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ロードサイド・クロス



ジェフリー・ディーヴァー

今どきの、コンピューターゲームの世界に入りこんでいく子どもたちの現実が活写されて、事件解決の手引きになっていく。ここでもお決まりのどんでん返しが決まった。技ありかなぁ。

訳者あとがきから
きっかけは、ある人気ブログに掲載された一本の記事だった。
二週間ほど前、ハイウェイのガードレールのない区間で自動車が道路を外れて斜面に転落し、乗っていた四人の高校生のうち二人が死亡するという痛ましい事故が起きた。しかしこれまでのところ運転手は逮捕されておらず、州運輸局の道路管理責任を追及する声も上がっていない。記事は”誰一人として事故の責任を取っていない”ことを疑問視していた。
ブログ主は、警察は運転手を逮捕すべきだと主張したわけではない。また、運転手が高校生であることから、氏名も伏せていた。それにもかかわらず、記事には運転手を知っているという地元の若者からのコメントがたちまち殺到した。オタク、キモい、ヘンタイ、ネトゲ中毒・・・若者たちは独特のネット用語を駆使して、学校でも浮きがちな存在だった少年を容赦なく中傷し始める。
その後も、やはり同じ記事にコメントを投稿した人々が命を狙われる事件が立て続けに発生、ついには死者も出た。事件とブログが密接に結びついていると断定はできなかったが、事故車を運転していた少年がふいに姿を消したことなどから、連続殺傷事件の犯人は運転手の少年である可能性が一気に高まった。
 インターネットという仮想の世界で”いじめ”に遭った少年が”いじめっ子”たちに現実の世界で仕返しを始めたということなのか。仮想世界でのトラブルが、境界線を越えて現実世界にはみ出してきたのか。
捜査を任された”歩く嘘発見器”キャサリン・ダンスは、持ち前の尋問スキルを駆使して少年の周囲の人々から真実を引き出しながら、事件の意外な深層に迫っていく。

自分用に、引用が長いですが・・・

大まかな始まりと、捜査官の紹介で、そこには、ちらりちらりと挿入される伏線があり、キャサリンのお母さんに降りかかった災難あり、コンピュター専門の大学教授の助けがいつの間にか、気持ちの微妙なふれあいになるところもある。

いつも行動を共にする保安官事務所の刑事に対する心の揺れなどソフトなストーリーも添えてある。

それでも、一応、どんでん返しが効果的に続いて、力量はさすがだ。

悪人は悪として裁かれ、無実の人間はそれが自然に証明されるハッピーな結末は後味がいいが。
解決への糸口で、手がかりがほかからの連絡や告発などだというのはよくある話だ。
空を見てピンと来たり、夢を見てハッと真相に気づいたりするところは、常套の探偵小説に似ている。

今でも人気のある、RPGなど、ゲームの中の仮想世界が出てくる。いまではCG画像が実写に近いほどよく出来ていて、怪物や敵を倒しアイテムを集め、相手の顔を見ないでも役割を決めてチームを作って助け合う、そこでは友達も出来、家(部屋)の中で傷を癒す場所も作れる。こういうゲームを覗いていると、仮想世界にのめりこんでいく気持ちも分からないではない。だが作者の意図はやはり、現代のこの様な現実に対していささかの警告を含んでいるようだ。

ゲームやブログ、SNS,近いところではインスタグラムやツイッター。利用者は役に立つことが多いが、賛否両論、使い方次第ではこのような負の結果も生む。
それでも今どきの、コンピューターゲームの世界に入りこんでいく子どもたちの現実が、活写されて事件解決の手引きになっていく。

やはり何と言っても「ボーンコレクター」のジョフリー・デーバーだ。
キャサリン・ライムシリーズを読んでみたら、女性主人公にサービスがあり、少しソフトタッチの作品で、意外な面を見た。


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