三田村信行
図書館では児童書だと聞いたからか絵も美しく、お伽噺風でとても楽しい本だった。
(4)まであるが、まず(1)は清明の誕生から、都に戻り中納言に仕えるまでの話。
(4)まであるが、まず(1)は清明の誕生から、都に戻り中納言に仕えるまでの話。
父、安部の保名と葛の葉の間に生まれた清明は、信太の森にいる母に会いに行く。そこは狐が守っている森だった。母は長の葛翁の子供で、大きな白狐だった。狐たちは様々な術を使って暮らしていた。その狐たちに守られて修行をする。
母は清明が信太の森からでて人々の間で生きることを願っていた。
清明は母に守られながら、赤い玉を持って都に帰ってくる。父が亡くなった後、屋敷は狐たちが守っていた。陰陽頭の加茂忠行に預けられる。
京に帰る旅の途中で、多城丸と妹の小枝と知り合う。流浪の高僧知徳法師にもあう、気難しい僧だったが眼鏡にかなって弟子になる。
忠行の下から、陰陽寮に通って修業を始める。母の愛に見守られ、狐たちとの交流のなかで成長していく。
知徳の弟子だった破戒僧の暗躍、子供ながら災難は容赦なく降りかかってくるが、信太の母から貰った赤い玉は「赤眉」という狐に化身する。その術は強くて、清明は何度も助けられる。
次第に強くなる清明が可愛らしくて頼もしい。
当時の京の都は様々な怪異、妖怪が跋扈していた。魔を操るものはその術で出世を目論んでいたり、盗賊だったりして、貴族たちは自衛のために強い陰陽師に守られたいと思っていた。
中納言の家の陰陽師が亡くなり、腕比べをして勝てば出入りできるという。相手は蘆屋道満という僧だった。
強敵の道満を破り、清明は名前を知られるようになっていった。
単に清明の成長記でなく、ファンタジックなエピソード満載で、その上読みやすい、挿絵は美しいし清明はかわいいし、狐たちも無邪気でとても面白い。
第50回日本児童文学者協会賞
お気に入り度:★★★★☆
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