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図書館戦争



有川浩

今頃。でも書いておかないと。

子供の頃から利用してきた図書館について考えさせられた。
図書館よありがとう。
時々思う、予習もない、宿題もない、テストもない、なんていい生活なのだろう。本が読める。

過去の図書館運動の成果で、図書館はそれぞれの管区で運営されてきて30年、平行して公序良俗を犯す図書を取り締まる「メディア良化法」も出来ていた。良本の解釈を通して両者の小競り合いが続いていたが、不穏な空気を察して、図書館を守るために行政と図書館員で図書隊が作られていた。

笠原郁は高校生の頃に助けられた図書隊員に憧れて入隊する。女性はたった一人だった、その上図書特殊部隊に配属され、厳しい訓練を受ける。同僚や上官、先輩たちとともに様々な経験を積んでいく。彼女は大柄で足が速いと言うだけでなく、直情径行、愛すべき人柄だった。
小柄な上官とは何かとぶつかり、同期の秀才と反発しあいながら、隊員として図書館業務にも慣れていく。

可愛らしいラブストーリーに発展しそうな予感が戦争と言う硬い響きを和らげている。

図書館業務についても勉強になった。

良化法に照らした検閲や書類つくりなど細かい点も、図書館法だけでは守りきれない、対抗措置なども抜かりがない。こういう点も面白かった。

終盤の盛り上がり地点。中学生が参加する「原則」対「特例」、「子供の健全な成長を守る会」対中学生が作った「考える会」のフォーラム。
結論がまたいい、規制要求の強硬な「守る会」を封じた図書館協会の会長の弁。

図書館は学校の延長機関ではなく、また家庭の躾の代行機関でもありません。もちろん教育の一助となることを否定するものではありませんが、開放された多様な図書の中から子供たちが自由に本を選択できる環境を提供することが自立への支援になると考えています。何より娯楽作品との距離の取り方は保護者が指導すべきものです。その責任を学校や図書館に求めることは、保護者としての責任を放棄していることになるのではありませんか?

時代は変わりつつある、携帯電話、パソコンなどメディア教育の進歩。考えなければならない問題は保護者側だけにあると言い切れはしない。子供たちの作った「考える会」はそういう問題にも明るい読後感を残す。

ついに全面対決、図書館戦争に突入する。これも面白かった。


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