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赤い指



東野圭吾

読み始めたら、気が重いストーリーから始まった。ミステリってなにか起きなくては、そうそうそんなもの、と覚悟して。
趣味が茶道とクラシックバレエの加賀恭一郎さん、ここはどうする?

おなじみ加賀恭一郎シリーズの一冊が古本屋さんに並んでいたので買ってきた。
最近全く読まなくなった東野さんだが、少し前から当たり外れが多くて避けていたこともあってご無沙汰していた。

おばあちゃんの介護がいるようになったが、奥さんが同居はいやだと言い切るので、中に挟まって夫は困り果てている。
遅く帰ることで難を避けているが。
息子は会話もなくて部屋から出ようとしない。
今風のありがちな家庭に突然事件が飛び込んでくる。
庭の芝生の上に少女の死体が転がっていたのだ。夫婦はビックリ仰天。

母親の介護やら、巻き込まれた事件やら。
平凡な家庭が波立ってきたとき、災難が降りかかった時、解決の仕方や家庭の守り方は、それぞれで。
そういったありがちな方向選択を、味な一筋縄でいかないストーリー展開にしていて、やはり東野さんらしい作品になっている。
認知症の母親が登場して意外な展開になり面白いヒントがある。
また加賀さんの身辺も、従弟が警官になったり、父親が入院したり、暗い環境が見えてきて。
彼も職場を離れると悩める人なのだ。

ただ仕事人としてはあい変わらず冴えている。多少冴え過ぎかも。
スカッと解決して、哀切な余韻が残る。

相変わらず読みやすくて面白かった。

読まないでいるうちに東野さんは目がくらむくらい作品が増えている、中に名作も多いようで同時代に生きていることが嬉しいかも。
書評で評判がいいものは楽しみに読もうかなと、周りには聞かれないようにこっそり独り言を言ってみる。

これからプチ断捨離で今年を締めようと思っているのに。


お気に入り度:★★★★☆
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