2009年8月10日

タクシードライバー

タクシードライバー スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

監督 マーティン・スコセッシ

脚本 ポール・シュレイダー

出演 ロバート・デ・ニーロ            

        シビル・シェパード (Betsy)             

        ピーター・ボイル (Wizard)           

      ジョディ・フォスター (Iris)            

      アルバート・ブルックス (Tom)

 

 これは30年前の作品で、もうそんなに前に作られていたのかと自分の年を振り返り、若くてハンサムなロバート・デニーロに今の彼を重ねてみた、シーンの細かい所等はほとんど忘れているので楽しめた。

「タクシードライバー」の時代背景になっている頃は、ベトナム戦争のトラウマを抱えた人も多かっただろうし、ニューヨークの街も猥雑で荒れた風景をそのまま見ることができたかもしれない。

いつかどこかで読んだ「芸術は時代を超えることが無い」という言葉が何時も蘇うが、私はなぜしら頭の隅にひっかかっている。時代を迎える前に時代を写し、それを超える人間性というものは形は変わっても、常に変わることがなくどんな名作の中で生きているように思える。

彼には政治家への不信もあり、失恋もしてしまう。、幼い街娼に対する義憤。荒れた人々の暮らしなどを身近で常に見ている。「タクシードライバー」は人々の日常生活との時間差もある、黒子のような影の商売で、日が経つにしたがってますます鬱屈した心をもてあますのがよく分かる。

夜というのはそういったものを増幅するものでしょう。彼の行き所の無い思いが爆発することも頷ける。 人の心の奥に何があるのかそお広大な領域は計り知れないものがある、彼が拳銃を手にして町を綺麗にすると信じた結果は、影の中で生きてきた自己の顕示とヒロイズム、心の開放だったかもしれない。

 ただそれが、最後に正当防衛だと認められたのか、相手が街の厄介者だったからなのか、又もとの暮らしにすんなり戻り、ちょっとしたヒーローになっていたことには驚いた。(過去の有名な作品なのでネタバレしてます) 前に見た時は抵抗なく受け入れたのでしょうが、年をとって皮肉屋になったのかもしれない。

13歳だったというジョディ・フォスターはキュートで可愛かったし、カーヴェイ・カイテルは若い頃からあんな癖のある枯れたような雰囲気があったのかと思ってみた。

Taxi Driver  1976年 アメリカ ★★★★☆

2009年8月 8日

ストレイト・ストーリー

ストレイト・ストーリー [DVD]

監督 デイヴィッド・リンチ
脚本 ジョン・ローチ  メアリー・スウィーニー

出演 リチャード・ファーンズワース(アルビン)  シシー・スペイセク  (ローズ) 
    ハリー・ディーン・スタントン (ライル) エヴァレット・マクギル(トム) 
    ジェイン・ヘイツ(ドロシー) 


脳梗塞で倒れた兄に会いにアイオワからウィスコンシンまで600キロ。トラクターで、キャンプ用の毛布など生活用品を積んだ、二輪のトラクターを引いて旅をした73歳の老人の話。実話からのヒントを得て作ったという。

 * * *

目も悪く、運転免許も無い。おまけに転んで腰を打ち、杖を付いていて動きもままならない。診察を受けると肺気腫もあるといわれた。でも10年前に喧嘩別れをした兄にどうしても会いたい。そこで即断実行、庭にあった芝刈り機で出発したが、あえなくすぐにエンストで出直しになった。今度は中古のトラクターを買った。娘のローズの心配もよそにまたもトレーラーを引いて再出発をする。 途中に出会う人たちとの交流も心温まる。妊娠して家出中の少女と、家族のつながりを語り合う。颯爽と追い越していったサイクリングの若者たちのキャンプ場について、老人の気持を話す。途中消防訓練中の村を通り過ぎようとしてトラクターが故障、長い下り坂でブレークが効かなくなりあわや転倒というところで肝を冷やす。幸い訓練に集まっていた村人たちの助けで命拾い、一人が庭に泊めてくれて、夜に二人で娘ローズの不幸について話す、翌朝修理もできた。名残を惜しむ人に手紙を書く約束をして別れを告げる「気をつけて、ついたら手紙を待ってます「ああ必ず書くよ」。ガソリンを補給したところで一夜明かすことになり、町の老人と酒を飲みなら軍隊時代から深い心の傷を負っていることを話す。ミシシッピー川を渡り兄の村に近づいたとき、最後に庭を借りた教会の神父さんと話す。兄との深いつながりや諍いのあと長く会わなくていたが、逢いたくて来たことなどを。秋の初め、小麦の借り入れをしている頃に出発、紅葉して枯葉なり始めたころ、そんな黄色い木々の林の中に寂しげにぽつんと建つている兄の家に着く。 6週間の旅を終えて、粗末な兄の家の前で声をかける、「ライール、ライール!」答えが無い しばらくして「アルヴィンか」 と声がして、兄が出てくる。

 * * * 

行きずりに出会った人々との会話から老人の過去や人生観が少しずつ分ってくる。頑固な自尊の心構えがすがすがしい。 通り過ぎる道は遠くまで続いて両側には広々とした土地が、麦や、牧草や、枯れたトウモロコシ色に区切られて広がっている。そこに夕日が射し、朝日が昇り、星の下で焚き火が赤い炎を上げる。美しい風景が俯瞰したカメラで写され、小さな点になってのろのろと進むトラクターも風景に解けていく。

監督はデヴィット・リンチ。「ブルーベルベット、マルホランドドライブ、ツインピークス」など奇妙な雰囲気の映画が多く、感覚的には面白いが論理的になにか不安残る作風で、私は好きだけれどいつも特異な存在だった。でもしんみりといい映画に泣いた。なるほど監督にとってもストレイトストーリーなのかと思った。 76歳になった兄、73歳の弟、人生の終盤にかかった二人の再会が感動的。 このお話のあと 老人パワーの映画 「世界最速のインディアン」「日の名残り」「黄桃の味」「ビッグフィッシュ」 別れの物語で 「モリー先生との火曜日」「海を飛ぶ夢」「君に読む物語」「みなさんさようなら」 など心に残る秀作を思い出した.

 

 「The Straight Story」 (1999年 アメリカ=フランス )  

★★★★☆