けの快活さを持っていなかった。
適役でないと思ったけれどダルトン見たさに、ボンド役の歴史には残るかもしれないと我慢して見に行った。
やはり二回だけで次のピアーズ・ブロスナンに譲ったけれどブロスナンは洒落たスタイリッシュなボンドで人気が出て随分続いた。
今度は多少違った印象のボンドになるようだ。
何をやってもさまになると定評のある、ジュディ・デンチがチラッと出ているが迫力もあって重し役としてピッタリ。
成り行きを母親に任せて意見を控え、優柔不断に見える父親のドナルド・サザーランドの持ち味も十分生かされている。
余談が長くなったけれど、ジェーン・オースティンという人の原作を映画化したそうだが、美しい映像は楽しめるし、クラシッく音楽を編曲して使っているのも雰囲気によくあっている。
ギクシャクした小さな誤解を繰り返すこともあるだろうと思う恋人の出逢いが情緒深く描かれている。
ありきたりと言えばありきたりの話ながら美しい娯楽映画になっている。

バンディッツ

バンディッツ (特別編) [DVD] 「BANDITS」 (2001年 米)
監督:バリー・レビンソン
      (ナチュラル、ヤングシャ-ロック、レインマン、スリーパーズ他)   
出演:ブルース・ウイリス ビリー・ボブ・ソーントン
    ケイト・ブランシェット トロイ・ガリディ
時間があるし、ちょっと鬱気味(といって深刻に落ち込むほどでもない)という人に
お勧め、映画好きなら気分転換にはなるし、面白い。

*

衝動的でタフな男(ブルース・ウイリス)と、いつも病気ではないかと怯えている
神経症の男(ビリー・ボブ・ソーントン)は刑務所に入ってきたミキサー車を 奪って脱獄。
路上にあるもの、柵や門まで派手に壊しながら脱走に成功する。
フロントガラスも撃たれて穴だらけであるが怪我一つしてないのが幸い。笑える。
さしあたって生活用品がいる、手近なところで紳士的に調達、二人には得意の銀行強盗で稼ぎながら、メキシコに行きのんびりと生活するという夢があった。
相棒は神経症ながら綿密で頭がいい、二人組みの強盗は、前日に銀行の
支店長の家に押しいって泊り込み、翌日開店前の銀行に行き、支店長に鍵で金庫を開けさせ るという計画を立てる。
次々にうまくいって「お泊り強盗」としてマスコミに人気が出たりする。
そこに、結婚生活は倦怠期、このままでは病気にでもなろうかという主婦(ケイト・ブランシェット)が偶然仲間に入る。
刺激的な生活に張り切る彼女は二人の 迷惑など考えていない。
ところが美人なうえ案外気がよく優しい女であったため、多少のギクシャクはあったものの、明るい三角関係にはいったかに見えた、が ついに決裂、強盗旅行にも破綻が見え始める。

* * *

見所はまずブルース・ウイリスにかつらがある。髭をつけて変装したりする。
それがおしゃれで良く似合う。
神経症の男は まるで現代を象徴するようにあれこれ悪性の病気を作り出し、とり憑かれている。
生活不適合者ながら、やっと安らぐ女性に巡り遭ったのだが、 それがケイトでついてなかった。
ケイト・ブランシェット、最初にキッチンで馬鹿騒ぎをしながら料理中で登場、
歌って踊って倦怠感を発散していたのに、忙しい夫は食事もしないで出かけてしまい、
落ち込んで車で暴走中に強盗仲間に遭遇する。
気の利いたセリフにおしゃれな衣装でなかなか楽しい。
最後の落ちは多少予測できるものの良くできている。
犯罪映画ではあるが、コピー通りちょっと痛快なお正月作品である。

ハワーズ・エンド

ハワーズ・エンド [DVD] 「HOWARDS END」 (1992年 英)
監督  ジェームス・アイヴォリー
原作 E・M・フォスター
出演 アンソニー・ホプキンス ヴァネッサ・レッドグレーヴ
   ヘレナ・ボナム=カーター エマ・トンプソン
静かで落ち着いたイギリス映画が好きでよく見るが、特にこの作品は三度目。
だんだん記憶も薄れてストーリーもあやしくなった頃にまた見たくなる。秀作。

*

旅行先で知り合ったウィルコックス家に招かれたシュレーゲル家の次女ヘレンは、
長男と婚約したと思い込んでいたが、それが一夜の気まぐれと知って両家は気まずくなる。
ところがロンドンのシュレーゲル家の向かいにウィルコックス家が引っ越してくる。
知的で自由な気風を持つシュレーゲル家と実際的な実業家であるウィルコックス家とはなかなわだかまりは解けそうもない。
だが死が迫っているウィルコックス家のルース夫人と姉のマーガレットは親友になっていく。
死の床で夫人はハワーズエンドにある屋敷を同じ気質を持つエリザベスに譲ることを書き残すが握りつぶされてしまう。
ロンドンで住むウィルコックス家にとってその家は距離も環境も半端であまり親しみのないところだったが、夫人にとっては生まれ育ったその家は何ものにも替えがたい宝物のようだった。
マーガレットにはその家の持つ意味が分かってもらえる唯一の人に思えたのだった。
次女のヘレンは多少エキセントリックなところがあるが心根は優しい娘だった。
ふとしたことで知り合った貧しいバスト夫妻と親しくなったが ウィルコックス家のヘンリーが洩らした言葉を信じてバストを失業させてしまう。
責任を感じてヘンリーに職探しを頼むがすげなく断られ、ますます頑なな態度で接し始める。
ヘンリーは開放的で明るく知的なマーガレットと次第に親しくなり結婚する。
夫人の遺志を知らなままマーガレットは訪れたそのハワーズエンドに魅了される。
貧しいながら一途に生きるバストに引かれた次女のヘレンはバストの子を身篭るが、ハワーズエンドに泊まっていたヘレンに逢いにきたバストは貧窮と疲労で体力が消耗しているところに、妊娠させた無責任さを詰問され倒れて死んでしまう。
さまざまな出来事が重なり、運命の導くところだろうかハワーズエンドは姉のものになり、無事出産したヘレンの子供とともにマーガレット夫妻はそこで暮らすことになる。

* * *

この監督のものは「眺めのいい部屋」というのも見たことがある。
この映画も同じトーンを持ち、静かに進行していく物語が心地よい。
「ハワーズエンド」では特に優雅で自由で進歩的な姉が何にでも興味を持ちよくしゃべるのが楽しい、エマ・トンプソンはこれでアカデミー主演女優賞を受賞している。
また有名なシーンでバストが一夜迷い歩く森に咲いているブルーベルの花の群れは、
かれの人柄をバックに鮮やかで夢のように美しい。
若いアンソニー・ホプキンスは実業家らしい冷徹さと無邪気さをよくあらわしているし、
この作品は何度見ても飽きない、映画は楽しい。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 [DVD] 「Harry Potter AND THE PRISONER OF AZKABAN」 (2004年 米)
監督 アルフォンソ・キュアロン
製作 デビット・ヘイマン クリス・コロンバス マーク・ラドクリフ
出演 ダニエル・ラドクリフ(ハリー) ルパード・クリント(ロン)
    エマ・ワトソン(ハーマイオニー) トム・フェルトン(ドラゴ)
    ロビー・コルトレーン(ハグリッド) マイケル・ガンボン(ダンブルドア校長)
    ゲイリー・オールドマン(シリウス・ブラック)
    アラン・リックマン(スネイプ先生)    マギー・スミス(マクゴナガル先生)
    エマ・トンプソン(トレローニー先生 )デビッド・シューリス(ルービン先生)
原作でも一番面白かった三作目。ハリーの過去に繋がる話で少し暗い。
でもホグワーツ魔法学校も先生方も健在。お馴染の三人組も元気に活躍する。
ティーンエイジャーらしくなって学校生活も安定し、個性もはっきりしてきている。
原作の多くのエピソードが入りきれないのは仕方がないと思う。
ただ是非欲しい部分までないのは残念。
大負けで感動的なシーンさえあればいいと思うくらいに、今度は思い入れもあったので、新しい監督のこのお話は、雰囲気もよく、やはり一番よくできていた。

ルーピン先生に教わった魔力に対する防衛術が締めくくりを盛り上げている。
新しいキャラクターも含めて、話がテンポよく終盤に向かって進み、それまでの数々の話が解決していくのは胸のすく思いがする。

トレローニー先生とはこんな人だったのかとほほえましい。
ダンブルドア先生もいい。
なんといっても、シリウス・ブラックが不気味なだけではないところが面白い。

2009年1月17日

パッション

パッション [DVD] 監督 製作 共同脚本 メル・ギブソン
プロデューサー ブルース・デイヴィ
製作総指揮   エンゾ・システィロイ      
共同脚本    ベネディクト・フィッツジェラルド
撮影監督    キャレブ・デシャネル
出演  ジム・カヴイーゼル(イエス) モニカ・ベルッチ(マグダラのマリア)
     マヤ・モルゲンステルン(イエスの母マリア) マッティア・スプラージャ(大祭司)
     ホリスト・ナーモヴ・ショボヴ(ピラト) ルカ・リオネッロ(ユダ)
     フリスト・ジヴコヴ(ヨハネ)
 
公開前からの話題作、前評判の怖さで躊躇したが、見ることにした。
人それぞれの感想もあるし、キリストの物語なので宗教者の意見もあるだろうが、私は素直に感動した。
あの「マッドマックス」のメルギブソンの映画は沢山見ている、その頃から魅力的な俳優だった。
いつか「ハムレット」を製作するという話を新聞で読んだこと もあるし、10年ほど前には「ブレイブハート」をつくり主演してアカデミー賞を受けた。
そして彼がこの映画を作ったのが今であることに感動した。
信仰につ いては正直よくわからない、それがたとえ仏教でも神道でも帰依するということがよくわからない。
でもこのキリストというかって生きた人の最後の12時間。
想像も出来ないほどの悲惨で残酷で耐え難い苦難に会って、十字架に磔けられた人。
人々の笑いさざめく中を自分のための十字架を背負って歩いた坂道。
このこ とが真実の出来事として描かれていることに衝撃を受けた。
福音書のイエスの生涯から作られたそうだが、よく知られた聖書の中の言葉や出来事が随所にある。
ゲッセマネで自分の身に起こることを予知して苦しむイエスから話は始まり。
ユダの裏切りで捕らえられ、早朝から激しい鞭打ちの拷問を受け、その後ピラドが磔刑を言い渡す。
十字架を背負って悲しみの道を歩き朝9時頃ゴルゴダの丘で磔にされる。
そして午後3時頃に亡くなり、十字架からおろされ用意した岩山の棺に葬られる。
そして3日後に蘇った。この復活を表す映像はごく短く象徴的に写されているだけで、聖書やキリストに全く関心の無い人や世代には理解できないのではないだろうか。
反対に拷問の鞭打ちの時間はリアルで長い。ここが話題になったところだろう。
なぜこれほどまでに残酷な場面を撮ったかというこの映画への賛否両論はまだ尾を引いているという。
イエスは人間の罪をあがなうために一人ですべてを背負って死んだ。
人の持つ根源的な心の闇、破壊的な行為の持つ罪まで許せとしたイエスの教え、人間愛というものを描きだしたこの作品は、やはりメル・ギブソンの身の作品に違いない。
イエスを演じたジム・カヴィーゼルという俳優も、二人のマリアも、若いヨハのフリスト・ジヴコヴなども素晴らしく忘れ難い。
隣の席で感激して泣き続けている女性がいた、さすがに話題作、驚いた。

ファーゴ

ファーゴ [DVD] 「FARGO」 (1996年 米)
監督 ジョエル・コーエン
製作 イーサン・コーエン
脚本 ジョエル・コーエン イーサン・コーエン
出演 フランシス・マクドーマンド ウイリアム・H・メイシー  スティーブ・ブシェーミ
    ピーター・ストーメア  ハーヴ・ブレスネル
冬の田舎町(ファーゴ)で起きた血生臭い殺人事件を下敷きにして作り上げたという、
コーエン兄弟らしいおかしくも物悲しい不思議なお話。
何でそうなるの?というハプニングの連続で、単純に解決するはずの事件がエスカレートしていってしまう。

