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ハワーズ・エンド

ハワーズエンド 映画

ハワーズ・エンド

「HOWARDS END」 (1992年 英)

監督:ジェームス・アイヴォリー
原作:E・M・フォスター
出演:アンソニー・ホプキンス ヴァネッサ・レッドグレーヴ ヘレナ・ボナム=カーター エマ・トンプソン

静かで落ち着いたイギリス映画が好きでよく見るが、特にこの作品は三度目。
だんだん記憶も薄れてストーリーもあやしくなった頃にまた見たくなる。秀作。


旅行先で知り合ったウィルコックス家に招かれたシュレーゲル家の次女ヘレンは、
長男と婚約したと思い込んでいたが、それが一夜の気まぐれと知って両家は気まずくなる。
ところがロンドンのシュレーゲル家の向かいにウィルコックス家が引っ越してくる。
知的で自由な気風を持つシュレーゲル家と実際的な実業家であるウィルコックス家とはなかなわだかまりは解けそうもない。


だが死が迫っているウィルコックス家のルース夫人と姉のマーガレットは親友になっていく。
死の床で夫人はハワーズエンドにある屋敷を同じ気質を持つエリザベスに譲ることを書き残すが握りつぶされてしまう。
ロンドンで住むウィルコックス家にとってその家は距離も環境も半端であまり親しみのないところだったが、夫人にとっては生まれ育ったその家は何ものにも替えがたい宝物のようだった。
マーガレットにはその家の持つ意味が分かってもらえる唯一の人に思えたのだった。


次女のヘレンは多少エキセントリックなところがあるが心根は優しい娘だった。
ふとしたことで知り合った貧しいバスト夫妻と親しくなったが ウィルコックス家のヘンリーが洩らした言葉を信じてバストを失業させてしまう。
責任を感じてヘンリーに職探しを頼むがすげなく断られ、ますます頑なな態度で接し始める。
ヘンリーは開放的で明るく知的なマーガレットと次第に親しくなり結婚する。
夫人の遺志を知らないままマーガレットは訪れたそのハワーズエンドに魅了される。
貧しいながら一途に生きるバストに引かれた次女のヘレンはバストの子を身篭るが、ハワーズエンドに泊まっていたヘレンに逢いにきたバストは貧窮と疲労で体力が消耗しているところに、妊娠させた無責任さを詰問され倒れて死んでしまう。


さまざまな出来事が重なり、運命の導くところだろうかハワーズエンドは姉のものになり、無事出産したヘレンの子供とともにマーガレット夫妻はそこで暮らすことになる。


この監督のものは「眺めのいい部屋」というのも見たことがある。
この映画も同じトーンを持ち、静かに進行していく物語が心地よい。


「ハワーズエンド」では特に優雅で自由で進歩的な姉が何にでも興味を持ちよくしゃべるのが楽しい。エマ・トンプソンはこれでアカデミー主演女優賞を受賞している。
また有名なシーンでバストが一夜迷い歩く森に咲いているブルーベルの花の群れは、
彼の人柄をバックに鮮やかで夢のように美しい。
若いアンソニー・ホプキンスは実業家らしい冷徹さと無邪気さをよくあらわしているし、
この作品は何度見ても飽きない、映画は楽しい。

5