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雨に祈りを



デニスレヘイン

「ミスティック・リバー」 映画「ゴーン・ベイビー・ゴーン」の原作を書いた人に、こんなシリーズがあると知らなかった、探偵パトリック&アンジーシリーズ.

悪人にもいろいろある、書き出しにぴったりの、悲惨な生い立ちという過去があり。衝動殺人とか、計画殺人とか、その他百の話には百の形の犯罪を犯す。
悪にも不幸のようにいろいろな形がある。

しかしこのように、悪を愉しみ、じわじわと苦しめて目的を達しようとする、これほど残酷な呵責のない悪は耐えられない。
その上最後までその動機が分からない。
ついに読者までわなにはまってしまう。
レヘインのますます冴えた構成が面白かった。

パトリックの事務所に穢れのない清純な女が相談に来た。彼女は別れた相棒のアンジーの紹介だった。
彼は一肌脱いで解決をする。
が、暫くして彼女は全裸で飛び降り自殺をしてしまった。
死ぬまでの彼女の暮らし方には疑問があった。裕福な両親、兄弟もいる。しかし自殺直前は売春をし麻薬におぼれて自分を見失っていた。引き金になったのは婚約者の突然の事故で、彼は植物状態になってしまっていた。

パトリックは、彼女を襲った絶え間ない悪運の背後に、執拗な悪意を感じる。

彼は、また、アンジーと爆弾と銃を持たせれば怪物になるブッパ(魅力満載のキャラ)の協力を得て、背後の人物を追い詰める。

金のために張り巡らした複雑なワナ。パトリックの前に、ちらちらと姿を現す犯人の影。
まさに命がけの戦いが壮絶。犯人像も二転三転。

レヘインの文もますますこなれて絶妙なフレーズは立ち止まって読み返してしまう。
秋雨には読書を と思いつつ。
ブッパと言う憎めない男が可愛い恋をするのはちょっといい。


お気に入り度:★★★★☆
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