*

自動車ディ-ラーのジェリーは借金の期限が来て首が回らなくなっていた。
そこで妻を誘拐して、金持ちの義父に身代金を出させ、それで返済しようとしていた。
整備工の前科者に誘拐犯を紹介してもらって手数料を払うことにするが、ジェリーは以前から手を回して土地を買収しそこを駐車場にして一儲けしようとしていた、この話を義父に持ちかけ金を出させようという算段。
その話が実現することになり義父が乗るという。
あわてて誘拐の件は取りやめようとするが依頼人はもう出発した後で手遅れだった。
手配した実行犯は一人でいいのに二人連れで来た。
一人は覚えやすいほど変な顔をしているし、もう一人は無口で切れやすい危ない男。
どちらもあまり賢そうではない。
この二人は依頼どおり何も考えず黒マスクをして白昼堂々とジェリーの妻を誘拐して成功する。
逃げる途中の雪道でパトロール中の警官に止められ不審尋問を受ける。
そこで切れた相棒が警官を射殺、通りかかってそれを目撃し逃げた車を追いかけて乗っていた二人も射殺。
無能で頼りないジェリーは義父にはまったく信用がない、駐車場は義父が自分が経営すると言われ、身代金も自分で届けるというので当てが外れてしまう。
金を持って犯人と交渉に行った義父は押し問答の末簡単に殺され、金を持って逃げられてしまう。
地元の警察署長をしているマージが捜査を始める。マージは妊婦で大きなお腹をしているが大活躍。
二人の足あとを辿って、ついに車を割り出し、ジェリーの在庫管理の甘さを突いて、車を提供したことを認めさせようと追い詰める。
納得のいく言い訳も考え出せない小心者で大雑把なジェリーはマージの追及の前で口実を作り逃げ出してしまう。
切れた犯人はジェリーの妻も殺害。
仲間割れをして、おかしな顔の男は殺され、残る一人は仲間を木材の粉砕機にかけているところを射殺される。マージは事件を解決、暖かく小さな幸せの持つ優しい夫の元に帰る。

* * *

切れた男の一発の銃声から歯車が狂いだす。
ちょっとした誘拐事件ですむはずだったのに、連続殺人事件に発展した顛末が、見ていて歯痒くばかばかしいがそれでも事件の流れはどんどん進んでいく。
世間も法律もなく、たがが緩んだ犯罪不感症の男、そんな罪の意識がない人間が相棒になった悪運、力のないジェリーが最後の足掻きで選んだ安易な金作り。
方法としては単純極まりないがそれも最初からつまずく。
手に余るような人間に依頼しようとする甘さ加減も無能の表れで、ただあたふたするだけで何の手も打てない。
普通の叔母さんのマージが捜査官として優秀であったこと。
早朝に飛び出だしていく妻に朝食を作る優しい夫を持っていることがちょっとしたいいお話になっている。
どこででも起こりそうな田舎町の出来事がやがて陰惨な殺人事件を巻き起こす。
切羽詰れば行き当たりバッタり、考える余裕もなく突っ走ってしまう、時にはいたたまれない衝動に駆られることは誰にでもあるだろう、パニック状態の人々が右往左往することや犠犠牲者の不運はありそうな設定で、興味深くユニークな作品だった。
「身重だから」といって大儀そうにゆっくりと歩き回る警察署長のマージがいい味で、
彼女もこれでアカデミー主演女優賞。またカンヌとアカデミーで脚本賞も受賞している。

ネバーランド

ネバーランド [DVD] 「Finding Neverland」 (2004年 英・米)
監督:マーク・フォスター
出演:ジョニーデップ(バリ)ケイト・ウィンスレッド(シルビア)
    ラダ・ミッチェル(メアリー)ジュリー・クリスティ(Mrs.モーリエ)
なんといってもピーターパンは好きで、映画も見たアニメも見た。だからこれも見た。

*

1903年のロンドン、自作の上演が不評で悩んでいたバリは、公園でシルビアと4人の子供達に出会う。
無邪気な子供達の中で、三男のピーターだけは父が亡くなったショックからか遊びの輪から一人離れて、バリの座っているベンチの下に入り空想の中にいた。
バリはピーターとなぜか心が通うのを感じ、この一家と親しくなっていく。
バリの妻のメアリーは裕福で高名な夫と暮らしていることに満足してきたのだが、最近の作品があまり評判がよくないことに不満を持っていて、
シルビアと子供達に夫が近づいていくのにも嫉妬し、世間体も気になっていた。
しかしシルビアの義母(モーリエ夫人)が社交界では名のある家柄であったので、夕食に招待をしたりするが、
夫やシルビアは世間に対しては一向に関心がなく、モーリエ夫人の苦言も効き目がない。
バリは生活の苦しい一家を山荘に招待して、子供達と楽しい時間を過ごし、そこで新しい作品のヒントを得る。
バリの子供心はピーターや子供達と過ごす時間の中で共鳴し膨らんでいき、それは新しい作品を徐々に完成させていった。
そしてそれが「ピーターパン」と名づけられ上演された時、観客はその空想の世界、ネバーランドに大きな拍手を送り大成功を収める。
その頃シルビアは重病でもうあまり長く生きられないと知っていた。
バリは劇場に出かけることも出来なくなったシルビアの自宅で、舞台を作り「ピーターパン」を見せる。
シルビアは子供達の将来をバリに託し、バリは子供の後見人になることを引き受ける。

* * *

感受性の強いピーターが空想の中でたちなおってバリに親しんでいく。
人によれば忘れてしまうけれど、いつまでも懐かしい思い出として持ち続けている子供の世界が、
バリと子供達、世俗に汚されない母親の生き方など、単純な図式で映像化され、
ストーリーも分かりやすい。
額に皺を寄せたジョニーデップが作品が出来ずに悩む姿も何か夢の世界にいる思いで現実感がない。
あまり考えず「ピーターパン」という子供とティンカーベルを連れてネバーランドに行きたいと思えば、
これを書いたバリの心の一部が温かく感じとれるかもしれない。
ちょっと感動するいいお話だった。

ニューオーリンズ・トライアル 陪審評決

ニューオーリンズ・トライアル/陪審評決 プレミアム・エディション [DVD] 「Runaway Jury」 (2003年 米)
監督  ゲイリー・フレダー
原作  ジョン・グリシャム
出演  ジョン・キューザック(ニコラス・イースター) 
     ジーン・ハックマン(ランキン・フィッチ)
     ダスティン・ホフマン(ウェンデル・ロア) レイチェル・ワイズ(マーリー)
日本でも検討されている陪審員制度、アメリカではその後ろには陪審員コンサルタントという人達がいるそうだ。
被告側のコンサルタントのジーン・ハックマンと原告側弁護士のダスティン・ホフマン
それに陪審員のジョン・キューザック、その恋人らしいレイチェル・ワイズなど、豪華な顔ぶれが登場する。

*

リストラされたのを恨んだ犯人が、元の勤務先で銃を乱射し、弾に当たって夫が死亡、
未亡人はそれを 銃器の製造会社の責任として告訴する。
銃さえなければこんな事件は起きない。
製造するということは殺人をも肯定することになるということなのだが、会社としては使い方にまで責任は持てない、無謀な言いがかりと見る。
そうして陪審員が選任され、裁判が始まる。
銃器会社は勝つために陪審員コンサルタントを雇う。
此れがランキン(ジーン・ハックマン)の率いるチームで、ハイテク機器を駆使して陪審員のチェックをし、弱みを握って見方に引き込むのが目的である。
一方原告側の婦人には弁護士のロア(ダスティン・ホフマン)が付く。
彼は冴えない弁護士ではあるが、自然体で人間の良心を信じているらしい。
一方陪審員に選任されたニック( ニコラス=ジョン・キューザック)は
生活意識の希薄な電気店の店員で陪審員に選ばれたことが迷惑だといっている。
だが陪審員の中で目立たないはずが次第に信頼されるようになってくる。
裁判が始まり傍聴していたマーリー(レイチェル・ワイズ)も活動を始める。
彼女はランキンとロアに近づき、金で陪審員を見方につけることが出来るという。
1億ドルで陪審員の弱みを売るということだ。
電気店に勤めるニックはコンピューターのデーターをフロッピーに入れて床の下に隠してある。
フイッチの部下がそれを盗んでいく。マーリーはすでにそのことを知っていた。
二人の関係に不信を持ったフイッチはニックの過去を洗おうとする。
次第にニックの本当の顔が現れて、不気味な方向に話が進んでいく。
一方マーリーはロアにも陪審員操作の情報を買わないかと持ちかける
ロアは気の毒な被害者の婦人と子供が勝訴するためにはその情報が欲しい、
フイッチとの遺恨もあり勝ちたい思いで、ふとその提案を受け入れそうになる。

* * *

フイッチ側の攻め方の手口、ロアの葛藤、ニックとマーリーの関係、
話はさまざまな方向に揺れながら終結に向う。
ストーリーの流れは滞ることなく、一気に見ることが出来る。
銃の所持が護身のためと見るアメリカ社会の今も
それによって犠牲になった若い夫婦の怒りも分かる気がする。
この映画はその矛盾とともに、陪審員制度やそこに存在するコンサルタントというものが興味深い。
ジョン・グリシャムの原作だけに厭きさせない娯楽性は十分で、楽しめる。
よくできた映画だった。

2009年1月16日

21g

21グラム [DVD] 「21g」 (2003年 米)
監督 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
脚本 ギジェルモ・アリアガ
製作総指揮 テッドホープ
撮影 ロドリゴ・プリエト
出演 ショーン・ペン(ポール) ナオミ・ワッツ(クリスティーナ) 
   ベニチオ・デル・トロ(ジヤック)シャルロット・ゲンズプール(メアリー)
人が死ぬと21gだけ軽くなるというそれは何の重さなのか。
「ハチドリの重さ・・100円ライターの重さ・・キヤラメル3個の重さ・・5セント硬貨5枚の重さ・・
一握りの貝殻の重さ・・ポケットティッシュの重さ・・ジェリービーンズ26粒の重さ・・
クリップ44個の重さ・・空になったマニキュア瓶の重さ・・。」
と死を前にしたポールが呟く。
全く生活階層の違う三人の人たちがどんな風に知り合いそれぞれの人生がどんな風に交差していったか。

「21gとは」ベッドに横たわってチューブにつながれているポールの呟き。
ポールは移植以外助かる方法の無い重い心臓病でドナーを待っている。
ポールは数学教授。そこに事故の知らせがあって脳死状態にある人から心臓が提供されるというニュースがくる。
クリスティーナは優しい夫と二人の娘を持つ幸せな主婦だった、過去のドラッグ中毒からも立ち直っている。
娘たちと出かけた夫からすぐ帰ると携帯電話にメッセージが入り背後に娘たちがはしゃぐ声がする。その後すぐに三人はトラックにはねられた。
クリスティーナは録音された声を何度も繰り返し聞いている。
失ったものを埋めるためにまたドラッグを始めるようにもなる。
事故後、夫の心臓を移植されたというポールが現れたが怒りと悲しみに襲われ、ポールを認めることが出来ない。
前科のあるジャックはくじで当たったトラックも神の思し召しと思い、
立ち直るために宗教にすがって、それにのめり込んでいる。
妻と二人の娘を養うために必死で働いていて交通事故を起こす。
ポールはドナーの名前をどうしても知りたくなり、調査員を雇ってクリスティーナに行き着く。クリスティーナを見続ける日々が続き次第に心を惹かれていく。
ポールの結婚生活はすでに破綻している。
別居中の妻が過去に妊娠中絶をしたことで二人は深く傷ついている、しかし妻のメアリーは未来の無い夫であっても彼 の子供を得ることを熱望して協力を求めている。
ポールは次第に移植による拒否反応に悩まされるようになる。
ジャックは事故の後、一旦は逃げたのだが妻の懇願も無視して、自己の宗教心から警察に名乗り出る。
しかし事故の痕跡は生活を思う妻が消してしまっており、トラックも売り捌いていて証拠不十分で帰ってくる。
いつか心の通いあったポールにクリスティーナは「ジャックが殺したいほど憎い」と言い、共感したポールはジャックを探す。
ポールとジャックが出会った時からジャックの宗教心とポールの人間的な苦しみがより深まる、クリスティーナの憎悪の行く先は三人の真に生きることに対する深い悲しみとともに幕を閉じる。
冒頭からばらばら細切れになったシーンが続く、それぞれのシーンで俳優たちがそれぞれの人物をありのままに深く印象付ける。カメラは手持ち撮影が多く現実感の深い映像になっている。
楽しみのために見る映像では俳優は美しく輝いているが、この映画では生のままで飾らない、そんなリアルな存在でストーリーの中に生きていて感動する。
ショーンペンは冷静で、鋭く暖かくそして優しい、ナオミ・ワッツは美しく脆く悲しい。存在感のあるジャックを演じるベニチオ・デル・トロは(ちょっと古谷一行の目を大きくした感じに似ている)、野生的で無口で強く一途である。
時間を無視した実験的な映画ではあるがそれが破綻無く最後に収まり納得が行く。
いい映画を観た。後に尾を引く。日常の悲しさと生きていくことのつらさや悲しみ、死に直面した人のあり方が重い。

