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白ゆき姫殺人事件



湊かなえ

後味の良くない、イヤミスと呼ばれる作品で感想を遠慮していましたが、ホンノワ「コノナツ2017」に参加するのでレビューしました。その後の作品で少し考えを改め、湊さんが好きになりかけています(^^♪

以前「告白」を買って読んだ。子供のことで復讐する話で、「本屋大賞」といって山のように積んであった。
ところが読んでみると、夜回り先生が出てきたり、今時のニュースと、可哀相な出来事と、意外な復讐法が面白いけれど。舞台が学校で、その上生徒と教師じゃよくないでしょう。と深読みしてしまった。母性となると読者の親心をくすぐられるのだろうか、目の付け所はいいが。

 そんな事を思いながら、またこりもせず「白ゆき姫殺人事件」を読んだ。映画も小説も大歓迎されている様子だし、どれどれどんな本?という好奇心の虫が騒いだ。後味がよくないというので、これもイヤミスというらしい。それならそのつもりで。

少しネタバレかも知れないけれど、映画化もされているし。
後にある参考資料も進行にあわせて読んでみた。

 美人のOLが刺されたうえ焼き殺されると言う事件が起きた。勤め先が化粧品会社で「白ゆき」と言う石鹸がヒットして世間に知られていた。
それで「白ゆき姫殺人事件」ということで騒がれ始めた。 
被害者の美貌は社内でも目だっていて、製品のモデルに使えばよかったと囁かれるほどだった。
 新人は二年先輩がパートナーになって教育する、というシステムだった。
殺されたのは三木典子、パートナーは後輩の狩野理沙子だった。
彼女は典子の元で教育を受け、彼女は心身ともに美しい人だったと記者に言う。

フリーランサーの週刊誌記者が関係者に取材を始める。出身地の人たちの噂、社内のOLたちの話。同級生からも聞いて回る。

それをまとめたのだが、彼は事件を特集して低俗極まりないものする。
彼はネットサイトでも匿名性を利用して陰湿な書き込みやふざけた話をする。今風に根拠のないうわさを降りまく。

そのSNSの記事なども組み込まれている新しい形の作品だったが、何か雑然として読みづらく成功しているとは思えなかった。

美貌が罪になることは無い(ほとんど、と思う)、そうでないなら美しい人は生きていけない。
美しいに越したことは無いし、美しくなりたいと誰でも思う。でも美の基準はそれぞれで、化粧品会社が舞台なのがミソかな。

美貌談義はそっと心の中でするとして、それが事件の原因となればどうだろう。
美人について、同僚のOLたちは隠した本音が理性の陰からちょっと覗く。いやな話だった。

本性を包み隠そうとしてまた一枚醜い皮をかぶるというような生活の中では、常に隠しているので平穏だという部分がある(おとなの良識ともいう)。
ここでは改めて根源的な悪意の姿が見える。
隠れた悪意を抉り出すイヤミスか、なるほどと納得した。

読みやすい上に、時代性もある、人気の秘密も少しわかった気もした


お気に入り度:★★★☆☆
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