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ホタルの光は、なぞだらけ: 光る生き物をめぐる身近な大冒険 (くもんジュニアサイエンス)



大場裕一

図書館で子供用の棚で見つけた。ホタル研究者の方が易しく解説してくれている。

子供の頃、ホタルが山の川から星のように湧き出してきて、竹ぼうきを振りながら籠をもって追いかけた。今でも夏休みに行くと一番遅く飛び始めるヒメホタルがまだ残っていて、一匹か二匹ちかちかと忙しく光りながら飛んでいる。最近はゲンジボタルやヘイケボタルは少なくなってしまったそうだ。

しっぽの光っている節の中味を見たことがある。子供が一緒だったのでずいぶん顰蹙を買った。「お母さんはホタルを苛める人だ」と娘が言った、昆虫好きの息子も眉を顰め私は長く凹んでしまった。子供の前ではあまり研究心は見せられない、何事も事前にやっていいか交渉してからにするべきだと気が付いた。トカゲのしっぽも切ってみていいかな。一緒に試してみようか、うんといわせる戦術が成功するかどうかも難しい。
それでもあの不思議な液体を手に塗ってみるとしばらく光って消えた。今年もホタルを見なかった、あまり芳しいと言えないホタル独特の匂いも嗅いでみたい気がする。
いくら露を吹きかけておいてもすぐに死んで固くなって光らなくなってしまう。

ずいぶん前newtonでホタル特集を掲載していた。でも生息地や光の同調や、東西の種類の違い、住み分けなどが詳しかったが、光の謎は判らなかった。

はじめに  さあ、身近な大冒険へ

第一章 ホタルミミズ発見―― ここにも、あそこにも
 草の間の光っているものをホタルかと思って掴んでみると、変な虫で震えた。みみずだった。ホタルミミズという、こんな発光生物は案外いるそうだ。

第二章 砂浜の光るイソミミズ

第三章 発光の「役割」
 なぜ光る? 子孫を残す。食べられないよと警告する。驚かす。目くらまし。餌をおびき寄せる(チョウチンアンコウの術、でもなぜ光で寄ってくるのかは不明だそうだ)

第四章 発光の「しくみ」―― 発光クラゲでノーベル賞
発光は化学反応(これが知りたかったけれど、化学反応だということだった)ルシフェリンとルシフェラーゼが反応する。
私がちゃんと判った部分は、ルシフェリンとルシフェラーゼという呼び方は古代ローマ人の言葉で「光を生じるもの」を意味する「ルシファー」から名付けられた(了解)
ところがこのルシフェリンとルシフェラーゼというたんぱく質は、生物によってそれぞれの型が違う。
発光物質の光る仕組みについては昔からたくさんの科学者が、その解明にチャレンジしてきた。ところが、解明されているのはごくわずかで、ホタルミミズやホタルイカそのほかのほとんどは詳しい発光の仕組みがわかっていない。

⁂ 下村博士はオワンクラゲの発光を究明する研究でノーベル賞を受賞
オワンクラゲの発光物質を探すことが難しかった。よく調べると従来の発光物質とは違った仕組みで光っていることを発見。オワンクラゲは「イクオリン」というたんぱく質を使っていた。そして光が青色だった。その上青色を緑色に変える「緑色蛍光タンパク質」を見つけた。これは現在、癌の細胞につけてその広がりを見るのに使われている。

『ひかりごけ』という竹田泰淳の小説を読んだことがある。おぞましい事件が主題になっていたが、志賀高原のどこかの小さい洞窟で青く光っているのを見たこともある。
2014年のニュースで

大阪大学と京都大学は明るく光るコケを開発した。発光するたんぱく質などを体内で作るよう遺伝子を組み換えた。満月や野生の光るキノコと同じくらい明るく光る。街路樹などに応用すれば、電気を使わず道路や街を照らせ節電に役立つ。スポーツ競技場の芝など向けで5年後に実用化する。

という記事をWebで見つけた。

第五章 発光の「進化」―― ホタルの進化を解明する 
ホタルはいつどこで光るようになったの?それは「遺伝学」「進化」の分野で、「進化」と「遺伝学」はつながっている。
ホタルのルシフェラーゼは、脂肪を燃やす仕事をしていた。それが光らないホタルの時代に遺伝子の変化でルシフェラーゼの設計図ができ光る能力を備えた。
「はたらく細胞」なら炎型から光型にキャラが変わるようなものかも。アラ、細胞でなく遺伝子だ(-_-;)
でも研究者もこの進化の過程はナゾだらけだそうで、ホタルだってまだまだ不思議がいっぱい詰まっているようで。
夏の夜空であんな虫が群がって光りながら飛んでいる風景も普通の人から見ればただただ幻想的な風景だ。

第六章 ホタルのさなぎは二色に光る
第七章 発光生物の遺伝子バーコード図鑑を作りたい

ホタルの研究も細かい作業の積み重ねで、私に光る仕組みの入り口を示してくれた。お尻に入っているドロドロの中味はまだまだ解明されない不思議が詰まっているようだ。

おわりに ―― 科学は面白い

本当に面白い!


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