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顔に降りかかる雨

顔に降りかかる雨 読書
桐野さんの本は「OUT」しか読んでなかった頃に、そのあと読んだ「ミロ・シリーズ」を掘り出してきた。この頃桐野さんは面白かった。これは一作目。
村野ミロの親友、宇佐川耀子が失踪した。愛人の村瀬から預かった一億円のアタッシュケースとともに忽然と消えてしまったのだ。
村瀬はミロを疑って部屋を探して荒らし、見張りを置き、自分でもミロのところに転がり込んでくる。
一億円を融通したのは、金の出所も言えないような仕事をしている人物だった。
村瀬はかっての東大全共闘崩れで、拘置所仲間だったヤクザの後ろ盾で商売をしていた。
金を持ち逃げした耀子と金を、一週間で見つけなければ報復が恐ろしい、ミロも巻き込まれて、耀子の行方を捜しはじめる。

耀子は学歴をハンデに感じていた、異常な上昇志向で身辺を飾り学歴を詐称し、派手な生活を続けて、禁治産状態にまで追い詰められていた。
だがノンフィクションライターとして夜の街をルポすることで一時的にだが、世間に認められるようになっていた。しかしそれにも行き詰まりを感じ、社会派のルポライターに転身を図る。そこで、ドイツで起こった金髪の東洋 系売春婦の殴打事件を取材する目的で、東西の壁がなくなったベルリンへ行く。
そして偶然、そのころ問題になっていたネオナチの事件を目撃した。

ルポは出来上がってフロッピーに入っているらしい、その中に何か手がかりがないだろうか、だが村瀬とミロはどうしてもそのフロッピーを見つけることが出来なかった。

夜の新宿を彩る闇の性風俗の世界は、それなりに人の交流もあって、耀子探しの手がかりを求めて二人は関わっていく。

死体写真を集めている老人が死ぬ。その中から耀子の溺死体の写真も見つかる。おぞましい闇にかかわった耀子は金を盗んで逃げたのだろうか。そして誰かに殺されたのだろうか。

友人の死の痛ましさと、自分への危機を逃れるためにミロは村瀬とともに真相を探す。

まずミロという32歳の女性がいい、弱さも強さも含めて彼女のキャラクターが魅力的で面白い。
今回行動を共にする村瀬も、ハンサムで知的、ミロがちょっと惹かれかけるのも無理がない。
又、展開の速いストーリーも飽きないし、ミロの周りには、調査業を引退した父親の、アドバイスもある。
優秀な探偵だった父親の友人も多い。
夫に死なれた過去をまだ引きずってはいるが、ミロは自分が家庭で静かに人生を送るタイプではないと自覚している。
自立した生き方は女性の形としては歓迎されるものだろう。

ミロという名前に見覚えがあったので探してみると本棚の奥から「天使に見捨てられた夜」という第二作目の本がでてきた。
1997年の文庫としては初版本で古い、これは本屋さんで買って読んだのだろう、忘れてしまっていたけれど。

次は「天使に見捨てられた夜」と「DARK 上下巻」がある。

積読読んで整理作戦も先が長そう…。図書館の本までたまってきた( ノД`)


お気に入り度:★★★★☆
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