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なかよし小鳩組



荻原浩

またもピーンチ、ユニバーサル広告社。仕事は見つかったが今度は指定暴力団のイメージアップ作戦。どうなる?

またも切羽詰ったユニーバーサル広告社、のんきなのはバイトの猪熊エリカ(姓が気に入らず結婚願望が強い)。
杉山は久々のクライアント、結婚式場の鶴亀会館のコピーだが、頭を男にしたり女にしたり悩んでいる。
村崎はなめこの味噌汁にハンバーガーのいつもの朝(昼?)飯中。出来上がったイラストは、<鶴亀>だが彼好みの図柄で、鶴亀が空に舞っている、かと思えば火を噴くキングギドラvsガメラだ。真面目にやれ!!
社長の石井はよたよたと出勤。「冬来たりなば春遠からじ、大丈夫だと言って、言ってぇ ナ、ナ」いよいよ会社の危機(らしい)

石井が張り切って言う「きたで、CIや」 CI(企業イメージ統合戦略)
小鳩組?本当にヤクザだったりしてね。と村崎は言う。「ウホホホ」石井は笑ったがおかしくもなんともないことに気づく。

さて小鳩組。ピース・エンタープライズ・スクエアビルに居を構える、指定暴力団だった。三人は借りてきた猫、三すくみの「見猿聞か猿言わ猿」で、窓に鉄板を貼り付けた薄暗い応接室に座っている。周りはスキンヘッドや紋紋のおにいさん。
しかし、組にはインテリが控えていて理詰めで追い詰められ(経済的危機でもあり)またまた断るつもりが引き受けてしまう。

杉山は元妻の入院で娘の早苗を預かる。この子、サッカーフリークで、昼メロのファン。父性に目覚めた杉山は仕事を家に持ち込む。早苗の「鳩」の落書きがなかなかいい、村崎の妙な「ひょうたん」もいい。というので、紆余曲折、侃々諤々の脅しをあびながら、小鳩組長の鶴の一声でシンボルマークが決まる。

しかしCM、スポットにしても莫大な費用と時間が要る。社長の石井が何の考えもなく先払いの手形を使ってしまった手前、予算内で何とか納めたい。

市民マラソンがあるという、チャ~ンス!!杉山が閃いた。ゼッケンとひょうたん、鳩マークのシャツが5分映ればどうだ。いい宣伝になる。
さて、エントリーしたのは朝の健康マラソンで少し体を作った杉山。高校時代驚異の記録を持つチンピラの勝也。
さぁ 招待選手の横に並んでテレビに映らねば。
小鳩組挙げての応援と、2メートル近い村崎に肩車された早苗の声を背に走り出す。

でもこの際、私は、杉山より、足を洗って再生をかけた勝也を応援する。かつや~ガンバレ。

そして今回の読書で学んだこと、指定暴力団とは法律でけじめをつけられた暴力団のこと。ナルホドそれで今まで読んできたその方面のもろもろの話がはっきりした。
前回と今回で、<閃き>は仇やおろそかに出来ないということ、その上偶然に幸運が重なると危ない命も助かることもあるということ。

いやまたまた面白かった。笑あり涙(?)あり。で一気読み。積読も減った。

娘の早苗がいい。組員のヤクザたちが、悲しいつらい過去もありつつ、何気に怖いを越える愛嬌もある。猪熊エリカさんは猪熊組の組長の娘だった!?。い!い!いいのこんなこと荻原さん、面白かったけど、、、。でも猪熊組は小鳩組と対照的な義理と人情の統制の取れた集団だった(これも面白し)

ユニバーサル広告社、いよいよ崖っぷち。
次の作品で落ちていなければいいが。


お気に入り度:★★★★☆
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