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約束の地



ロバート・B・パーカー

スペンサーシリーズの4作目。1976年MWA長編賞受賞。発刊が古い、でも話は今でも新しい。

読みやすくて面白くてすぐに終わった。スペンサーという探偵は、自分で認めているように、ハンサムで頭がよく、弁舌爽やか、鍛えているので喧嘩にも強い。ボクサーだった過去もある。主人公が格好がいいのは普通で(探偵なんていうのはいささか変った人も多く居るが)、頭と勘が悪いと話にならないし。恋人のステキなスーザン・シルヴァマンともうまくいっている。

仕事の依頼が来た。ハーヴィ・シェパードという男で、家出した妻を捜して欲しいと言う。
妻はすぐに見つかったが、家出の理由は愛されすぎて鬱陶しくなったからだそうだ。
なんということ、まぁ世界は広いし妻は犬のように嗅覚も鋭いもので。

家に戻りたがらないので、スペンサーは無理に連れて帰らないことにした。夫は妻にもスペンサーにも隠していたが、高利貸しに莫大な借りがあって追い詰められていた。
そんなことを探り出すのはわけも無いことだった。
大物になりたい一心で土地開発に手を出し資金繰りに詰まったのだ。夫は力を妻に誇示したいからだと思っていた。夫が借りた金融会社のボスは裏では銃器ブローカーだった。
こんな夫なら逃げて正解かも。

妻が駆け込んだのは女性運動家のぼろアパートだった。
そこでは運動家たちは資金作りのために銀行強盗をする話になっていた。
妻はそれに巻き込まれた。
仲間の一人が邪魔をした老人を射殺してしまう。

スペンサーはひそかにそこから妻を連れ出して匿い、強盗が成功して10万ドルの資金ができた運動家の女たちが、銃を買うというので手伝い、3%の手数料をとり、同額の夫の借金返済に充てることを思いついた。

「約束の地」を決めてそこで取引をする。警察に裏で伝え、殺人を犯した銀行強盗の女たちを捕まえ、いっぽうで銃器の密売人も逮捕することにした。

というストーリーなのだが、ここでも気の利いた会話がてんこ盛りで面白い。
妻を愛しすぎて逃げられた夫は原因がそれだけなのか。
愛された妻はなぜ三人の子供まで捨てて逃げようとしたのか。
スペンサーと恋人は愛し合っているのになぜ結婚しないのか。
引っ張られつられて、読んでいても先が気になってやめられない。

気の利いたラブストーリーもあり。だからこ難しい展開は無く、ちょっと話に出てくるユダヤ人のことにもかけて、「約束に地」でスペンサーは夫婦を解放する、モーゼもイエスさまもビックリの気の効いた題名になっている。

スペンサーシリーズから
ユダの山羊


お気に入り度:★★★★☆
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