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鬼談百景

鬼談百景 読書

鬼談百景 小野不由美

キダンヒャッケイと入力すると「奇談百景」と変換された、でもこの本は「鬼談百景」という題名になっている。恐怖小説というなら鬼になるのか、と変なところで納得した。
作者の要請に応えて読者から寄せられた恐怖体験談ということになっている。

よくある心霊現象が、怖い。
恨みつらみによる霊現象、憑依、金縛り等々だ。
こういうこともひょっとしたらあるかもしれないと思うが、心理現象など微塵も体験がなく特に霊視もきかず特殊感覚も持たない私は、他人ごとにして読む。
もし体験したら、即死かなー。日が暮れた後、逢魔が時から百鬼夜行の刻にでもなると、蚤の心臓で読むのは冒険だ。
覚えもないままに誰かに恨まれていたなら、その怨念に瞬殺されるかもと思う。それでも好んでホラー小説を読んだり映画を見たりする。
怖いもの見たさ、恐怖心が底流にあっても、古今東西の恋愛小説のように好きの形はいろいろある。

ぞっとする話は、想像してみるとやはりぞっとして(強調繰り返し)怖い、外国の恐怖映画、霊現象、悪魔憑きや死に神、果てはゾンビや、数えきれない映画を見てきて恐ろしかったし面白かった。そこには吸血鬼もいるし、殺人鬼が活躍する(?)惨殺ものや、超常現象も起きる。
とホラーというものの一角を語ってみるが、この「鬼談百景」はちょっと薄味で、学校や都市伝説と一言で言えるようなものから体験者の幻想だったり、幻聴だったり、読んで目新しく震えあがるような話はあまり収められていなかった。短編だからそうなのかというおちも多い。

ホラー好きは少し見聞きが過ぎて、今や手ごわい。ただ日本特有の、人形や古い家屋、土地にまつわる伝承、見える聞こえる体質の経験談は、むしろその気になれば恐ろしいところもあるが。
昼間にはなんでもない話が夜になると、いわく言い難い恐怖がじわっと迫るような話もある。
後ろに眼がないというのはこういう時いいような悪いような、影ができないほど明るくなった現代はありがたいが、こうなると所謂口伝えの怪談とは別な恐怖が生まれるかもしれない。

体験者の話が集まって「百景」を作っている。
他愛もない、雑談になったが、100の形の違った怪奇現象は、繰り返すが、夜に読むと妄想も膨らんできてちょっとおそろしかった。

書評でお勧めされた通り次は「残穢」が控えている。題名だけでも期待できそう。

後で調べたら99話だったそうで、怪談の100話は語らないものだそうだ、知らなかった(-。-;


お気に入り度:★★★☆☆
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