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わらの女



カトリーヌ・アルレー

わらの女。つまらない女、犯罪に巻き込まれてもなすすべの無い女。

世界のミステリの名作というと上位にランクする、完全犯罪小説。アルレーは1956年に発表したこの作品で一躍世界に知られるようになった。

彼女は新聞広告で、半身不随で気難しい億万長者の老人の世話係りに採用される。秘書は全ての手はずを整て待っていた。
秘書と老人のいる船に乗り込む。

老人に気に入られて、結婚した。莫大な遺産が転がり込むはずだったが。
身寄りない老人は先に財産を寄付する遺書を書いていたが、それを妻に変更した。
だが急死したため,遺産相続の手続きが間に合わなかった。
遺言の効力が発生するまで死んだ老人を老人は生かしておかなくてはならない。
遺体を下船させて家に運ぶ。緊張感のある場面。
しかし、警察がかぎつけ、彼女は拘束されて、尋問を受ける。
結婚前に秘書の養女になっていた。秘書は娘思いの父親だった。
彼女は、老人の死を狙った財産目当ての打算的で冷酷な女ということになり、世間の非難を一身に受ける。

動機や行動が全て不利に働き、彼女の発言は心境の乱れで、辻褄が会わない虚言と見なされ,ついに法廷で裁かれることになる。

罠にかかって、身動きもままならない。こうして完全犯罪の犠牲になって命を閉じる。

犯人の長い間に練りに練った巧緻な犯罪が成功する。

新訳が出ているが、本棚にあった少し古い訳だったが、追い詰められていく女の進退窮まった閉塞感は重く、どうあがいてもほころびがない犯罪計画に追い詰められる女、と言う設定がスリルもあり、スピード感もあるさすが名作だった。


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