サイトをSSL化しました。セキュリティアップ!

五番目の女 (上下巻)



ヘニング・マンケル

主義主張を通すのは命がけだ。遠いアルジェリアで起こった事件。犯人対イースタ署の刑事たち、住民の活動にも悩むヴァランダー。

スウェーデンは日本より寒い。緯度が高いので当然寒い。冬が早く長いイースタという港町に親しみもわいてきた。

「五番目」と言うのがこじつけでなく意味がある。
始まりは凄惨で、舞台になるスウェーデンから遠くアルジェリアで起こった。4人の尼僧殺し、そしてそこには5番目の女がいた。

それから23年後に連続して起きる殺人犯罪。それは、イースタ警察の刑事たちには思いも及ばないほど、猟奇的で計画的なものだった。
まず、引退しているが自転車販売で財を成した男が自宅裏の濠で竹で串刺しにされて殺される。
続いて花屋の男が姿を消し3週間後に森の中で痩せ衰えて発見される、彼は木に縛り付けられた上で絞殺されていた。
次に、湖で袋にいれられた男が溺れ死んだのが発見された。どれも男性か複数犯だろうと思われ、ヴァランダー刑事は、捜査が混乱した中で、将来の見通しがつかず、手がかりも動機もわからずに苦しんでいた。

秋の初めの9月は、冷たい雨の多い季節だった、連続犯罪に市民の中から自警団を作るものが現れ、過激な行動はマスコミにとっても警察批判の的になり警察内部でも次第に焦りが出てくる。

犯人の女性は、完璧に進んでいく殺人に自信を持っていた。
だが、姿を見られ、少しずつ捜査の手が近づいてくるのを感じ始める。

ヴァランダーという刑事は、あまり格好がよくない。
見かけは二前目らしいが、捜査方法ではいつもおろおろと悩んでいる。
反面、警官としては鋭い指揮官ではあるが、いつも何かしら間違ってはいないか恐怖まで感じている。

和解したばかりの父の死を悔やみ、早く事件が解決して恋人と一戸建ての家にすみ黒い犬を飼いたいと思っている。
事件で疲れた頭を、そんな風に想像することで慰めている。
捜査官としては、周りに信頼され、手がかりにつながるヒントを見つけるのも早いが、内には人間的な弱い部分をいつも引きずっている。

今回も、「目くらましの道」のように最初から殺人の意図と犯人がわかる仕組みになっている。
事件から半年後にこの犯罪が起きている。

イースタ署の警官は、非常に優秀で粘り強い。手ががりを求めて飛行機や電車や車で動き回り、なじみの薄いスェーデンという国を案内してくれる

読み始めは、人の名前か、土地の呼び名かが頭に入らず、名前も苗字のところでとまるようなこともあった。北欧の言葉は難しい。

日本語は三大難解言語だそうだけれど、その中のアラビア語や中国語よりスウェーデン語はやさしいのだろうか、名前だけでもこんなに覚えにくいのに。


お気に入り度:★★★★☆
掲載日: