ジョンハットン
偶然、犯罪に巻き込まれると凡人はこういうことになるのかもしれない。本人のじたばたと周りの困惑もありそうだ。ゴールド・ダガー賞受賞作の傑作ミステリ―という触れ込みにしては、読後感はよくなかった。
師範学校の教師、コンラッドは、派遣先に行き、研修生を指導する仕事についている。
教える生徒がいる学校に派遣されては帰る、という日常である。
通勤途中でヒッチハイクをしている女子学生を乗せるが、あまりの態度の悪さに、途中で降ろして腹立ち紛れに彼女のバッグをドアから外にぶちまけて走り去った。
悪いことにヒッチハイカーの連続殺人事件が起き、彼は参考人になって尋問を受けてしまう。
おりしも彼の学校は統合されるという噂で、職を失うかもしれない不安がある、気に入らない同僚が他校の校長に抜擢され、それは我慢するとして空いた椅子がどうしても欲しい、そんな折も折、変な言いがかりは迷惑千万だった。
そこでちょっとした嘘をつく。女子学生は乗せてない。時間があったので映画を見た、上映していた二本のうちポルノでない方を見たという。
それで捜査は大混乱、前々から不満を抱えていた妻は家出。警察の家宅捜索や、呼び出しで昇進の面接もフイになる。
というような、小さな嘘が大事になってしまうのだが、まぁこのコンラッドという人物が姑息でいやらしい。
その上話が進まない。最近のスピーディなミステリに慣れると付いて行くのが辛かった。
シルバーでなくてゴールド受賞作だというと、読みかけた意地(?)もあってそのうち面白くなるのかと欲張ってしまう。
最後まで我慢して読んだが、私にはどうも合わなかった。
イギリスでは面白い本なのだろうか。私がイギリスの教育制度に不案内だからだろうか。何しろ自業自得な主人公がいやだったからかも。
お気に入り度:★★★☆☆
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