トロイ

トロイ [DVD] 「TROY」 (2004年 米)
監督    ウォルフガング・ペーターゼン
製作    ウォルフガング・ペーターゼン、ダイアナ・ラスバン、コリン・ウイルソン      
脚本    デイビッド・ベニオフ     
出演    ブラッド・ピット(アキレス) エリック・バナ(ヘクトル)
       オーランド・ブルーム(パリス) ダイアンクルーガー(ヘレン)
       ブライアン・コックス(アガメムノン) 、ショーン・ビーン(オデッセウス)
       ブレンダン・グリーンソン(メネラオス) 、ピーター・オトゥール(プリアモス)
       ローズ・バーン(プリセウス)  (メアリー)

3000年前のギリシャとトロイの、今も伝説になっている戦争のお話。
さかのぼればギリシャの神々の物語にも行き着く。
トロイの王子パリスがギリシャのスパルタを訪問し、滞在中に王妃へレンに恋し連れて帰ってしまう。
へレンの父はゼウスで絶世の美女、その美しさが災いにならないように申込者を募り中から夫を決めた、本人は退屈極まりない生活を送っているところにパリスが来る。
そこで相思相愛となった二人はトロイに逃げ帰った。怒ったトロイの王メネラオスが自分と国の威信をかけて戦いを挑んだ。
ギリシャの連合軍vsトロイ、ギリシャには強国の王で総指揮をとるアガメムノン、アキレスもいる。
一方トロイは第一王子のヘクトル、原因を作った第二王子パリス、王のプリアモスなどがいる。
アキレスは女神テティスの息子、ゼウスはテティスを見初めたのだが自分より強い息子が生まれるという宿命を信じて人間に譲りアキレスが生まれた、テティスはアキレスを不死になる川につけたが、その時足首を握っていたのでそこだけが水に触れなかったというアキレス腱のいわれがある。
海からやってくるギリシャの大群の中にアキレスがいるが、この戦う男はミニスカートのような皮の甲冑に身を固め丸い盾と鋭い剣を持って敵を倒す、ブラッド・ピットはマッチョな体を見せ、ヌードまで披露するサービス。
トロイというよりアキレスの話か、と思わせるが、さすがペーターゼン、高潔なトロイの第一王子ヘクトルの人間味のある配役がいい、最後のこの二人の戦いは面白い。
トロイの神官の娘プリセウスとアキレスの恋物語もある。
トロイの王プリアモスのピーターオトゥールはさすがに気品と風格がある。
こんないいお父さんを苦しめるなとパリスに言いたくなる。
人気者オーランドは改心した放蕩息子だから戦いには向かない、アキレスとの決闘を受けて立ったまではいいが、最後には兄の元に逃げる弱腰、それではすまないと、ついに愛のためには強くもなれるという決意を見せて、また戦いに加わっていく、しかしギリシャ軍の「木馬」作戦の前に敗退、燃え盛る都を後にしようとして、プリセウスを探すアキレスと対面、得意の弓で射る。
やはりオーランドは弓かな。アキレスはこの矢をうけて死ぬ。

***

面白いといえば面白いが、ただそれだけの話。そろそろ大掛かりな戦争映画にも驚かなくなったし、ペーターゼン監督といえば「Uボート」「ネバーエンディングストーリー」「エアホースワン」などなど娯楽映画は一級品だが。
ブラビの勇姿よりもヘクトル(エリック・バナ)の悲運が印象的だった。

トスカーナの休日

トスカーナの休日 [DVD] 「UNDER THE TUSCAN SUN」 (2003年 米)
監督 オードリー・ウェルズ
製作 オードリー・ウエルズ  トム・スタンバーグ
原作 フランシス・メイズ「イタリア トスカーナの休日」
音楽 クリストフ・ベック
出演 ダイアン・レイン(フランシス)サンドラ・オー(バッティ)
   ヴィンセント・リオッタ(マルティーニ)
   ラウル・ボーヴァ(マルチェロ)リンゼイ・ダンカン(キャサリン)
何度もテレビのCMで見ていたが、ダイアン・レインだし、イタリアだし「運命の女」で見たような、
ちょっと露骨なラブストーリーかなと思っていた。ところが。

*

夫の浮気で離婚した作家、批評家のフランシスは鬱々と落ち込んだ毎日だった。
家を出て離婚者用のアパートに入ったのも間違いの元。勿論回りは離婚者だらけ、
隣の部屋から泣き声が聞こえてくるので壁を叩かなければならない。
見かねた友人のバッティがイタリア行きのチケットを呉れた。迷った末に出発。
着いたイタリア トスカーナ地方は題名のように明るい太陽の下で輝いていた。
トスカーナのあまりの美しさもあって、バス旅行の途中で見た古い石造りの家に
惹かれて衝動的に買ってしまう。
でも何せ築300年の古い家なので手を入れなくてはならない。
(こんな明るい所に住んで家を改装することに夢中になっていればいつか
気持ちも癒されるかも)なんていうことで、不動産屋のマルティーニにも励まされながら、
雇った4人のポーランド人とともに夢中で働いて働いてすっかり見違えるように作り変えてしまう。
そのうちに町にも馴染み、友人も出来、ステキな男性にも出会うが、あれこれと事情もあって、
すれ違ってしまいうまくいかない間に彼には恋人が出来てしまってゴメンナサイといわれてしまう。
優しい理想的と思われるマルティーニには家族があり、これも駄目。
でも、彼女はめげない。トスカーナの光が満ち溢れ広々と開いた自然の中で次第に自分を解放していく。この家で家族とともに暮らし結婚式をしたい、という彼女の希望はみんな叶うことになる
改築に来たポーランドの若者は近所の少女との恋を実らせ、完成したフランシスの家で結婚式を挙げる。恋人に逃げられた親友のバッティがやってきて赤ん坊を
産みここで育てる様子。理想の結婚相手も見つかりそうな予感がする。

* * *

という明るくハッピーなお話。ほのぼのとして心温まる作品。ダイアン・レインは年齢を
少し感じるようになった。でも美しい。トスカーナの行事や習慣も見られて楽しい。
何気ない映画だがエピソードも楽しいし、ベストセラーの原作があるのも知らないで見てしまったが、
いい時間を過ごした気がする。

ドクター

ドクター [DVD] 「THE DOCTOR」 (1991年 米)
監督:ランダ・ヘインズ
出演:ウィリアム・ハート、クリスティン・ラーティ、E・パーキンス
名声の高さゆえに高慢な心臓外科医が、ガンの宣告を受けて
初めて患者の立場から生き方を見つめなおす、しみじみと心を打つ作品。
出演作は選んで演じるというW・ハートが、是非にと希望したと作品だという。
個人的にもW・ハートが好きで、ほとんどの作品を見ているが、彼の名演が光る。

2009年1月15日

ディパーテッド

ディパーテッド [DVD] 「THE DEPARTED」 (2006年 米)
監督 マーティン・スコセッシ
出演 レオナルド・ディカプリオ マット・デイモン ジャック・ニコルソン マーティン・シーン 
    アレック・ボールドウィン ヴェラ・ファーミガ マーク・ウォールドバーグ
「インファナル・アフェア」を名作だと思っているので、リメイクしたこれを見るのを先延ばしにしていた。
ところがほとぼりも冷めたのか、娯楽映画、サスペンス、アクション好きとしては見ないといけない、見たい病が高じてとうとう見てしまった。

*

犯罪者や社会的脱落者の家族の中で育ったビリー(ディカプリオ)はしがらみから抜け出るために警察官になることで人生の新たな目標を得ようとしていた。
一方、ボストン一帯を仕切るマフィアのボス、コステロ(ジャック・ニコルソン)に可愛がられて育ったコリン(マット・デイモン)も警察官になる。
二人は優秀な成績で卒業し、ビリーはコステロの元に潜入して警察のスパイになる。
コリンは警察内部ではエリートの部署であるマフィア捜査撲滅チームに配属されるが、コステロの指示通り警察内部の密告者になる。

* * *

151分という長編だが、オリジナルの「インファナル・アフェア」3部作を凝縮したストーリーなので、
どうしても肌理の荒さが目に付くのはいたし方ないが、オリジナルと比べなければ十分面白く出来ていた。
また比べながら見るのも面白く二時間半があっという間に過ぎた。
ディカプリオの外見の泥臭さと内に秘めた正義感、マット・デイモンの一見スマートで知性的な外面に比べ内にある育ちの悪さ、善悪に関する曖昧さがよく現れていた。
ディカプリオに好意的な評が多い中マット・デイモンには辛口の評を読んだが、彼の持ち味のよさがよく出ていると思った。
勿論ジャック・ニコルソンの一見無邪気に見える行為の後ろにあるマフィアの残忍さも顔を見ただけで感じることができるし。
ディカプリオはを初めて見たのは「ギルバート・クレイブ」の障害を持つ弟役だったが、非凡な才能だと思った、その後「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「アビエイター」などで次第に重厚な雰囲気も身につけてきている。
マット・デイモンは特異なキャラで性格俳優かと思っていたが「ボーン・アイデンティティ」「ボーン・スプレマシー」など面白い作品を見たし、その他のアクション映画も面白い。
ただこの映画を見て思うことは、香港のアンディ・ラウにしても、トニー・レオンにしても二人のキャラクターは大違いながらそこはかとない色気のようなものがある。
ディカプリオやマット・デイモンにはそれが感じられないところが、精神科医のさびしげな女性と(どういうわけか二人ともに)絡んでも何か空回りの感が否めない。
トニー・レオンが精神科医にかかるのは理解できるがディカプリオが医者に行くのは唐突で一言二言説明があるがここで何かを感じさせるのは無理。
無理やりはめ込んだ配役のように馴染めない、まだ゙アンディ・ラウの婚約者のほうがストリーとのかかわり方に深いものがある。
リメイクながら上司の口汚さや、思いやりのない罵詈雑言は必要なのだろうか、これがお国柄か、あまり本筋には関係なくて後味が悪い。ウォン警視の役柄はどこに行ったのか配役を分散してしまったらしい。これでは大切な彼の殉死というエピソードが生きていない。警官になるまでのいきさつやお互いの役割が分かれるところもこれでは分かり辛いだろう。
作品の本質の違い(二人の苦しみ)をあれこれ言っても仕方がないことで、文化の違いを比較してみることも面白いかもしれない。
「DEPARTED」という題名は抽象的なものかと思ったらそのものズバリだった。
こんな風に変わったところからもう最後が読めるようで、こういったカタルシスを設けて話の締めくくりにしたのもハリウッド的でうなづけるが、オリジナルをしのぐ作品にはならなかったところが残念。
アカデミー賞に少々疑問も残る。

ダンサー・イン・ザ・ダーク

ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD] 「DANCER in the DARK」 (2000年 デンマーク)
監督:ラース・フォン・トリアー   
出演:ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ、デビッド・ モース、ピーター・ストーメア
セルマ(ビョーク)は目の病で視力をほとんど失いつつ、いずれ同じように視力を失う息子に手術を受けさせるため視力の乏しいことを隠しながら工場で働く。
彼女は純粋に息子に手術を受けさせる為だけを考え、行動する。
特徴は、辛い現実に対して自分のバランスを保つ為か、
様々な音をミュージカルに結びつけては、セルマが入ってしまいがちの空想の世界。
その空想の中ではセルマの目は見えその場面の全ての人がミュージカルの出演者になる。
列車の上での(CM に使われていた曲の)シーンでは、
見えないことをそんなに悲観していないということを歌い、強さという点でも印象的。
独特の音楽と映像と ビョークの演技が一層ストーリーを際立たせている、
本当に色々な意味で心に残る作品。

・2000年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞
・2000年カンヌ国際映画祭主演女優賞(ビョーク)

タイフーン

タイフーン [DVD] 「TYPHOON」 (2005年 韓)
監督 クァク・キョンテク
出演 チャン・ドンゴン(シン) イ・ジョンジェ(カン・セジョン) イ・ミヨン(ミョンジュ)
「シュリ」「友へ/チング」「JSA」「ウラザーフッド」「シルミド」など最近の韓国映画はとてもよく出来ている。
「タイフーン」も、その「チング/友へ」の監督ということと、カン・ドンゴンとイ・ジョンジェの共演というので楽しみにしていた。

*

タイを根城にしている海賊にアメリカの貨物船が襲われ、核ミサイルの衛星誘導装置が強奪された。
これはアメリカから沖縄へ向かう極秘裏の輸送であったため、
海軍で特殊部隊経験のあるカン・セジョンが独自に捜索することを命じられる。
海賊のリーダー,シンは奪った誘導装置と核廃棄物とを引き換え、
それを使ってひそかに韓国に対してテロを画策していた。
シンに向かって捜査の手を縮めていくセジョンは、盗品の仲買人からシンの居場所を聞き出す。
シンは20年目に脱北を図って韓国に入り、皆殺しにされたチェ一族の生き残りだった。
彼の姉がウラジオストックの売春宿にいることを知り、セジョンはそこでシンを待つ。
二つの大型台風が韓国に迫った夜、テロが決行されることになる。

