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ネジマキ草と銅の城



パウル・ビーヘル

子供の頃こんなお話の本があったら何度も何度も繰り返して読んだことでしょう。
こちらの書評を読んで、さっそく読んだ。おまけに二度も読んでしまった。

こんなに楽しく温かく、美しいお話に出会って読めたことがとてもうれしかった。

もし1000年生きることができたら、このマンソレイン王のように銅のお城で一人ぼっちになってもかまわない。こんなに次々に優しい動物がお話を持ってきてくれるなら。1000年後だしなんて思ってしまったほど。
ひげの中に潜って心臓の音を聞いてくれる優しい野ウサギがいて、壊れた心臓のねじを巻くために薬草のねじまき草を探しに行ってくれるまじない師がいるなら寂しくないかも。

まじない師が王様の寿命を延ばすネジマキ草をさがしに行く道で、出会った動物たちに王様にお話をしに行ってくれるように伝えた。

夜になって、オオカミが来た。そしてこだまの魔女と闘った話をした。その時脇腹の毛をむしられから今も毛が生えていないけれど。
次にリスが来た。
砂丘ウサギもきた。遠くから聞こえる「大きなザブーン」を兄ちゃんと聞きに行った。危険だと言われていたが兄ちゃんは「大きなザブーン」の近くまで行って帰らなかった。
カモもヒツジも来た。
羊飼いは羊の毛を背中で二つに分けて櫛できれいに梳かして王様に挨拶をした。
毛の中から小さなハナムグリが顔を出して、玉座の背中に乗せてもらって、蜘蛛と花の話をした。
カモが満月の夜にしか咲かない、ねがい花の話をした。
ライオンが来た。時間をくみ出す魔女のポンプの話をした。ライオンは魔女に働かされて命が尽きたが、天使が王様のところに連れてきてくれたのだった。
馬もきた。3つの頭があるドラゴンも来て、かわいい舌足らずで話をした。
畑ネズミと町ねずみがきてネズミの歌を歌って大うけした。
ツバメは、魔法使いのお父さんとわがまま娘の話をした。
ロバが来た。かわいそうなロバは素敵な帽子を風に飛ばされたので、お嫁さんが来なくなった。今も帽子を探している。あれがあれば結婚できるんだよ。
小人アノールは古い話をした。昔、小人たちは二派にわかれて争った。若いマンソレイン王と13人のイドゥールは暖かい国にのがれ銅の城を立てた。
広間に立てた千本のろうそくが燃え尽きようとしていた。千年の寿命。一本のろうそくが届けばまた千年の寿命がはじまる。

そこに火のついたろうそくが運ばれてきた。まじない師がねじまき草を煎じて持ってきた。

まじない師は北の高地から薬草を持って帰った。途中で小人に出会って、銅の城がどうしてできたのか伝えてくれるように頼んだ。

なんて素晴らしい話でしょう。広いお城で暮らすことになった動物たちの話も夢や暖かい思いやりを伝えてくれる。昔々銅のお城に住んでいた王様と動物たちのお話だった。
忘れていた、村上勉さんの挿絵もピッタリでとても素晴らしい。


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