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ディパーテッド

ディパーテッド 映画

ディパーテッド

「THE DEPARTED」 (2006年 米)

監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ マット・デイモン ジャック・ニコルソン マーティン・シーン アレック・ボールドウィン ヴェラ・ファーミガ マーク・ウォールドバーグ


インファナル・アフェア」を名作だと思っているので、リメイクしたこれを見るのを先延ばしにしていた。
ところがほとぼりも冷めたのか、娯楽映画、サスペンス、アクション好きとしては見ないといけない、見たい病が高じてとうとう見てしまった。


犯罪者や社会的脱落者の家族の中で育ったビリー(ディカプリオ)はしがらみから抜け出るために警察官になることで人生の新たな目標を得ようとしていた。
一方、ボストン一帯を仕切るマフィアのボス、コステロ(ジャック・ニコルソン)に可愛がられて育ったコリン(マット・デイモン)も警察官になる。

二人は優秀な成績で卒業し、ビリーはコステロの元に潜入して警察のスパイになる。
コリンは警察内部ではエリートの部署であるマフィア捜査撲滅チームに配属されるが、コステロの指示通り警察内部の密告者になる。


151分という長編だが、オリジナルの「インファナル・アフェア」3部作を凝縮したストーリーなので、どうしても肌理の荒さが目に付くのはいたし方ないが、オリジナルと比べなければ十分面白く出来ていた。
また比べながら見るのも面白く二時間半があっという間に過ぎた。

ディカプリオの外見の泥臭さと内に秘めた正義感、マット・デイモンの一見スマートで知性的な外面に比べ内にある育ちの悪さ、善悪に関する曖昧さがよく現れていた。
ディカプリオに好意的な評が多い中マット・デイモンには辛口の評を読んだが、彼の持ち味のよさがよく出ていると思った。
勿論ジャック・ニコルソンの一見無邪気に見える行為の後ろにあるマフィアの残忍さも顔を見ただけで感じることができるし。

ディカプリオはを初めて見たのは「ギルバート・クレイブ」の障害を持つ弟役だったが、非凡な才能だと思った、その後「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「アビエイター」などで次第に重厚な雰囲気も身につけてきている。

マット・デイモンは特異なキャラで性格俳優かと思っていたが「ボーン・アイデンティティ」「ボーン・スプレマシー」など面白い作品を見たし、その他のアクション映画も面白い。

ただこの映画を見て思うことは、香港のアンディ・ラウにしても、トニー・レオンにしても二人のキャラクターは大違いながらそこはかとない色気のようなものがある。
ディカプリオやマット・デイモンにはそれが感じられないところが、精神科医のさびしげな女性と(どういうわけか二人ともに)絡んでも何か空回りの感が否めない。
トニー・レオンが精神科医にかかるのは理解できるがディカプリオが医者に行くのは唐突で一言二言説明があるがここで何かを感じさせるのは無理。
無理やりはめ込んだ配役のように馴染めない、まだ゙アンディ・ラウの婚約者のほうがストーリーとのかかわり方に深いものがある。
リメイクながら上司の口汚さや、思いやりのない罵詈雑言は必要なのだろうか、これがお国柄か、あまり本筋には関係なくて後味が悪い。ウォン警視の役柄はどこに行ったのか配役を分散してしまったらしい。これでは大切な彼の殉死というエピソードが生きていない。警官になるまでのいきさつやお互いの役割が分かれるところもこれでは分かり辛いだろう。
作品の本質の違い(二人の苦しみ)をあれこれ言っても仕方がないことで、文化の違いを比較してみることも面白いかもしれない。

「DEPARTED」という題名は抽象的なものかと思ったらそのものズバリだった。
こんな風に変わったところからもう最後が読めるようで、こういったカタルシスを設けて話の締めくくりにしたのもハリウッド的でうなずけるが、オリジナルをしのぐ作品にはならなかったところが残念。
アカデミー賞に少々疑問も残る。