* * *

この監督はまりよく知らないが「トンケの蒼い空」という作品もある。
小さな漁村の出来事を描いた地味な作品で、その後に「チング」を見てこの「タイフーン」を見ることになったのだが、「チング」も田舎の子供達が大人になる話だった。
莫大な予算をつぎ込んで作ったと言われるだけあってスケールの大きな話であった。
ただ残念なことに完成度について不満が残る。
ストーリーは韓国に裏切られて身内を殺されたと思って成長した青年の20年間の悲惨な生涯と彼を追う将校の物語で、見せ場はシンと姉の愛、シンと将校の接触、テロ決行の日の荒れ狂う海で、阻止しようとする将校達とのアクション場面だが、
多少いらないかなと思えるシーンがあり、もう少し丁寧な説明で描いて欲しいと思われる部分もある。
確かに目の大きなチャン・ドンゴンは憑かれたかのような鋭い風貌で圧倒するし、
細身の将校のイ・ジョンジェはスマートできまっている。
この人の作品はどれも繊細で静かで美しい。「ラストプレゼント」の寄席芸人、「イルマーレ」の建築家「情事」の青年、ドラマ「白夜」でも印象は変わらない。
もう少しだけ整理して、大型のエンターテイメントというならあまり枝葉をつけないシーンを重ねて感情移入しやすい作品であって欲しかった。
そして夜のシーンでも、もう少し明度をあげてはいけなかっただろうか、近くにあって共通の文化もあるように思える韓国の映画は幕切れが哀切であるものが多い。
あまりこういった場面は好きではないが、人生観や宗教観に根本的な違いがあるのだろうか、
最期の場面に見られるようなシーンでは仏教的な転生輪廻についてはどうなのだろう、
死生観や罪の意識の受け止め方はどう違うのだろうか。

などと思いながら見た。力の入った作品で面白くはあった。

ダイヤルM

ダイヤルM [DVD] 「A PERFECT MURDER」 (1998年 米)
監督 アンドリュー・デイヴィス
脚本 パトリック・スミス・ケリー
出演 マイケル・ダグラス(スティーブン) グィネス・バルトロウ(エミリー) 
    ヴィゴ・モーテンセン(デイヴィッド) デヴィッド・スーシェ(モハメド・カラハン)
ヒッチコックの「ダイアルMを廻せ」のリメイク版。昔見たような気がするが
きれいさっぱり忘れてしまっていたのでとても面白かった。

*

廃屋のようなビルのロフトが、エミリーの不倫相手デイヴィッドが絵を描いているアトリエで、
雑然とした中に大きなベッドがありあちこちに絵が散らばっている。
現代的でオープニングにピッタリ。
エミリーは資産家の娘で夫も事業で成功して豪華なペントハウスを構えているが、
夫は今積み重ねてきた不正な取引が行き詰まり、破産寸前で早急に莫大な金額を用意しなくてはならなくなっている。
そこで妻の遺産を狙って殺害計画を立てる。
不倫相手(デイヴィット)に犯罪歴があることを調べだして追い詰めて妻を殺させることにする。
殺害時刻に出先から妻に電話をいれ、妻がバスルームから電話に出た所を、撲殺させる。
この完全犯罪を狙った妻殺しをデイヴィッドは引き受ける。
そして当夜忍び込んだ犯人は、スティーブンからの電話に出たエミリーを襲う。

* * *

マイケル・ダグラスの笑わない目が怖い。
グィネス・バルトロウは真相に迫りかけているのに夫の巧みな嘘にだまされるような育ちのいい妻だが、
命がけで抵抗して危機を脱するところなど、シガニー・ウイーヴァーほどでなくても女は強く、粘り強い。
「フレッシュ アンド ボーン」では、たちの悪いアメリカ娘を演じていたが「恋におちたシェークスピア」や「大いなる遺産」「リプリー」など品のいいお嬢さんになってきて美しい。
実生活では一児のある奥様になっようだが。

ヴィゴ・モーテンセンのデイヴィッドは、過去を調べ上げられ大金を積まれ「さあどうするの」と思えばあっさりエミリーを捨てて金をとった。
ロード オブ ザ リングのアラゴルンのイメージが変われば変わるものだ。
多少の未練があってもよさそうな二人の様子だっただけに。
彼は余分な肉を削いだ様な風貌なのでひ弱な落伍者めいて、心の底には何か暗いものがある、
犯人役にはうってつけ、でもよく見ると横顔はとても美しい人だ。
ストーリーは半ばまでは緊迫感もあり、デイヴィッドが殺人以外に逃げ道をなくしてしまうところを掴んでくる、悪の道にも通じたスティーブンの計画はよく出来ている。
でも重要なディヴィッドの最後が軽すぎる。刑事のデヴィッド・スーシェはお馴染みの「ポアロ」だったのに亡くなってしまってもう見られないのが寂しい。

もう少し言えば、鍵の隠し場所がわからないのはおかしい。
今なら捜査中にすぐに見つけるだろう。またガレージの開く時間に丁度犯人が居合わせるのも出来すぎのようで、まぁ偶然と言うこともあるし、となるとスティーブンがロフトに入ったとき偶然にも旅行社からの電話が入るのも出来すぎ。
刑事とエミリー外国語で話せるなら、スティーブン抜きでもっと面白い話の展開があってもいい。
紙袋に大金をいれてあんなに歩き回って破れないだろうかと余計な心配までしたが雨でなくて良かった。雨で袋が破れ金が散ってしまいでもしたら地上版「地下室のメロディー」だ。
最初にローストビーフを出し、尖った調理器具を念入りに写していたら何かあると思うでしょう。
途中であれを使うのかと気がついてしまった。さりげなく見せて欲しかった。
ただあんな器具は見たことがないが、確実に殺す計画ならぶら下がったフライパンで殴るより側にある包丁が取り易くていいでしょう。もみ合って押さえつけられているのだから。
最後は簡単に正当防衛なのね。あっけない幕切れだった。

でも色々言ってはみたが、細部までよく仕組まれたストーリーで次がどうなるか緊張感があって面白かった。

2009年1月14日

スパイダーマン 2

スパイダーマンTM2 デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD] 「SPIDER-MAN 2」 (2004年 米)
監督 サム・ライミ
脚本 アルヴィン・サージェント
出演 トビー・マグワイア(ピーター、スパイダーマン)
   キルスティン・ダンスト(メリー・ジェーン) 
   アルフレッド・モリーナ(Dr.オットー or オクタヴィウス or ドック・オク)
   ジェムス・フランコ(ハリー・オズボーン)
   ローズマリー・ハリス(メイ・パーカー)ー
   ジェムス・フランコ(ハリー・オズボーン)ローズマリー・ハリス(メイ・パーカー)
たぶん1を見てからのほうが面白い。肩のこらない楽しい青春映画。
若く人間的なスパイダーマンで超人になりきれない悩みを持つ大学生が主人公、
「運命さえも敵なのか」という大袈裟な命題の、気合の入ったコピーどおりの展開が実にスピーディで面白い。

普通の貧乏学生で両親はいない、いつもぼろアパートの大家さんに家賃の催促をされている。
その上ガーフレンドにも真実を打ち明けられず悩んでいる。
そんな生活をしていて、スパイダーマンに変身しないではいられない状況に陥ってしまう。
この間のジレンマがちょっと痛々しい 2 の面白さはここにある。
そしてついにドック・オクの登場、彼が実験に使う装置もホラーじみて少々不気味、
何しろメカと肉体が結合するおぞましい部分を我慢しなければ次に進まない。
実験が失敗して彼は怪物になり、スパイダーマンの前に登場する。
この体と一体になった4本足(手)の部分は精密で一見の価値がある。

何が面白いか、この平凡で目立たない若者がいい、科学的知能は人並みはずれて高く、必須アイテムの蜘蛛の糸状の接着材を作り出して使っている、衣装、(このコスチュームはスパイダーマンスーツというらしいが)も自分で作っている。
非常に着心地が悪いと自分でも言っているのが可笑しい。
その手作りのわけは、人に頼むわけにいかない現状で。
ガールフレンドも可愛い。煮え切らない彼から離れて宇宙飛行士と婚約してみたりする。
自立しているメイおばさんも好き。
いいキャラクターはほかに親友のハリー、新聞社の編集長などなど、にぎやかだ。

変身後のポーズ、アクションというか、蜘蛛のように平らになって三角の目から辺りを伺って、
飛びかかる姿勢をとるがアレはワクワクする。
とにかくわからない部分はあまり難しくほじくらないで見る。
気にしなければ主人公と一緒に冒険が出来る、無類の娯楽映画で、次も楽しみ。
ただ今回マスクを取って顔を見せてしまった、次回はどうなるのだろう。

スパイ・ゲーム

スパイ・ゲーム [DVD] 「SPY GAME」 (2001年 米)
監督:トニー・スコット   
出演:ロバート・レッドフォード ブラッド・ピット
   キャサリン・マコーマック
中国、蘇州刑務所に投獄されたビショップ(ビラッド・ピット)は、アメリカのCIA局員ネイサン(ロバート・レッドフォード)が、ベトナム戦線でスパイとしての素質を見出し育てた若者であった。
大統領訪中ということもあり、上層部はビショップを助けないことにする。
24時間後にはネイサンはCIAを退職することになっていた。
NYのCIA会議室で、ビショップの資料の提出を求められたネイサンは、それを小出しにしながら時間を稼ぎビショップ救出を開始する。
ネイサンを父親のように親しんで信頼していた若いビショップは潔癖で純粋であったため、
ネイサンの情け容赦のない任務遂行のやりかたについていけずいつか二人は袖を分かっていた。

24時間で、NYにいるネイサンが厳重な警備の蘇州刑務所からどうやってビショップを助け出すか。その方法が見所だと思っていた。
一種の頭脳作戦である。 ところが二人のトップ俳優の競演に押されたのか、あのトニースコットは少々甘い人間ドラマにしていた。
それが嫌いというのではないし、レッドフォードは私 の青春であり、ブラッドピットも見るだけで嬉しい。
でもこの映画に期待していたのはそうではなかった。
たとえば、「ラストボースカウト」の娯楽性でもいい、実際これは文句なく楽しい映画だったし、
「クリムゾン・タイド」のデンゼル・ワシントンとジーン・ ハックマンの息詰まるような緊迫感、
「エネミーオブアメリカ」の薄気味悪さなど多くの面白い作品で定評があるにも拘らず、
半端な印象を受けた。
大筋では落ち着かない後味ではあったが、さすが見所は多かった。
ネイサンが医者を装って進入する方法が空中からの大型ヘリである、
うまく行きそうであったのにもう少しのところで見つかり刑務所入りとなる。
殴られて「ファイトクラブ」のように顔が壊れている。
ベイルートの作戦では大掛かりな爆破の場面がある。
CIAにはネイサンの作戦を阻む憎まれ役もいる。
ブラッドピッドが命がけで救い出そうとする、難民救援を使命にして手段を選ばない美女エリザベス(キャサリン・マコーマック)。
でもこの人美人には違いないが今回少し疲れすぎていた。
難民救済は大変な仕事だし、辛い過去もあったらしいが。

レッドフォードは退職前の役、年なりに味がある。

スターウォーズ エピソードII クローンの攻撃

スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃 [DVD] 「STAR WARS EPISODE II ATTACK OF THE CLONES」 (2002年 米)
製作 総指揮監督 脚本 ジョージ・ルーカス
製作 リック・マッカラム(インディ・ジョーンズ)
プロダクションデザイナー ギャビン・ポケット(エレファントマン)
サウンドデザイナー ベン・ハート(インディジョーンズ。レイダース)
出演 ヘイデン・クリステンセン ユアン・マクレガー イアン・マクダーミド
  ナタリー・ポートマクリストファ・リーサミュエル・ジャクソン
エピソード?に続くスカイウォカー家の歴史と、遠い銀河系で起きた平和を愛する人たちと、
悪の愉しさと欲望に負けて暗黒の世界に生きる人たちとの戦いの歴史。

*

子供向けに作られてもいるので分かり易いお話。
言葉も平易で画面を見ているだけで映画が終わる。
ストーリーはもうあまりによく知られていて事前にTVでも放映されたので、
関心のある人には必要がない。
今回がエピソード?ということで、以前に公開されたものが、物語としては
ハン・ソロ(ハリソン・フォード)などが活躍する未来を先取りしているので、
その発端が今回のシリーズの物語である。

