2009年11月12日

シュリ

シュリ [DVD]

 監督 カン・ジェギュ

 脚本 カン・ジェギュ 

 音楽 イ・ドンジュン  

 出演 ハン・ソッキュ(ユ・ジュンウォン )キム・ユンジン( イ・ミョンヒョン )                               チェ・ミンシク( パク・ムヨ ン )ソン・ガンホ (イ・ジャンギル )  

だれが観ても、何度観ても面白いよと周りの人たちに吹聴した。それまで韓国では、テレビ用のメロドラマを作っているのかと思っていたが、無知だった。ハリウッド映画のような戦闘場面に驚き、俳優の元気のいいのにも驚き、ストーリーも面白かった。

北朝鮮の工作部隊が韓国に侵入し、韓国側の諜報部員(ハン・ソッキュ、ソン・ガンホ )と対立する。韓国要人が暗殺されるということが頻繁にあり、それを二人が調べているところに、韓国で開発した液体の爆弾CTXがこの工作部隊に奪われてしまう。爆弾を取り返さなくてはならないのだが、内部の作戦が何度も事前に漏れてしまうので内部の調査もしなければならない。二人はお互い疑心暗鬼に陥り、ジュンウォンは相棒を試すために罠を仕掛けるが、そこに北朝鮮の女性スナイパーが絡むというそんなお話。それに結婚を一ヶ月後に控えた幸せな恋人同士が悲恋に終わるラブストーリーも重要な要素で同時に進行する。満員の(満員でないと面白くないが)サッカーの試合場に仕掛けられた爆弾の爆発時間が迫る中で、工作員の隊長(チェ・ミンシク)とハン・ソッキュの対決。敵役のこの隊長はまったく悪人という感じで過激に出没する。同じサッカー場で要人を射殺しようと構えている女性のスナイパーを探して、それを阻止なくてはならない。

終盤にかけてのこれからの展開が、男女を問わず一番印象的だったということで、スナイパーを見つけて撃とうとする場面がいつも話題になるが、ここからが「シュリ」の真髄かもしれない。 * 南北に分断された朝鮮半島の政治情勢だとか、国民感情だとか、ハリウッド映画のような戦闘場面だったとか、ラブストーリーとしても面白いとか、話の展開に無理があって疑問が残るとか。スリルとサスペンスも十分だとか、いろんな感想もあるが、それはそれとして楽しく面白い映画で時間の無駄遣いだとは思わなかった。この作品から韓国の映画がよくできている事を発見したのでこれからも楽しみに見ることにした 熱帯魚店の水槽に弾が当たって次々に割れていくシーンがある。勢いよく噴出する水が結構爽快で、それを観てから水槽が写るとがあると、いつかあれが割れるのではないかとハラハラしたが。

 

 syuri  1999年 韓 ★★★★★    

銀杏のベッド

銀杏のベッド [DVD]

監督 カン・ジェギュ 

脚本 カン・ジェギュ 

音楽 イ・ドンジュン  

出演 ハン・ソッキュ( スヒョン )  ジン・ヒギョン (ミダン) シン・ヒョンジュン (ファン将軍 )ジム・ヘジン (ソニュン)  

この映画はハン・ソッキュが出ていなければ見ることはないというような、アニメを実写にしたような奇妙な作品だ。話題になった「シュリ」が面白かったので,その監督のデビュー作というのも興味があったのだが、ジャンルは何になるのだろう、SF、ホラー、ファンタジー、サスペンス、ラブストーリー、なにもかも詰め込んだような、一風変わった映画だ。

 

画家で美術講師のスヒョン(ハン・ソッキュ)は、 露天商の並ぶ通りを歩いていて、銀杏の木でできたベッドを見つけ家に持って帰る。それから不思議な事が起こり始める。昔の武将らしい怪しい雰囲気の男(ファン将軍)が襲ってくるは、謎の美女(ミダン)が現れて助けてくれるはで、てんやわんやだが生きているのは現実の世界であり、毎日が命がけである。彼は医者の婚約者(ソニュン)もいてそんな騒ぎなどまったく縁のない落ち着いた生活をしていたのだが、偶然訪ねていって出遭った不思議な木彫りの老人の話では、実は1000年前は宮廷の楽士であって、王女と恋仲になり駆け落ちをしたが悲恋に終わったという、彼はその楽士の生まれ変わりだった、といわれても彼にとっては寝耳に水の出来事である。楽士は将軍に首をはねられて非業の死を遂げ、王女はそれを悲しんで死んでしまった。その後二人は二本の銀杏の木に生まれ変わリ幸せだったのだが、一本は雷に打たれて枯れてしまい、残りの木でベッドが作られた、そのいわくつきのベッドのお陰で、何度生まれ変わっても追いかけてくる、嫉妬に狂った不気味な将軍に襲われ続けて命を狙われるらしい。その上そのベッドには王女の魂が宿っていて、ときに楽士の魂が目覚めて、ベッドの上で王女と居ることが不思議に思われなくなったりする。婚約者も居るのに困ったことであるが、それはそれで生まれ変わりなので、前世の記憶が蘇ってそういった事も起こるらしい。又一方、婚約者も不思議な現象に遭って、医師の資格を奪われてしまったりする。

