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雨心中



唯川恵

帯より「セックスしなくても一緒にいたい。それは幸せか、絶望か」……女性の心を描き続けてきた名手が今だからこそ描けた究極の恋愛小説。 究極の恋愛小説ナノカ⁉

読み終わったとき、母性愛だといえば言えるし異性愛には違いない不思議な物語はなぜ書かれたのか考えてみたがよくわからなかった。

養護施設に弟分になる周也がきたとき芳子は孤独感と分かれることが出来た。周也を可愛がり、施設を出てからも一緒に住み、姉弟として、頼りない無責任な周也をかばい続ける。女が出来ると女のところに行かせ、短期間しか続かないで止めてしまう仕事も容認して、男としての責任を全うさせることを教えない。

そのうち周也にも心から好きな女が出来て、五島列島に行ってしまう。そこで地道に暮らしはじめた。暫くして妻のカオルが外から来た男の羽振りのよさに、一緒に島を出てしまった。

芳子は一人になってから養護施設を手伝い始めたが、施設が廃止されて、また元の独り暮らしに戻ったとき、芳子を訪ねてふらりと周也が現れる。カオルが殺されていた。

周也は復讐したが、芳子は出所を待ち一緒に暮らせるものと思っていた。周也はカオルを弔いに五島列島に行くと言う。快く承知してみたが、ついに芳子は周也を追って駅に走る。

帯も解説も特に惹かれるものではなかった、時間を割いて読んでみたのは、二冊目だけれど、唯川さんの小説を解りたいと思った。だが残念ながら、帯に対しては、そういうことも多々あるでしょう、恋愛は夫々違う形なのだと思い、えてして自分の信じているもの、本能的などうしようもない感情は、図る尺度がないのではないかということだけだった。

こういった甘えたもたれあいの生活がなんになろう、当人同士がそれでいいなら、とやかく言う筋ではないのではないか。最後がハッピーエンドでほっとしたといいたいが、この話に明るい未来はない、どこに堕ちていっても、どんな過酷な運命であっても自分たちが引き寄せたものに従って生きていくしかない。
形は変わってもありきたりの人生の一端にしか過ぎないと思われた。これで一旦唯川さんを読み終える。


お気に入り度:★★★☆☆
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