エピソード?で10歳だったアナキン・スカイウオーカーも20歳になっている。
亡くなった騎士クワイ=ガン・ジンに素質を見込まれて母と別れ、高潔で勇敢なジェダイの騎士になるべく、今はオビ=ワン・ケノービの元で修行中の身。
しかし、クワイのもとで厳しい修行を果たしたオビ=ワンとは違って、独立心反抗心ともに強く律しきれないぶん、ストレスとなって日ごろの行動が危ぶまれている。
これがとても今風。

20歳になったアナキンと?話でナブーの女王であったアミダラが結婚する。
二人の恋物語も美しい風景の中に展開するが、未来の暗さを予想させる所も
細かい心配り。後に活躍する、ルーク・スカイウォーカーと、レイヤ姫が
姉と弟であり、養父母に育てられたことになっているので物語の進展は察しがつく。
アナキンがどうしていつ右手を無くしたのかという事などを含めてマニアックな見方もある。
人気のあるライトセーバーの色分け、船の外観装備、銀河系に属する国々の環境、風景など、
イメージがこれまで以上に複雑でそれが画面一杯に拡大されているのを見るのは楽しい。

キャラクターについても、お馴染みのヨーダなどの騎士、(メイス・ウインドゥ役の
サミュエル・ジャクソンもその一人、今回は会議室から出て紫のライトセー バーで戦うが精悍で美しい)ジャー・ジャー・ビンクス、とぼけたC?3PO、なかなか凄いメカニックのR2?D2などのドロイドも様々いる、アナキン役の ヘイデンは複雑な年頃をうまく演じ、アミダラはあの「レオン」の少女ナタリー・ポートマン、まず綺麗で宇宙的美女を演じるはまり役。
冷静な決断力も併せ持 つ理想像でもある。「ドラキュラ」のクリストファー・リーも出ている。
しかしなんといってもユアン・マクレガーのオビ=ワン・ケノービがいい、というのは とても個人的な好みかもしれないが。
騎士道というのはアーサー王の円卓に座ってなくても、十字軍でなくても憧れだなぁ。
ジョージ・ルーカスも同感なのだろ う。

面白い面白くない、関心のあるなしは何に於いても多分に観客の資質の違いで、
現代のハイテク技術と多くのの予算と時間、優れたスタッフを使って作り上げたエンターテイメント映画でこれは屈指のもの。
音楽は新しいテーマ曲も盛り込んでいつものジョン・ウイリアムズ作曲。

真珠の耳飾りの少女

真珠の耳飾りの少女 通常版 [DVD] 「GIRL WITH A PEARL EARRING」 (2003 英)
監督 ピーター・ウェーバー
製作 アンディ・パターソン アナンド・タッカー
脚本 オリビア・ヘトリード
原作 トレイシー・シュヴァリエ
出演 コリン・フアース(ヨハネス・フェルメール)スカーレット・ヨハンソン(グリート)
     トム・ウイルキンソン(ファン・ライフェン)キリアン・マーフィ(ピーター)
     ミンテリ、「カジノ」のケヴィン・ポ
フェルメールの絵を題材にして書かれた小説を映画化したもの。
原作は読んでいないが、当時のオランダの風景や、絵が描かれた背景が美しい。

*

グリートは父親が事故で目が見えなくなり、フェルメールの家にメイドになって住み込むことになった。
狭い部屋を与えられ掃除や洗濯などの雑用をしていた。
フェルメールは寡作であったが、大家族の生活を支えていくにはどうしても
絵を仕上げなくてはならず、母親や妻はパトロンに取り入って彼の絵の売り込みに余念がなかった。
グリートは豊かな感性と優れた色彩感覚に恵まれていた。
それを知ったフェルメールは絵の具の調合を任せるようになり、二人は次第に親しみを深めていった。だが気位の高い妻はそれに気づいて激しく嫉妬する。
母親は二人の気持ちに気づいてそれを利用して新しい絵を描かせようとパトロンに持ちかける。
そしてフェルメールは依頼通り、グリートを描きはじめた。
彼は青いターバンを巻き、母親が差し出した妻の真珠のイヤリングをつけた
グリートの肖像画を描きあげる。

* * *

当時身分の低いメイドの些細な言葉を受け入れるフェルメールの少女に対する愛情が静かに流れ、
アトリエの窓を通した柔らかな光が情感を高めている。
ターバンの色を印象付けるためか、フェルメール色といわれる青い色が効果的に使われ、
トーンの静かな画面にきらめくようにちりばめられている。
スカーレット・ヨハンソンの愛らしさや激しさ、コリン・フアースの世事に疎い画家の姿がまたいい。
静かな中に激しさも感じられる素晴らしい作品。

2009年1月13日

サイダー・ハウス・ルール

サイダーハウス・ルール DTS特別版 [DVD] 「THE CIDER HOUSE RULES」 (1994年 米)
監督 ラッセ・ハルストレム
原作脚本 ジョン・アービング
出演 トビー・マグワイア、シャーリズ・セロン、
  マイケル・ケイン、デルロイ・リン ランダ・ヘインズ
ホーマーは孤児院で生まれた。
里親が決まって出て行っては返され、とうとう産婦人科医であるラーチ院長の愛弟子として育てられることになる。
妊娠中絶や、分娩の手伝いをして成長し、外の世界を知らないまま孤児の世話を続けていた。
青年に成長したころ、手術のためにやってきたカップルに刺激を受け外の世界に触れたくなる。
院長の悲しみに迷いながらも、林檎園に雇われて新しい生活を始めた。
無垢で純な若者の成長と孤児院にいて孤独に耐える院長の深い絆。
新しい世界でのさまざまな経験。孤児院の子供達の寂しさなどが物語として心に染みる。
風景もとても美しい。

*

アカデミー助演男優賞 マイケル・ケイン
アカデミー脚本賞受賞

コールド マウンテン

コールドマウンテン [DVD] 監督 アンソニー・ミンゲラ
脚本 アンソニー・ミンゲラ ソニー・ミンゲラ
製作総指揮 イアイン・スミス
撮影 ジョン・シール
音楽 ガブリエル・ヤール
出演 ジュード・ロウ(インマン) ニコール・キッドマン(エイダ) 
    レニー・ゼルウィガー(ルビー) ナタリー・ポートマン(セーラ)
    ドナルド・サザーランド(牧師) キャシー・ベイカー(サリー)
"「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー賞に輝いた
  アンソニー・ミンゲラ監督が壮大なスケールで描く至高のラブストーリー"

  激動の時代に生まれた純粋すぎる恋 ------ 21世紀の「風と共に去りぬ」

というコピーをあとで知った。紹介されて至高のラブストーリーという物を見た。
俳優もいいと思ったのだが、ここに書いておくほどの感動はなかった。
なぜ絶賛されて沢山の賞を受けたのだろう。

運命の相手にであったと感じたインマンとエイダ、第二次大戦下で戦地から500キロの距離を歩いて恋人の待つ故郷、コールドマウンテンに帰ろうとするインマンと、
帰りを待つために故郷を離れないエイダの物語。
原作がベストセラーであり、スタッフも実績のある人が揃って、カメラワークもいい、透明で美しい風景は印象的。
ジュード・ロウの内向的で暗いキャラクターは好きなので適役かも。
トム・クルーズよりもよかったのかもしれない。二コールキッドマンも美しかった。
中でもレニー・ゼルウィガーは大地に根付いた力強い女性を演じて素晴らしく、私は好きな女優なので、どの映画見ても存在感がある。
ただ原作を読んでいないので、インマンが脱走する理由がエイダに遭いたいだけというのは、どうもつまらない。
トム・クルーズが嫌がったわけも分かる。現代に置き換えると、社会的にはいて欲しくない男といえる。
エイダにしてもいくら現実離れのしたお嬢様育ちとはいえ、環境が変われば生きていくすべくらいは考えるだろう。
ルビーが同居してくれなければ飢え死にしていたのだろうか。
運命だのを信じ、確かに信念を曲げない強い人も沢山いるだろう、意思の強い人もいる、
運命の人に出会うことも考えられるが、現実的なのは私かも。
こんな純愛物語に感動しなくなった年齢になったのだろうか。

グリーンディスティニー

グリーン・デスティニー コレクターズエディション [DVD] 「CROUCHNG TIGER, HIDDEN DRAGON」 (2000年 中・米・香・台)
監督:アン・リー   
出演:チョウ・ユンファ ミシェル・ヨー
  チャン・ツィイー チャン・チェン
グリーンディスティニー(碧名剣)と呼ばれる刀をめぐる話ではあるが、
剣士(チョウ・ユンファ)、豪商の女主人(ミッシェル・ヨー)、名家のおてんば娘(チャン・ツィイー)、
盗賊(チャン・チェン)、忍び、などなど入り乱れて話はすすむ。
頭を丸めたチョウ・ユンファが静かーにこれも剣士であるミッシェ ル・ヨーと
大人の恋愛をするかと思えば、やんちゃなチャン・ツィイーはお母さんの簪を取り戻しに行った先で
盗賊と恋に落ちる。この思い出話が長い、長過 ぎ。
物語は中国のそれらしいストイックな修行話もあり、共感できる部分もあるが、
話題のワイアー・アクションは、あまりに凝り過ぎ、地球の重力に逆らいす ぎて滑稽。
これはせめて「マトリックス」で止めておくべき。
しかし剣戟はやはり迫力があり、美少女のチャン・ツィイーが旅籠で暴れる場面は面白い。
これは名場面だ。好き嫌いの分かれるところだろうが、娯楽映画としては好きな部類。
ヨーヨー・マのチェロがとてもいい。
この人はあまりにも有名だが、ほんと昔まだ若者の頃「徹子の部屋」に出ていた。
その時に初めてチェロを弾いたのを聞い たのだが、素晴らしかった。
宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」もこんな音が出したかったのかという気がしたのを思い出す。

ボンドガールのミッシェル・ヨーは落ち着いた一見はかなげな容姿で「宗家の三姉妹」では長女だった。
がアクションも迫力があり、インタビューなど話し上手で深みもある。ちょっとお喋りな楽しい人のようだ。

キング・アーサー

キング・アーサー [DVD] 「KING ARTHUR」 (2005年 米)
監督 アントワン・フーケア
脚本 デイヴィッド・フランソーニ
製作 ジェリー・ブラッカイマー
撮影 スラヴォミール・イジャック
出演 クライヴ・オーエン(アーサー) キーラ・ナイトレイ(グウィネヴィア) 
    ヨアン・グリフィズ(ランスロット) スチーヴン・ディレイン(マーリン)
    ヒュー・ダンシー(ガラハット)
これは、よく知られているアーサー王の話ではない。
史実に従って作られたというが、大掛かりな戦闘場面に多少の心理的要素を盛り込んだ、ハリウッドの大型映画だ。
中世の戦闘場面も力が入っているが目新しくはない。
アーサー王は実在したかも知れないが、今はファンタジックな伝説の世界で生きている。
円卓の騎士たちもそれぞれのエピソードとともに親しまれてきた。史実に忠実に作ったそうだが、なぜそうでなくてはならないのだろう。
子供時代から親しんできたアーサーとはあまりにも話が違い過ぎて、エクスカリバーもかすんでしまった。

ただこれがアーサー王の話でなかったとしたら、ランスロットが死ぬまではとても面白い。
牧歌的なウエールズの草原をマントを靡かせて疾走するシルエットは美しくて胸が躍る程。
氷上での決戦の様子は水中のカメラワークもあって緊迫感と美しさを堪能できる。

アーサー王のリーダーとしての苦悩も少しは理解できるが、ストーリーが混乱している。
ランスロットが死んでからグウィネヴィアとアーサーが結婚する。「湖水のランスロット」で有名な恋の悩みはいったいなんだったのか、ロマンチックな伝説は史実と異なるので切り捨てた?
ここからは終盤はお手軽な進行で話が完結。台詞も陳腐でつまらない。 
戦うグウィネヴィアは美しいがまるでアマゾネス。
アーサーのクライヴ・オーエンは印象として少し線が細いかな。

ランスロットのヨアン・グリフィスはイギリスの俳優だそうだが、現実的、理論的な性格を反映して適役。
「キング・アーサー」でなくて、別物であればとても面白かったのに。

2009年1月12日

ギルバート・グレイプ

ギルバート・グレイプ;WHAT'S EATING GILBERT GRAPE [DVD] 「What's Eating Gilbert Grape」 (1993年 米)
監督 ラッセ・ハルストレム
脚本 ピーター・ヘッジスジスソニー・ミンゲラ
出演 ジョニー・デップ(ギルバート) レオナルド・ディカプリオ(アーニー) 
    ジュリエット・ルイス(ベッキー)
 
