ふゆのはなわらび 秋の山野草2019.03.10フユノハナワラビふゆのはなわらび分類ハナヤスリ科ハナワラビ属季節秋種類花撮影日2002/11/16場所岩船寺ふゆのはなわらび (冬の花蕨)・ 寒蕨岩船寺の回りは自然環境保全地域になっている。細い遊歩道には葉を落とした桜(多分山桜)が細い枝を揺らし、まだ実をいっぱいつけた柿の木が空に点々とオレンジ色をばら撒いている。冬がもうすぐといった風情の、日当たりのよいところは一度刈って整理されたらしい短い草の上に紅葉が散って、強くなった夕風に音を立てている。少し急な坂を登ると足元でかさかさと鳴り、陽だまりに腰を下ろして自然の静けさに耳を傾ける。休日なのにあまり人影がなくまだ若い夫婦が二人横を静かに通り過ぎていった。大和路の秋は常緑樹の濃い緑と楢やくぬぎの黄色、山桜や柿の木の赤に混じって、近くの木陰にはハゼや漆が真っ赤に色づいている。刈り取りの終った田の畦に農機具を入れる小屋が古びて傾いていたり、畑にはこれから出荷されるのだろう大根や白菜が緑の筋になっている。そんな端のほうに実をつけたままに柿の木が大きく傾いて鳥も食べない渋柿の古木か 遠く野焼きの煙の中に薄赤く染みている。ふゆのはなわらびは目立たない風情で、そこここにつんと伸びている。特に目を引くでもない自然の営みに風雅な名をつけてあるのが、なにか季節の移ろいを惜しむようだ。