 

設定も人物もそれなりに面白くできているが、残念ながらストーリーが複雑に絡み合って、整理不足が感じられる。こういった現実離れのした設定は、前後がつじつまの合うように作り、ストーリーも単純な方が画面で楽しむにはいい。奇抜ではあるが面白味のあるキャラクターが多いわりに、少し実験的過ぎて残念。 多分つまらないという人も多いだろう、実際面白いと思うにはストーリーを整理しながらかなり想像力で補わないといけない面倒な映画だが、なぜか韓国で公開された時は話題になりヒットしたそうだ。幻想的なラブストーリー。

The Gingko Bed 1996年 韓国 ★★★☆

2009年11月11日

8月のクリスマス

8月のクリスマス スタンダード・エディション [DVD]

監督 ホ・ジノ
脚本 オ・スンウク ホ・ジノ
音楽 チョ・ソンウ
出演 ハン・ソッキュ(ジョン・ウォン) シム・ウナ(タリム) ジョン・ミソン(ジウォン)

 

 不治の病に冒された青年の淡々とした日常が描かれただけの静かな映画。

ジョン・ウォンは父親から受け継いだ写真屋の店先で、客の注文を誠実にこなしている。人々との交わりも毎日何の変哲もなくくり返される。
写真屋のあるソウル郊外の街角は、一昔前に見たことのあるような家並みで懐かしい。木製の引き戸、額入りの写真を飾った窓、中に入ると古いソファーがありそこでお客と話したり休んだりしている。

そんな時、交通整理をしている若い女性、タリムが来て至急の写真を頼んでいく。その後タリムは店にきては他愛ない会話をして帰っていく。
寡黙なジョン・ウオンと物怖じしない現代っ子のタリム、二人の個性の違いが面白い。
ジョン・ウォンの病気が進行して入院し、長く店が閉まっている、タリムが手紙を書いて表戸の隙間から差し込んでいく。管轄が変わって遠くに行くことになったからで、ジョン・ウォンは一度退院してこの手紙を見る。
としても状況はどうなるものでもない。
二人の交流も、ほのかなラブストーリーになって雪の降った日に幕を閉じる。
最後の場面で額に入った写真が変わっているところが ジョン・ウォンの気持ちを代弁していて胸がつまる。

ハン・ソッキュは地味で自然体、人生の終わりを静かに受け入れて、流れる時間と共に生きている青年を身近に感じさせる。
生き生きとしたのシム・ウナの、職場のストレスが溜まるだろうと思わせる仕事振りが、一層ハン・ソッキュの生活の静けさを際立たせ感動的。

ハン・ソッキュの演じる青年が住む韓国の町が日本でも少し前まではありふれた風景であったことなど懐かしい感じがする

 

 Christmas in August 1998 韓  ★★★★★    

2009年1月15日

タイフーン

タイフーン [DVD] 「TYPHOON」 (2005年 韓)
監督 クァク・キョンテク
出演 チャン・ドンゴン(シン) イ・ジョンジェ(カン・セジョン) イ・ミヨン(ミョンジュ)
「シュリ」「友へ/チング」「JSA」「ウラザーフッド」「シルミド」など最近の韓国映画はとてもよく出来ている。
「タイフーン」も、その「チング/友へ」の監督ということと、カン・ドンゴンとイ・ジョンジェの共演というので楽しみにしていた。

*

タイを根城にしている海賊にアメリカの貨物船が襲われ、核ミサイルの衛星誘導装置が強奪された。
これはアメリカから沖縄へ向かう極秘裏の輸送であったため、
海軍で特殊部隊経験のあるカン・セジョンが独自に捜索することを命じられる。
海賊のリーダー,シンは奪った誘導装置と核廃棄物とを引き換え、
それを使ってひそかに韓国に対してテロを画策していた。
シンに向かって捜査の手を縮めていくセジョンは、盗品の仲買人からシンの居場所を聞き出す。
シンは20年目に脱北を図って韓国に入り、皆殺しにされたチェ一族の生き残りだった。
彼の姉がウラジオストックの売春宿にいることを知り、セジョンはそこでシンを待つ。
二つの大型台風が韓国に迫った夜、テロが決行されることになる。

