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新装版 不祥事



池井戸潤

花咲舞あなたは強い。ついていきます。

ドラマにもなった花咲舞が活躍する。読後感のいい痛快な連作短編集。
舞台はやはり銀行。
納得できないことには、真正面からぶつかっていく、男気があるといえば聞こえはいいが女性、それも美しい人らしい、狂咲とあだ名されるように、時には口でわからない相手には平手で殴りつける、いやはやあるまじき、、、それがあるので。

「激戦区」
自由が丘支店。他行に負けている付けを人件費で埋めようとして、ベテラン女子行員をいじめてやめさせていた。舞は銀行不振の原因を突き止めて、上司と対峙する。

「三番窓口」
一億円を入金した途端に他行で出金するが、振込みは中止として金を持ち帰る、という詐欺計画をたてた。だが振り込みに使った三番窓口には新人に代わって花咲がいた。

「腐魚」
新宿支店、大手得意先のオーナーの息子が融資課にいた。親元を笠に着た非人情なやり口に花咲のビンタが飛んだ。

「主任検査官」
武蔵小杉店に突然金融庁の審査が入った。まずい書類を隠せ!! だが内部の誰かがリークしていた。凄腕の青田主任検査官は余裕たっぷりに地下にあったダンボールを探し出す、だが「まだあるはずだ!」青田は女子ロッカーを開けさせる。さて花咲舞の振り上げたこぶしは? 

「荒磯の子」
胡散臭い風体だが、お得意様の武内、彼は「荒磯の子」と言う子ども会の世話をする慈善事業家だと言われていた。
しかし、花咲はその入出金になぜかひっかかった。支店長の慇懃ぶりにまで不安を覚える。今度は支店長を怒鳴りつけて危機を救う、なんとも気持ちが良い(^∇^)

「過払い」
窓口の支払いがすんだ。だが残高計算が100万円合わない。恥を忍んで目指すお得意様に確かめに行き、怒鳴られて帰ってきた。
しかし、あのお客の、あのときに過払いしたのに違いない。そこで花咲の推理が見事に真相を突き止める。

「彼岸花」
エリートーコースを順調に歩き始めていた行員が、当時の噂では苛められ閑職に追いやられ、はては退職したと言う。ある日彼岸花の花束が送られてきた。宛名は過去に出世競争に勝ち残ったと言う上司だった。つき返すのも後味が悪いし銀行のマナーにも反する、そこで当時のことを調べてみる。送り主は自殺していたが、どうも妻が送ったらしい。妻は銀行のパートの仕事をしていた。花咲は一言声を掛ける。

「不祥事」
大得意先の給与を記録した光ディスクを紛失してしまった。空前の不祥事に顔色をなくす。9千人分の給与支払いが遅れてしまう。本格ミステリを掠めるような捜査が面白い。

硬い印象の銀行にもミスは多々ある。それにしても漫画のような活躍ぶり、ホントついていきます。


お気に入り度:★★★★☆
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