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新装版 ブラックペアン1988



海堂尊

天才外科医が使う新兵器「スナイプAZ1988」が登場。ライバル同士に散る火花、バックボーンにある医師の使命感など盛り込まれ、シリーズに親しんできた故の親密感が戻ってきて、楽しみながら読んだ。

東城大学総合外科教室は今回も大荒れです。

成長した医師たちの活躍は、もう田口・白鳥のシリーズで読んでいるが、今回は田口さんもまだ学部の二年生、同期の速水、島津とともに研修に来る。おお速水さん田口さんと同期だったの、と改めてびっくり。

教育指導に指名された世良は、国家試験前で結果待ち。
看護師の藤原婦長も若い、空き場所を探して昼寝をする変わらない猫田、初々しい新人の花房もいる。
新人の三名はまず手洗いから、食道癌の見学で血管から噴出した血を見て田口が失神する。これで彼の将来が決まった。糸結びをみて速水は将来優秀な外科医になると世良は判断する。

佐伯教授の外科教室に帝華大から高階講師が来る、彼は食堂癌の吻合部分に使う「スナイプ」という新兵器を持ってきた。ハーバードに二年間研修にも行った俊英で、手術の腕には定評があった。見事なメス捌きで短時間に手術を終え、「スナイプ」の威力を見せ付ける。

彼は世良の指導医になり、時には助手に指名して新米の世良を驚かせる。しかしそれを快く思わない渡海がいた。
渡海は過去に佐伯教授と何か因縁があるらしい。昇進を頑固に断り、手術室の隅の部屋に住み着いている。腕は優秀で、高階講師の留守の時、世良たちの前で困難な患者を助けて見せる。

佐伯教授が学長に立候補し当選確実だと思われた日、札幌の大きな学会で講演することになっていた、そのとき教授の執刀した過去の手術の真実が明るみに出る。
教授はどうするのか、医師の良心が問われる場面で、問題のブラックペアンが登場する。
そのとき高階は、世良は、そして渡海は。
三人の心に奥深くに、その日の出来事が刻まれる。

親しみがあったからか、ページ数も少なく早く読みきってしまった。新米医師の世良はその後どうなったのだろう。「チームバチスタ」に名前が無い。
探してみると、世良医師が出る二つの続編が出ていた。
「チームバチスタ」シリーズもみんな読んだつもりだったが、二冊も読み残しがあった。


お気に入り度:★★★★☆
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