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証拠排除〈上〉



ペリーオショーネシー

とても面白かったので紹介。作者は2人の姉妹で、姉はハーバードの法学部出身。そのせいか法廷場面のやり取りも、弁護側検察側共に心理作戦の立て方や、弁護時の描写が行き届いて面白い。

夫婦の溝が深まったためにふとした過ちで離婚ということになってしまった。
どうも夫はそれを喜んでいる節があり、やりきれないことに多少未練はあるが元には戻れない。
そこで兄がいるカリフォルニアの景勝地タホの町で、それも衝動的に空き部屋を見つけて開業することにした。

そんなひとつの危機を乗り越えようとしている女性弁護士が主人公。

完璧なまでに美しくそして不幸な依頼人が来る。彼女の無実を証明しようとするのだが、彼女は耐えられない苦しみを抑圧するために、記憶を失うことで自分を守っていた。
そのために夫殺しの顛末も記憶から消してしまっていた。
そこで、精神科医の睡眠療法中に自白したかのような一言は、証拠として採用できるのか。
彼女の障害の原因になった過去の出来事には、なにが隠されているのだろうか。

ここで切羽詰まった弁護は、多彩な人物の 登場やストーリー展開のうまさも相まって真に迫って実に面白い。
事件はなかなか面倒だが、文章は整理された流れが心地よく、最後まで飽きない。

怒涛のように、終盤に向かう部分はあっけなさもあるが、オチは心温まる仕掛けになっている。


お気に入り度:★★★★☆
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