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長い腕



川崎草志

解説では21回横溝正史ミステリー大賞の受賞作。21回は2001年で少し前になるが、その賞があることは知らなかった。
でも横溝正史という名前に釣られて読んだ。

始まりは、ゲームソフトの製作会社に勤めるヒロイン「汐路」の仕事場が詳しく紹介される。
ゲーム制作会社のプログラマーの仕事場は興味深く面白かった。

そこで同僚二人が飛び降り自殺。

事件に昔の両親の飛び降り自殺が絡み、故郷は田舎町であるにもかかわらず殺人事件の発生率が高いことなどを織り込んでこのあたりから不可解な雰囲気を醸し出している。

汐路は退職して旧弊な因習の残る郷里に帰り、そこで起きた猟銃殺人事件で殺された中学生が持っていたキャラクターグッズと、飛び降りた同僚が同じグッズを持っていたことから、職場の飛び降り自殺に関連があるかもしれないと気づき、真相解明に乗り出す。

近代的なソフト制作の現場と閉鎖的な田舎町で、コンピューターのプロらしく犯人を割り出していく過程が面白い。

最後のシーンは手に汗握る不気味さもあるが読みやすくすらすらと進む。
ちらほらと横溝正史の世界も垣間見える
だが、これを出発点にするなら、作家としてまだこれからの人だろうと期待した。
長くなるので読んだ記録として保存。

調べてみると、この「長い腕」は評判が良かったようで、シリーズが[Ⅲ]まで出ている。


お気に入り度:★★★☆☆
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