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仕事は楽しいかね? (きこ書房)



デイル・ドーテン

図書館でおじさんが振り向いてこちらを見ていたのでつい借りて帰った。これは、飛行機が飛ばなくなって時間待ちをしていたら、知らないおじさんに話しかけられたという設定で成功の秘訣を徐々に伝授される話だった。

教えられる方も言いたいことはあったようだが結局、楽しく間違いないコースで成功しよう、そうすれば苦しみだって常に楽しいとおじさんは言う。
生きる意欲を掻き立てられ、旨く行けば底力までかき集めて人生を邁進する、思えば幸せなことで、生きる価値はそういう所にある。すべてではないにしろ。
と前向きに納得したところで、がちがちのビジネス書でないところがわかりやすい。

主婦業に不満がない私が面白かったのは、ビジネスマンだって専業主婦だって、男性も子供も大人も、何かして一日を送っている。別に変わりはない。それぞれの感じる責任の重さは違うとよく聞かされるが、生きている重さや目標が、環境で感じ方で(たまにはもって生まれた性格で)とても違ってくることはあるでしょう。
主婦だって同じだ。家庭内で収まっていると思ったことが将来の家庭や社会に影響することだってある。ありきたりながら幸不幸が人によって違うように。
不意に家庭が窮地に追い詰められたら主婦も生きるために外の仕事を選ぶこともあるでしょう。そういう時は「仕事は楽しいかね」なんて聞かれても。目下のところ考える余裕はないのです。と答えます。

お年寄りが介護されていたって、生きている限り「一日は楽しいかね」と訊かれると。「うきうきです」と答えるだろうか。
「毎日全く面白くもない」「世話してもらうのはつらい、」
子供は「早く大人になりたい」
おとなでも「もっと面白い楽しいことがあると思う」
おじさんは「そ、それを仕事というのでしょうか」と困惑するかもしれないけど。
人生は始まりもあって、終わりもあります。平等に。最後に来る危機管理について次は教えて欲しいかも。
人生は楽しいかね。

「仕事は楽しいかね?」だから、ここはひとつ 「はい」

この中では「楽しいかね」と聞かれ最後には「楽しい」と答えられる方向にむいて書いてある。
楽しいストーリーでなんとなくやればで来る気にさせられる。
でも「楽しいこと」ってなに?
起業して成功して経済的に安定して、家族や社会への責任を十分に果たす。それを仕事というのだろう。
そうすれば向上心や自尊心も十分に潤うだろう。おじさんにイエスといえれば。

人生を過ごす時間は、楽しい仕事から降りて第二の人生を過ごすときにも残っている。社会の枷から自由になって思う暮らしができ、人生を全うできるところまでは語ってないが、これを読めばこの通り出発すれば、運よくアイデアが閃けば、事業が成功する。ただ他力本願の運任せでは成功おぼつかないということで。

家の中にいて外があまり見えない主婦にしても同じことがいえる、ということは人生は大小あっても中身は変わらないっていうことだ。

あれこれと外野が喧しい中、子供の時から漠然と将来は専業の主婦になろう。家にいて家事を受け持ち子育てをしようと思っていた。狭い世界の小さな夢だったが、好きなことがぎゅっと詰まっているように見えた。その上空気は読めないし「忖度」できないし、外人間ではないと思っていたし。
「仕事は楽しいか」と聞かれると家から出て新入社員から少しずつ階段を上るのも悪くないし、アイデアで事業を成功させるのも生き甲斐だろう。
しかしそれは人によって違う。思う幸せや不幸の形が違うように。
だから役に立つ人は叔父さんの言葉をじっくり考えたらいい。

私は十三章、十四章がいいな。
「新しいアイデアというのは新しい場所に置かれた古いアイデアなんだ」母の料理をまねながら少し新しい食材を入れてみる。ちょっと模様替えをする。温故知新。

頑張って採用した「断捨離」では失敗することもあるが、ふと思いついた小さなことがいつの間にか家庭の習慣になっていくこともある。
でも、蟹は自分に似せて穴を掘る。という

「人生はくだらないことが<何度も>繰り返されていくのだよ」という。これは真実。

君たちの事業は、試すこと自体が欠落していたんだ。
あらゆるものを変えてもう一度変えることなんだよ。
それはあるべき状態より良くあるべきなんだ。

大体仕事が楽しいなんてあるだろうか、だからこんな題を付けた本を私も読んだりする。
仕事が面白くなるには人間はわがまますぎるし多くを見過ぎたし、苦労は避けたい。

一言付け加えるのを忘れた。目標に向かっている人は「面白い」の埒外にあること。
読んでいる間は夢があって面白かった。


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