アメリカ アイオワ州の片田舎の町にある小さなスーパーでギルバートは働いていた。
24年間小さな町から出ることもなく成長し、障害を持つ弟アーニー、夫の突然の死で過食症になり、肥満で動くこともままならない母。妹が二人。
こんな家族を養っていた。弟は短命だろうと診断されていたが、もうすぐ18歳の誕生日を迎える。
ギルバートの優しい保護の下で元気に成長してきた。たまには高い給水塔のはしごを上り町の人たちをハラハラさせていた。
そこにキャンピングカーの隊列が来る。弟は毎年銀色の車の列が通り過ぎるのを楽しみにしていた。
その中でエンジンの故障で近くにキャンプをすることになった車がある。その車にはあちこち旅をして暮らしている若い娘と祖母が乗っていた。
時折娘のベッキーが買い物に来てギルバートが配達を頼まれた。
そんなことが重なり二人は急速に親しくなっていった。家族にハンディを抱えるギルバートはこの明るく自由な魂をもつベッキーに惹かれ二人は愛し合うようになる。
車のエンジンが直りベッキーは旅立ことになったが、ギルバートは
家族のこともあり、別れを受け入れることは運命のように感じていた。

* * *

最近あくの強い役が多い、ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが共演している。
二人ともまだ若く、田舎の町に溶け込むほどの自然体で演じている。
長男の責任を果たさなくてはならないと受け入れてきた境遇が、外の世界から来たベッキーによっで次第に窮屈に思えてくる。
若者の社会への目覚めと、彼女を愛するようになった心の揺れが、痛ましいほど美しく響いてくる。
障害を持つ弟を演じたレオナルド・ディカプリオが絶賛された映画だが、私の好みは抜きにしても、いつもなにか不満げに口を結んでいるジョニー・デップの素直な笑顔に感動した。
人生には思いがけない転機がある、そんな数少ない僥倖に恵まれた時、人はどんな方法を選ぶだろう。
しみじみと心を打つ美しい作品、静かな秋の夜にまた見たいと思う。

季節の中で

季節の中で [DVD]「THREE SEASONS」 (1999年 ベトナム) 
監督・製作・脚本 トニー・ブイ
撮影 リサ・リンズラー
製作総指揮 ハーヴィ・カイテル
出演 ハーヴィ・カイテル ドン・ズオン ゾーイ・ブイ  グエン・ゴッグ・ヒエップ
     ミンテリ、「カジノ」のケヴィン・ポ
とても好きな作品で、一度見たが暫くしてまた借りてきて見た。
何度見ても感動的で余韻を残す、珍しい映像の作品。

*

荒れたベトナムの中で4つの話が展開する。
ベトナム戦争に参加した元アメリカ兵は当時現地の女性との間に生まれた娘を捜している。
ストリートキッズの少年は物売りをして生きている。
読書好きのシクロの運転手は娼婦に恋をしている。
大きな蓮池で花を摘む仕事をしている少女は池に中の屋敷に住む詩人。
ダオの元に呼ばれていく。
それぞれの生活が復興途中のサイゴンの町に展開する。
出稼ぎの女達が池を覆うように広がった蓮の中から花のつぼみを摘んで、自分の小船に乗せていく、 まとめられた花は篭に入れてサイゴンの町に売りに行き、通りがかりの人達が数本ずつ買っていく。その女達の中に田舎から少女がやってくる。
女達は花を摘みながら歌を歌う。少女も古里で覚えた歌を歌いだし、その歌声は池の中に建つ寺の中でひっそりと暮らしているダオの元に届く。
彼は美しかった若い頃の面影はすでになく、今は年老いて、ハンセン病のために顔も手足も崩れ、詩を書くこともやめて世間から身を隠していた。
机の上に詩を書いた紙を見つけて感動した少女はダオにもう一度書くことを勧める、そして寺に行って代筆をするようになる。
ストリートキッズの少年はカバンに雑貨を入れて街頭で売って生きているが
ホテルの前で椅子に座って通る人を見ながら、娘を捜している元兵士と知り合って
ビールを一緒に飲ん寝込んだ隙に商売道具を盗まれてしまう。
彼は必死に探すが、見つけないともう商売はさせないと親方にいわれてしまう。
シクロの運転手は助けた娼婦が気になり仕事おわるのを待っているうちに恋をする
娼婦はいつかこんな生活から抜け出したいと思っている。

* * *

それぞれの人物の生活が交差して物語が流れていくが、画面がとても美しい。
特に池に咲く蓮の花の美しさはまるで楽園のようで、その中に建っている寺の主との
物語を際立たせ、ついに別れとなる時の哀切な思いはいつまでも忘れられない、
ダオの若く美しかった頃の思い出のある、水上市場の川に蓮の花が流れていく
シーンは東洋的な悲しみと共に美しく深く心に残る。
町を走るシクロ、娼婦のためにシクロの競争に出る運転手、いつも読んでいる本をそっと渡す、小さな出来事が何か物悲しい恋物語になっている
20代のベトナム出身の監督が作った映画だそうだ。彼にとってもベトナム戦争は
もう遠いものかもしれないが、戦場だった町に対する郷愁が感じられ、
雨のシーンは路上生活をする少年の孤独を良くあらわしている。ストリートキッズや米兵の話は背景作りのために入れたのだろうか、あまり印象に残っていない。
ただ美しい蓮の花が目に浮かぶ。情感豊かな作品。

奇人たちの晩餐会

奇人たちの晩餐会 [DVD] 「LE DINER DE CONS」 (1998年 仏)
監督:フランシス・ヴェベール 
出演:ジャック・ヴィルレ(フランソワ・ピニョン)
    ティエリー・レルミット(ピエール・プロシャン)
    カトリーヌ・フロ(マルレーヌ)ダニエル・プレヴォスト(シュヴァル)
    ウランシス・ユステール(ジュスト・ルブラン)
    アレクサンドラ・ヴァンダヌート(クリスティーヌ)
 
「奇人たちの晩餐会」という題を見ていつも通り過ぎていた。
この映画を知らなかったので、奇人変人が集まって食事をするのだが、テーマが何かあって最後は哲学的な小うるさい映画かもしれないと思ったり、どたばたかも知れないと怖気づいたりしていたが、思い切って見てみることにした。

*

若くして出版業で成功したプロシャンは水曜日に、メンバーが一人ずつ選んだバカを招待してからかい、中からベストワンを決めるという晩餐会を開いていた。
偶然見つけたバカというのは、税務局に勤めるピニョンという男で、彼は妻と離婚した後の寂しさをマッチ棒を使った工芸品を作って慰めているということだった。
プロシャンは会ってみるべく前もって彼を家に招待するが、彼がチャイムを鳴らす前に腰をひねり重症のギックリ腰になって動けなくなってしまう。
またの機会にしようというプロシャンに親切にも手助けを申し込んだピニョンを
プロシャンが追い返そうとするたびに邪魔が入る。実はその時にはプロシャンの妻も彼に愛想を尽かして家を出て行っていたのだった。彼は納得できず妻を連れ戻そうとするのだがそのたびにピニョンのせいでまずい立場に追い込まれてしまう。
妻に逃げられた同じ立場のピニョンは、善意で何とか役に立とうとするのだが悲しいかなバカ。ピニョンとプロシャンのやり取りがおかしくも歯がゆい、こんなこと現実にもありそうという場面に出くわすたびに、実に具合の悪いタイミングで、見境のないことを言いしでかしてしまう。今で言う空気のまったく読めない男なのだが、自分のせいで一度は戻りかけたプロシャンの妻を、また出て行かせた事を後悔したピニョンは、最後に彼独特の考えを搾り出す。

* * *

いやおかしくて感動した。90分が短く感じられた。
善意のバカほど厄介なものはない,一つ学んでもまた状況が変わると同じことをくり返す。
本人には自覚がないだけに周りのものの迷惑と怒りが伝わってくる。
悪気はないけれど始末におえない。これに似たようなことは、だれでも一度や二度は経験したことがありそうという展開。 
色々な出来事が積み重なり一気に見てしまう。
でも、善意には救いがある。バカを笑いものにするなんてとんでもない、
バカでない人間がいるだろうか、バカを笑っているプロシャンもまたバカだった
という笑いが少々苦い映画。大変面白かった。

かげろう

かげろう [DVD] 「STRAYED」 (2003年 仏)
監督 アンドレ・テシネ
製作 ジャン・ピエール・ラムゼイ・レヴィ
原作 ジル・ペロー
出演 エマニュエル・ベアール(オディール)ガスパール・ウリエル(イヴァン)
   グレゴワール・ルブランス=ランゲ(息子 フィリップ)
   クレメンス・メイエ(娘 カティ)
ポスターを見てひるむ感じだったのだが、評判が気になって見ておいたほうがいいかなと借りてきた。噂の通りいい映画で10点満点なら7点かな。

*

第二次大戦の折、ドイツ軍に追われてパリから逃げ出した母と二人の子供がいる。
田舎の細い道を疲れた人たちが列を作って歩いている中を親子は車でのろのろと
走っているが、夏の暑い日にドイツ軍の爆撃からやっと逃げ延びた親子は
一人の青年(イヴァン)に救われる。道を外れて草原に逃げて森に入っていくと
一軒の家が見えた。たどり着いたその空家で不思議な青年とともに生活を始める。
青年は食料にする鶏や魚を持って帰り、一家の生活の面倒を見はじめるが、
母(オディール)には教養のかけらもない粗野なイヴァンと暮らすことが
耐えられなかった。だが彼は戦死した夫の代わりのように現れて生活に
入り込んでくる。息子も娘も彼に親しみ、オディールのもその生活力に頼らなくてはならなかった恵まれない環境で育ち文字もろくに読めないまま成長したイヴァンにとってはオディール親子との生活は初めて満たされたものに感じられる。
彼も戦争と言う死の世界からようやく人間の世界に戻りかけていた、そして
異界に行った死者から持ち物を剥ぎ取ってくることには躊躇しない面もある
家族は不法に入り込んだ家での生活に不安を抱えながら数日が過ぎる。
イヴァンはオディールへの愛を口にするようになるが、オディールにとって
この生活が長く続くわけもなくて、いつか抜け出せることを願っている。子を持つ母としての願いでもある。彼と衝動的に結ばれた夜が明け食料を捜しに行ったイヴァンが捕らえられる。そしてついに戦争が終わり、イヴァンも彼と暮らした家での
日々も「かげろう」のように儚い思い出になってオディールの心の底に
しまいこむ日が来る

* * *

40才前後だろう未亡人と17歳の子供とも言えずまだ青年とも呼べないような年頃の青年との恋ということがメインのような話で、
ありふれたシチュエーションのようだが見せる作品になっているのは監督の力なのだろう。
閉ざされた生活の中で青年は初めて家庭らしいものに触れ、献身的に世話をする
一家の母であるオディールの、夫でも息子でもない存在に戸惑いながらも惹かれて
いく心のゆれが伝わってくる。そして不思議な青年イヴァンのどこまでも
無垢な献身が描かれる。美しい風景の中で殆どの場面が淡々とした日常を
写しただけなのだが物悲しい思いを後々にまで残す。
原作者の自伝的な物語を映画化したそうだが、数日の閉鎖的な生活が
外から迷い込んだフランス将校の二人によって破られた時、
オディールのやっと穏やかになった精神の均衡が崩れて性衝動となって
イヴァンに向けられる。イヴァンにとっては未来のない行為が果たして
幸福なものになっただろうか。彼の未来を思うとこの後のオディールは独善的で後味が悪い。

2009年1月11日

おばあちゃんの家

おばあちゃんの家 [DVD] 「The Way Home」 (2002年 韓国)
監督 イ・ジョンヒャン
出演 キム・ウルブン(おばあちゃん ユ・スンホ(サンウ)ミン・ギョンフン(チョリ)
   イム・ウンギョン(ヘヨン) トン・ヒョフイ(おかあさん)


古い山奥の村、バス道路から細い石ころ道をたどって行くと、平らにならした土地の上に粗末な家がある。板を張っただけの縁側の奥がおばあちゃんの部屋。昔懐かしい、貧しいながら暖かく生きている人たちが織り成す物語。

*

家を飛び出しソウルに出て行った母親が失業したため、二ヶ月間田舎で一人暮らしをしているおばあちゃんに預けられたサンウはその鬱憤わがままいっぱいにおばあちゃんに向けてぶつける。
口の利けないおばあちゃんはタダサンウを見守るばかり、食事を作ってやっても持ってきた缶詰を食べ、一日ゲーム機と遊んでいる。

身振り手振りで、何が食べたいかと聞いてみると、フライドチキンという、おばあちゃんは曲がった腰の後ろに手を回して山道を出かけて行き鶏をもって帰ってくる。ゆでた鶏を見てサンウはそんなものではないと怒って食べようとしない、夜になりお腹の減ったサンウは空腹に耐えかねて、その鳥を食べてしまう。それを見てもおばあちゃんは何も言わず、ただサンウを見守っている。