* * *

この監督はまりよく知らないが「トンケの蒼い空」という作品もある。
小さな漁村の出来事を描いた地味な作品で、その後に「チング」を見てこの「タイフーン」を見ることになったのだが、「チング」も田舎の子供達が大人になる話だった。
莫大な予算をつぎ込んで作ったと言われるだけあってスケールの大きな話であった。
ただ残念なことに完成度について不満が残る。
ストーリーは韓国に裏切られて身内を殺されたと思って成長した青年の20年間の悲惨な生涯と彼を追う将校の物語で、見せ場はシンと姉の愛、シンと将校の接触、テロ決行の日の荒れ狂う海で、阻止しようとする将校達とのアクション場面だが、
多少いらないかなと思えるシーンがあり、もう少し丁寧な説明で描いて欲しいと思われる部分もある。
確かに目の大きなチャン・ドンゴンは憑かれたかのような鋭い風貌で圧倒するし、
細身の将校のイ・ジョンジェはスマートできまっている。
この人の作品はどれも繊細で静かで美しい。「ラストプレゼント」の寄席芸人、「イルマーレ」の建築家「情事」の青年、ドラマ「白夜」でも印象は変わらない。
もう少しだけ整理して、大型のエンターテイメントというならあまり枝葉をつけないシーンを重ねて感情移入しやすい作品であって欲しかった。
そして夜のシーンでも、もう少し明度をあげてはいけなかっただろうか、近くにあって共通の文化もあるように思える韓国の映画は幕切れが哀切であるものが多い。
あまりこういった場面は好きではないが、人生観や宗教観に根本的な違いがあるのだろうか、
最期の場面に見られるようなシーンでは仏教的な転生輪廻についてはどうなのだろう、
死生観や罪の意識の受け止め方はどう違うのだろうか。

などと思いながら見た。力の入った作品で面白くはあった。

2009年1月11日

おばあちゃんの家

おばあちゃんの家 [DVD] 「The Way Home」 (2002年 韓国)
監督 イ・ジョンヒャン
出演 キム・ウルブン(おばあちゃん ユ・スンホ(サンウ)ミン・ギョンフン(チョリ)
   イム・ウンギョン(ヘヨン) トン・ヒョフイ(おかあさん)


古い山奥の村、バス道路から細い石ころ道をたどって行くと、平らにならした土地の上に粗末な家がある。板を張っただけの縁側の奥がおばあちゃんの部屋。昔懐かしい、貧しいながら暖かく生きている人たちが織り成す物語。

*

家を飛び出しソウルに出て行った母親が失業したため、二ヶ月間田舎で一人暮らしをしているおばあちゃんに預けられたサンウはその鬱憤わがままいっぱいにおばあちゃんに向けてぶつける。
口の利けないおばあちゃんはタダサンウを見守るばかり、食事を作ってやっても持ってきた缶詰を食べ、一日ゲーム機と遊んでいる。

身振り手振りで、何が食べたいかと聞いてみると、フライドチキンという、おばあちゃんは曲がった腰の後ろに手を回して山道を出かけて行き鶏をもって帰ってくる。ゆでた鶏を見てサンウはそんなものではないと怒って食べようとしない、夜になりお腹の減ったサンウは空腹に耐えかねて、その鳥を食べてしまう。それを見てもおばあちゃんは何も言わず、ただサンウを見守っている。

破れた靴を見てサンウをつれてカボチャを売って新しいのをのを買ってやるがサンウは気に入らない。
小憎らしい都会っ子のサンウを 何も伝えることのできないおばあちゃんの愛情がいつも暖かく包んでいる、サンウも次第に打ち解け風邪を引いたおばあちゃんを懸命に看病するようになる。

そして母親に連れられてソウルに帰る時、文字の書けないおばあちゃんに大切にしていたゲームのキャラクターの絵葉書を渡す。そこにはサンウの住所が書かれてあり、おばあちゃんに助けがいる時にはすぐ来られるようにと、それぞれにサンウの考えた文章が書いてあった。

* * *

人里離れた村のそれも一軒家で隣は遠い、そんな生活はも寂しい、便利な都会生活に慣れたものは、子供でなくても住みづらい。わがままを言いおばあちゃんに馴染めなかったサンウも怪我をした時、おばあちゃんを探し、おばあちゃんの帰りが遅いと心配になる。サンウの心がほぐれておばあちゃんと次第に心が通い始める。
おばあちゃんの愛情は厳しい現実を越えたところから生まれたに違いない、微笑みをどんなときにも絶やさず別れの寂しさも静かに受け入れている。
たった二ヶ月の出来事の中でおばあちゃんから受けた無償の愛情はサンウだけでなく、この映画を見る者に暖かい純な思いを溢れさせるだろう。
言葉のない生活の中でもそれを越える大切なものがあることを感じさせる。