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功名が辻〈1〉



司馬遼太郎

「内助の功」ってコウなのか? 

10年ほど前に大河ドラマで放送されていたのを初めて知った。やはりNHKは豪華キャストで、顔ぶれをしみじみ見てしまった。

安土城に行ったこともあってこの本を読んでみることにした。

ぼろを着てやせ馬に乗った一豊のところに千代という美しい嫁が来た。
父が討ち死にしたので叔母の元で育ったが、可愛がられて、叔父が持参金として大金の10両をくれた。
これも千代の人徳か。
鏡の裏に隠していたのは有名な話。
千代は純朴な一豊に功名を立て、出世して一国一条の主になることを約束させた。目端の利く千代はそれとなく信長に仕官することを勧め、そこで秀吉に目をかけられるようになる。
合戦で手柄を立て次第に家禄も増えてくる、不相応に家臣を雇ったので生活は苦しかったが、千代はそれとなく誉め、自信を持たせる。一豊も千代にのせられているように思うが、何事もそつなくこなす千代を信頼している。
二人の郎党、五藤吉兵衛と祖父江新右衛門の働きも、一豊の人柄を認めて親身になっている。時に導き、助けていく。
伊賀者の忍者が住み着くところなども面白い。

安土城を築城することになり、そこで「馬ぞろえ」をすると言う。一豊の老馬はいかにも情けない、千代は鏡の裏からヘソクリを出して、馬市で家臣が手を出せない名馬を買う。一豊は信長の前で大いに面目を施し、評判が上がる。
一巻はここまで。

愉快な話だった、戦国大名の駆け引きや戦いで滅びた名将の話ではなく、実際に土佐四十二万石の主になっていく功名話は面白い。もちろん内助の功が今でも伝えられる千代の優しいほのめかしや、励ましが、こううまくいくというのは並みの人ではないようで。
我が家の割れ鍋にとじ蓋夫婦とはまた一味も二味も違う。戦うサラリ-マンを夫にしてもなかなかこうは真似出来ない。
千代は戦場にいる秀吉にまでこまごまといたわりの手紙を書いている。

千代を信じて奮起する一豊も頼もしい。良妻賢母の鑑といわれるが、司馬さんは、今に残る遺品や、歴史の背景など挟みながら、講談のような言葉使いで書いていく。
愉快な展開も気持ちよく、読みは速い。

四巻ある、続きはまた読もう。


お気に入り度:★★★★☆
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