破れた靴を見てサンウをつれてカボチャを売って新しいのをのを買ってやるがサンウは気に入らない。
小憎らしい都会っ子のサンウを 何も伝えることのできないおばあちゃんの愛情がいつも暖かく包んでいる、サンウも次第に打ち解け風邪を引いたおばあちゃんを懸命に看病するようになる。

そして母親に連れられてソウルに帰る時、文字の書けないおばあちゃんに大切にしていたゲームのキャラクターの絵葉書を渡す。そこにはサンウの住所が書かれてあり、おばあちゃんに助けがいる時にはすぐ来られるようにと、それぞれにサンウの考えた文章が書いてあった。

* * *

人里離れた村のそれも一軒家で隣は遠い、そんな生活はも寂しい、便利な都会生活に慣れたものは、子供でなくても住みづらい。わがままを言いおばあちゃんに馴染めなかったサンウも怪我をした時、おばあちゃんを探し、おばあちゃんの帰りが遅いと心配になる。サンウの心がほぐれておばあちゃんと次第に心が通い始める。
おばあちゃんの愛情は厳しい現実を越えたところから生まれたに違いない、微笑みをどんなときにも絶やさず別れの寂しさも静かに受け入れている。
たった二ヶ月の出来事の中でおばあちゃんから受けた無償の愛情はサンウだけでなく、この映画を見る者に暖かい純な思いを溢れさせるだろう。
言葉のない生活の中でもそれを越える大切なものがあることを感じさせる。

大いなる遺産

大いなる遺産 [DVD] 「Great Expectations」 (1997年 米)
監督 アルフオンソ・キュアロン
製作 アート・リンソン
脚本 ミッチ・グレーザー
原作 チャールズ・ディケンズ
撮影 エマヌエル・ルベズキ
出演 イーサン・ホーク(フィネガン/フィン)グウィネス・パルトロウ (エステラ)
   アン・バンクロフト (ディンズムア )ロバート・デ・ニーロ ( ラスティグ/囚人)     
   ミンテリ、「カジノ」のケヴィン・ポ
デッケンズの名作、本も読んだが中学生の頃ですっかり忘れてしまっていたし、前に見た名作といわれた映画も覚えていなかった。ディケンズでは「ニ都物語」が一番心に残っている。この「大いなる遺産」も読んだときのワクワクした気持ちだけ覚えていて、TVのスポットで見てコレは見ないといけないと思っていた。映画館では見ることが出来なかったのをやっとDVDで見つけた。

*

フィンは姉とそのボーイフレンドのジョーと共にフロリダで暮らしていた。
海辺で好きな絵を描く平和な生活だったが、ある日脱獄し足に鎖をつけたままの囚人に襲われる。
フインは家から持ち出したカッターで鎖を切り、手当てをし食べ物を与えて逃げる手助けをした。
ある日ジョーについて風変わりだという噂のディンズムア邸に行く。
そこで荒れた屋敷に似つかわしくない美しい少女のエステラを見かける。
ディンズムア夫人は過去に縛られそのままに年取った変わり者だった。
だがエステラの遊び相手になるように誘われ週一回屋敷に行くことになる。
初めての夢のような時間だったが、成長していくと共にエステラを恋するようになる。
だが育ちの違うエステラに憧れるものの彼は近づくことが出来なかった。そして
突然エステラはパリに旅立ってしまった。フィンは傷つきその後は屋敷にも行かず
好きな絵も描かず、海に出てはジョーを手伝っていた。

7年後、ニューヨークから突然弁護士がきて、彼の絵に援助者がついて個展を開く手伝いをするという。
そこで決心したフインはニューヨークで描き始めた。そしてエステラと再会する。
突然エステラがきて彼の前で服を脱ぎモデルになるという。
フインは彼女をモデルに、夢中で多くの絵を描いたのだが彼女には婚約者がいた。
今も思いを残すフインの心は、婚約者ウォルターから奪うように乗ったタクシーの中でも、育ちの違いを話すエステラには届かなかった。

フインの個展は大成功に終わり豊かな生活が送れるようになる、次第にそんな暮らしも身についてきたが、エステラは結婚し、彼は得たもの総てが空しく感じられるようになる。
豪華なアトリエに住むフインの元に白髪で髯を蓄えた老人が訪ねてくる。
彼こそ子供の頃に出会った囚人のラスティグだった、彼はただ一度だけ受けた
少年の親切を忘れることが出来なかった。
逃亡を続けてはいたが生涯で得た財産をフインの才能に捧げたのだった。追っ手に刺されたラスティグは逃がそうとした。
フインの腕の中で死んでいった。フインはその後パリでも成功し、故郷に帰ってみたくなる。
懐かしさのために立ち寄ったディンズムア邸には小さな娘と一緒にエステラが住んでいた。

* * *

という現代風にアレンジされた「大いなる遺産」は
ロンドンの古い香りはすっかり消えて若いフインとエステラのラブストーリーになっていた。
イーサン・ホークは身分違いの娘に恋する若者らしく繊細で初めはおどおどと近づき、
成功して少しずつ自信を持っていく成長の過程をうまく演じている。
グウィネス・パルトロウは男性を信じないでといい聞かされて育てられた娘らしく、
フインを翻弄しながらもどこか純な気持ちに揺らぐ危うげな雰囲気がいい。
衣装も背景も緑の幻想的な色彩が美しい。
この部分は古典文学の味が少し残っているが、ディッケンズの文学を借りた別物の映画だという印象を受ける。
個性的な俳優と流れるようなストーリーも良くマッチしている。
荒れているディンズムア邸と最初は怪奇な印象で現れる夫人や部屋のインテリアには凝り過ぎの感もあるし、多少の違和感もある。
お手軽に済ましたような終わり方も少し浅い。だが二人が結ばれるアトリエでのラブシーンも品良く美しく撮れていて、
フインの描いたデッサンや作品もなかなかのもので一見の価値がある。だからコレもありかなと思えるいい作品だ。

エリザベスタウン

エリザベスタウン [DVD] 「Elizabethtown」 (2005年 米)
監督・脚本 キャメロン・クロウ
製作 キャメロン・クロウ トム・クルーズ ポーラ・ワグナー
出演 オーランド・ブルーム(ドリュー) キルスティン・ダンスト(クレア) 
   スーザン・サランドン(ホリー) アレック・ボールドウィン(フィル)
   ジェシカ・ビール(エレン)
現代の社会では似たような出来事はあるにはあるだろうけれど、実際にはこんな話はありえないと思うので説明不足というか手抜きと言うか疑問符だらけ、始めからお伽話かもという積もりで見れば結構楽しめる。
音楽は監督のこだわりでいいし、キャストも魅力的で実力があり、風景も美しい、これで何が在り得ないかと言うと、
それはないだろうというストーリーが満載の脚本に大いに問題があって、見始めはちょっと気分が覚めてしまう部分がある。
オーランド・ブルームのファンででもなければお勧めできないのが残念。
若者の精神の喪失と再生の物語ということになってはいるが。期待外れだった。 

*

靴のデザイナーであるドリューは自分の開発した新製品で会社に10億ドル近い損害を与え、クビになってしまう。
失意の彼は自殺をしようと思うが、そのとき父親が故郷のエリザベスタウンを訪問中に心臓発作で亡くなった知らせが入る。
長男のドリューがそこで葬式を行うことになり自殺は一時お預けにして出かけることになる。
都会暮らしの彼は疎遠になっていた父にあまり親しみを感じていなかったのだが、
素朴な人々に迎えられ昔話を聞かされ次第に馴染んでいく。
そこで世話好きのクレアとも出会いお互いに惹かれていく。
家族は両親の結婚を期に故郷から出て行っていたのだが、エリザベスタウンの墓地に葬られる夫や父親を送るために一家で故郷を訪れる。
過去のしがらみを越えて、懐かしい田舎町の人々と再び巡りあうことになり、なくなった父がなぜ故郷をたびたび訪れていたかを理解することが出来る。
ドリューはクレアに勧められて車で長い道のりを帰路に着く。
クレアの作った地図と、ドライブ音楽のCDを旅の伴にして走る間に、彼は心の傷が癒され新しい明日へ踏み出す勇気を与えられる

* * *

というお話なのだが、導入部で彼がなぜクビになったか。
靴が売れなかった、返品の山になったという、社長(フイル)は社屋の内装に莫大な金をかける幼稚な経営者だが、プロジェクトの失敗を彼一人に負わせなおかつ新聞種になることにも無関心と言うのは考えられない。
故郷の人たちは最初は多少のこだわりはあったもののすぐに打ち解けて許してしまう底抜けのお人よし。
世話好きのクレアは仕事の休みとはいえ、ドリューの行く所にタイミングよく顔を出す、
恋するものの直観かも知れないが、都合よすぎて少し笑ってしまう。
最期たった6日間の滞在中にあんなに細かい心づくしの詰まった地図を作るなんて神業にも等しい、選曲はまさにピッタリでドライブを盛り上げるが彼女がいつの間にあれを選んだのかななんて、素直に楽しむには少し辛いかな。
でもまぁ 悪気のない暖かいお話なので見終わったあとの気分は悪くない。
大目に見て傑作と言うのは大袈裟だがいい映画だったという人がいてもおかしくはないけれど。
オーランド・ブルームの現代劇は始めて見たが、やはり彼はロード・オブ・ザ・リングのレゴラスが一番いい。
パイレーツ・オブ・カリビアンは大成功だが少々汚い(笑)
キングダム・オブ・ヘブンも悪くないが悲しいかな脚本が良くなかった。
この映画の見所はスーザン・サランドンの習い始めということになっているタップダンスを披露しながらの語りだろう、さすがに圧巻、夫を失って奇行に走っているように見えたところが深い意味を持っていたという感動的なシーンで熱演する、一部聞いていてむず痒くなる部分があるがこれも脚本のせいにする。
まだ他の映画を撮影中だったオーランド・ブルームを待ってまで彼を主役にしたというが、
アイドル映画になりかねないところが、「あの頃ペニー・レインと」というなんか懐かしい自伝的ないい映画を撮ったあの監督かとちょっとガッカリ。
やはり映画は真面目に納得のいくものを作って欲しいし、
内容には多少の厚みも必要というのが結論。

エネミー・オブ・アメリカ

エネミー・オブ・アメリカ [DVD] 「ENEMY OF THE STATE」(1998 米)
監督 トニー・スコット
製作 ジェリー・ブラッカイマー
出演 ウィル・スミス(ディーン) ジーン・ハックマン(ブリル) 
     ジョン・ボイド(レイノルズ) リサ・ボネー(レイチェル) 
     レジーナ・キング(カーラ)
テーマは重いけれど映画は軽くてとても面白い。何せウィル・スミスだから。
テンポが良くて達者、それにジーンハックマンは渋い。彼が情報機器の達人なんて
ちょっとイメージは違うけれど、それもアリかなと思えるし。

*

国会に出された「プライバシー法案」をめぐって成立に反対する下院議員を、自己の利益のために殺したレイノルズは、野鳥観察をしていたザビッツの仕掛けていたカメラで殺人現場を写されてしまう。
一方、敏腕弁護士のディーンは妻へのプレゼントを買うために来ていたランジェリーショップで、
レイノルズが証拠写真を取り戻すために雇った追っ手から逃げてきたザビッツに出会う。
大学時代の知り合いだったために挨拶をして名刺を渡したところ、
ザビッツは迫って来た追っ手から逃れる時に、ディーンの下げていたバッグに撮影したカード
の入ったゲーム機を滑り込ませ、逃げ切れずに車にはねられて即死する。
何も知らないディーンは、それから不可解な出来事が起き始めて命を狙われることになる。
レイノルズはNSAの情報システムを使ってディーンを監視し追跡を始める。
カードも停止され事務所もクビになり家族の命の危機を感じたディーンはなぜか分からないまま逃げなくてはならなくなる。
かっての恋人で弁護士時代は情報源だったレイチェルが殺されディーンは報復を開始する。
レイチェルの情報から裏にいるブリルの存在を知ったディーンは彼に近づく。
彼は元NSAのスタッフで今は独自の方法で情報を集めている情報屋であった。
ディーンと行動をともにすることになり、彼は手始めにディーンの身辺に仕掛けられた発信機や盗聴器を見つけてディーンを驚かす、そして二人はNSAの追っ手に向かって反撃を開始する。

