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残穢



小野不由美

土地についた死の穢れが連鎖する、伝わっていく。住んだ人たちに起きた怪異。新しい形のホラー小説を読んだ。

読者から、新居に落ち着いたが、妙な音と気配がして落ち着かないとメールが来る。作者はホラー小説を書いているが、ときどき読者から怪談話が寄せられる。
過去に同じ土地に立つマンションの住人から来た手紙を思い出した。そのマンションで、部屋は違うが同じ体験談があったのを思い出した。
それが発端で、作者はそこを訪ね、ごく短期で住人が入れ変わる部屋があり、その中には自死した人があることも知る。

その岡谷マンションは土地を整理して建てたものだった。当時の屋敷跡は広く、今はマンションと狭小住宅が建てられていた。

住宅の住人や転居していった人の中に、不審な体験をした人が多くいることがわかる。

土地に根付いた怪異ではないだろうか。何かの穢れが影響して、続いているのかもしれない。そして、その土地の過去を辿っていく。

土地についた穢れが人につく。それを辿るというストーリーが、現在住んでいる人から見れば、降ってわいたような恐怖がある。

一見縁もゆかりもなさそうな、人と土地について現れる。穢れは積み重なっていく。
根拠を戦前まで遡る話は不気味である。

現在の住人からみればまるで想像もつかない現象が起きていることになる。
現在の住宅事情は、土地があり、ある程度条件が合えば住家として合格であり、地縁の薄いこの時代は先住者がどう住んだかはあまり考えることがない。

事故物件でも好んで入居する人まであるという。

この怪異、残された恨み、死の汚れが、土地についているというストーリーは、住んでいる土地の快適さに陰が指すような現実味が恐ろしい。

久しぶりに心から恐ろしい本に出会った。先に書評を書かれ教えたいただいた方々に感謝です。


お気に入り度:★★★★☆
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