* * *

監督のトニー・スコットはリドリー・スコットより軽い映画を作るが、面白さでは甲乙つけがたい。
どちらの作品も娯楽映画としては出来が良くていつも楽しみに見るが、この映画も肩の凝らない一級品だと思う。
こんなにしっかりマークされてしまったらもうプライバシーなんてガラス貼りのようなもので、
我が国の住基ネットなんて顔色なしかも。
ディーンが気づかない段階でこまごまと盗聴器や発信機の設置を見せてくれる。
追跡にはやはり空からの衛星通信でこれでは逃げ切れない、でも映画では逃げ切ってしまうけど。位置を絞れば胸のバッチも読める。
これは現在すでに使用されているようで、ドラマでは「24」のCTUで盛んに使っているのでお馴染だし、最後ではさすがのブリルもアジトを見つけられてしまう。
映画の最後にちょっとしたコメントがある。
人権は固く保護されなくてはいけない。プライバシーには踏み込むべきではないという。
映画は面白くてもいいけれど。こんなことになると、いつかディーンやザビッツの運命のように悲惨なことになりかねないなぁ、ナンテ真面目に考えると不気味。

NSA:National Security Agency 国家安全保障局

2009年1月10日

インファナル・アフェア

インファナル・アフェア(低価格版) [DVD] 「Infernal Affairs 」(2002年 香港)
監督 アンドリュー・ラウ アラン・マック
脚本 アラン・マック  フェリックス・チョン  
製作 アンドリュー・ラウ
撮影 アンドリュー・ラウ ライ・イウファイ  
出演 アンディ・ラウ(ラウ)  トニー・レオン(ヤン) 
   アンソニー・ウォン (ウォン警視) エリック・ツァン(サム)
   ケリーチャン(リー) エディソン・チャン(青年ラウ)ショーン・ユウ(青年ヤン)

ちょっと好きなトニー・レオンを見るために借りてきた。
ただ最初に見た時は細身のエディソン・チャンが成人してトニー・レオンに
ショーン・ユウがアンディ・ラウになるように思えて青年時代の俳優が混乱した。
エディソン・チャンは「フアイナル ラブ」(これは残念ながらまったく面白くなかった)で一度見たことがあるがショーン・ユウは初めて。
間違わなくても混乱しそうな話なのにここで区別できなくては致命的で、
一度見ただけでは分かりにくくてまた見直してしまった。
でもストーリーは面白く最近の作品では一番の収穫かと思った。

*

マフィアのボスサムに認められたラウは警察学校に入学させられる。
また警察学校でトップの成績を収めていたヤンは、ウォン警視にマフイアの組織に潜入することを命じられ突然退学させられる。
二人は新しい環境の中で次第に認められ重要な仕事についている。
ヤンはサムの側近になり、ラウは作家の女性と婚約中で結婚の準備が進んでいる。
そして10年後に二人は出会うことになる。
二人とも気づかないまま最初の出会いはレコード店だった。
ヤンの情報で麻薬取引があることを知った警察は現場に急行するが、ラウも情報ををマフイアに連絡して逮捕は未遂に終わる。
お互いに情報が筒抜けであったことでどちら側にもスパイがいることに気づき始める。
警察はヤンに、マフイアはラウに内通者を突き止めることを命じて二人の距離は次第に近くなっていく。
情報を持って映画館に行くラウを尾行したヤンは電話が邪魔をして顔を見ることが出来ず、
ただラウの後ろ姿で特徴を記憶する。
ウォン警視がヤンと会うことを知ったラウの連絡で警視はマフィアに襲われて殉職する。
警視の遺品だった携帯電話が内通者に繋がっているのに気づいたラウはついにヤンと話すことに成功し、二人はお互いの存在を確認する。
ヤンがマフイアへの潜入捜査官であると言うデータはウォン警視が保存しているだけであって何の身分保証もなく、
警視が死んだあとは、データを開くパスワードはヤンが知っているだけとなってしまう、ラウはデータを開いてヤンの顔を確認することが出来なかった。電話で連絡を取り、やってきたヤンに聞いたパスワードでデータを開いたラウは総てを削除してヤンの痕跡を消す。
ヤンは歩いていくラウの姿と彼の机にあった書類から彼こそマフイアのスパイであったことに気づき彼の前から姿を消す。
マフィアのボス、サムを射殺したラウは誇り高い警官として仲間に迎えられる。

* * *

マフイアのスパイでありながら善人としての生き方との狭間で苦悩するラウ、
マフイアの生活が染みついてくるにつれ警察官に戻れるという望みの危うさに絶望するヤン。
二人の運命の過酷さが縦糸。マフイアとの攻防に情報を送る二人スパイの駆け引きには緊迫感が盛り上がり、脚本の面白さを堪能した。
所どころ重要な忘れられないシーンがある。
画面はスタイリッシュで物悲しい、ウォン警視の死にあったヤンの驚きと悲しみは深いし、
泥沼の中で使命感を持って生きることだけが希望だった彼の一生も辛い。
狼シリーズも良かったがその後、マフイア社会をテーマにした傑作だと思う。

イングリッシュ・ペイシェント

イングリッシュ・ペイシェント [DVD]「THE ENGLISH PATIENT」 (1996米)
監督 アンソニー・ミンゲラ
脚本 アンソニー・ミンゲラ ソニー・ミンゲラ
製作 ソウル・ゼインツ
音楽 ガブリエル・ヤール
出演 レイフ・ファインズ(アルマシー) ジュリエット・ビノシュ(ハナ) 
   クリスティン・スコット=トーマス(キャサリン)
   ウイレム・デフォー(カラヴァッジョ) コリン・ファース(ジェフリー)
   ナヴィーン・アンドリュース(キップ) 

冒頭男女二人の乗った飛行機が炎上して砂漠に墜落する。
このあたりは予備知識で知っているところだが、舞台になるサハラ砂漠の無機質な広がりが、
二人の運命を際立たせている。
看護婦のハナがイングリッシュペイシェントと呼ばれる全身に焼けどを負った男性
の世話をすることになる。
ハナにも戦争で負った傷があった。荒れた僧院で患者は少しずつ過去を思い出す。
患者、アルマシーは友人の妻キャサリンを恋し、愛し合うようになる。
二人の運命が悲劇に向かっていく話。
アルマシーは考古学者であり余り社交的ではなく、キャサリンへの思いは一途である。
探検先の洞窟の壁画など背景も見所で、砂嵐に巻き込まれる様子も違和感がない。
そして患者とハナとの穏やかな生活にもう一人、
スパイのカラヴァッジョがアルマシーに復讐をするために同居し、インド人の将校キップも近くにいる。
こうした人たちの織り成すエピソードが物語の厚みになって、ハナの周りで展開する。
まさに映画らしい壮大な砂漠と細やかな心理描写も加わって楽しめる。
いうまでもなく個性的な役柄にはまっている。ほかの配役もインパクトがあり忘れがたい。
フランス女優のビノシュは可憐で親しみやすく、影のある看護婦を演じきり、
レイフ・ファインズは「シンドラーのリスト」とは又違った若々しい印象、
ウイレム・デフォーはいうまでもなく個性的な役柄にはまっている。取り巻く配役もインパクトがある。

アタック・ナンバー・ハーフ

アタック・ナンバーハーフ 2 全員集合 ! デラックス版 [DVD]「Satree-Lax」(2000年タイ)
監督 ヨンユット・トンコントーン
出演 チャイチャーン・ニムプーンサワット サハーパープ・ウィーラカーミン 
 ジェッダポーン・ポンディー ジョージョー・マイオークチィ
 ゴッゴーン・ベンジャーティグーン エーカチャイ・プーラナパーニット
 シリタナー・ホンソーポン

この面白い、おかしい映画は映画好きならきっと見てるかも。
お腹を抱えて笑った。ナント実話。

*

タイの小さな町でバレーボールの県代表選手を募集した。
オカマだというので選ばれなかった二人の前に、監督になって来たのが女性で、こともあろうにコレが男性に興味のない人。偏見のない彼女はスンナりと二人を選んでしまう。
ところがこれが気に入らないメンバーは一人を残してやめてしまった。
そこで連れて来たのが仲間のオカマやゲイばかり。とうとう「サトリーレック」というチームを作ってしまった。
町の人たちが眉をひそめる中で彼女(?)たちは快進撃。勝ちに勝って決勝にまで進み、ついに県を揚げてのアイドルに。

* * *

唯一残った男性選手がマトモだというので、女性に持てそうな美形なのに立場がないのも笑える。
選手達はおしゃれで可愛い。ごつい選手のなかで小柄な監督も負けていない。
家族にしたら悩みの種であるオカマの一人息子がチームと一緒に話題になるのを見かねて連れて帰ってはみたものの彼は主力選手なのだ。
決勝戦は素顔で勝負だとばかりメイクもやめて体当たりしてみるがどうも迫力がイマイチ。何もかもおかしくて、愉快でちょっとホロリとする。
試合場面などはスポコン映画ではないので期待してはいけないけど,面白い。

アイデンティティー

アイデンティティー [DVD]「IDENTITY」(2003米)
監督 ジュームス・マンゴールド
製作 キャシー・コンラッドジ
音楽  アラン・シルヴェストリ
出演 ジョン・キューザック(エド) レイ・リオッタ(ローズ)
  アマンダ・ビート(パリス) ジョン・ホークス(ラリー)
  ウィリアム・リー・スコット(ルー) クリー・デュヴァル(ジニー)
  ジョン・C・マッキンリー(ジョージ・ヨーク) リーラ・ケンツル(アリス)
  ブレッド・ローア(ティミー) レベッカ・デモーネ(キャロライン)
これはホラーというかサスペンスというかどちらにしてもとても面白い。
一気に見終えてしまう。ただ見始めて先が読めたら別だが、予備知識はまったくないほうが楽しめる、「シックスセンス」ではないが結末は書けない。

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大雨の中を家族が乗って走っていく車がある。パンクしたタイヤを交換していた父親(ジョージ)を見に、外に出た母親(アリス)が車にはねられてしまう。車に中には子供の(ティミー)がいる。

はねた車には売れなくなった女優(キャロライン)が乗っていてそのまま逃げろといっている。運転手(エド)はそれを無視して救急車を呼びに行くが、氾濫した川に突っ込み先に行けなくなってしまう、そこで電話をかけに町外れのモーテルに駆け込むが電話は不通で復旧の見込みは立たないと管理人(ラリー)が言う。

一方売春婦(バリス)はお客の金を盗んで逃走中、その金で果樹園を買う夢を持っている。彼女がオープンカーで走っていた時強い風にあおられ車に乗せておいた小物が飛んでしまう。その中に金属のヒールの靴があった、それが道路に落ちる。それを踏んだのでジョージ一家の車がパンクしてしまったのだ。走り続けているうちに氾濫した川の手前で車を電柱にぶつけて大破、あたりの電話を不通にしてしまう。彼女はそこにいた女優とエドの車に乗って町外れのモーテルにやってくる。

次に殺人犯(ロバード)を乗せた警察官(ローズ)が通りかかるが、この車もモーテルに泊まらなくては進めない破目になる。

新婚のカップル(ルー)と(ジニー)も来る。

この11人がモーテルに泊まることになる。
その夜携帯電話を持って外に出たキャロラインが何者かに殺される、犯人の姿はない。次に新婚ほやほやとは言うが妻は夫に妊娠したと嘘をついているカップル。嘘がばれて夫は怒り妻はトイレに隠れる。その間に外に居た夫が刺されて殺されてしまう。

そして泊まり客が次々に殺害され、死体の側には部屋番号の付いたキーが見つかる、警官とエドはそのたびに右往左往しているが、エドは元警察官だということが分かる。犯人は誰なのか。

場面が変わり、連続殺人の犯人(マルコム)が車椅子で部屋に入ってくる。現場からは確かな証拠も発見されて死刑の判決が下っていたのだが、彼を診察した医師によって彼の日記から精神異常が確認されたことで審議中である。

モーテルでは両親の亡くなった子供のティミーを車で逃がそうとするが爆弾か仕掛けられていて車は爆発して子供は死んでしまう、だが遺体は見つからなかった。
そして今まで警官だということになっていたローズは警官を殺したうえに警官に成りすましていたことが分かる。それを知ったパリスを撃とうとしたローズは、エドに射殺されるが、エドもローズに撃たれていて、死んでしまう。
生き残ったパリスは夢であった果樹園を買いに車を走らせる。のだが・・・。

* * *

泊まり客が次々に殺されていく、主役のキューザックまで死んでしまう。誰だかわからない犯人が忍び寄ってくる。その上モーテルの側は昔住んでいた原住民の墓地だった。何かありそうな設定で、ハラハラドキドキ。そしてついに題名のアイデンティティーが明かされる最終章には意外な真実が。
主役のジョン・キューザックは最近よく見る。可愛らしい印象だが迫力もあり多少不気味さも感じて面白い。後は警官のL・リオッタや、最初に殺されてしまうキャロライン役の女優さんなど見たことのある人もいて、面白く出来ている。
ちょっと不気味で戦慄を覚える人物役は名演だと思う。
なにか面白い映画が見たいと思っている人にはこのDVDをお勧めする。
趣味の悪い脅しもなく無駄がない、頭の活性化にも少しは役立つかも。