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ヒトリシズカ



誉田哲也

題名と表紙の清楚な花を見、作者にも関心があって読んでみたが、多くの代表作に比べて、少しライトな感じがした。

誉田哲也さん得意の警察小説から幕を開けるが、一つの事件が解決したかのように見えて、その背後にいる影が姿を現し、続く事件が次第に怪奇な様相を見せてくる。そんな連作短編がそのうち最後に繋がる構成が面白い。

題名は漢字になるとホラーじみているかも。

闇一重
小金井交番の管内で銃による死亡事故が起きた。被害者は組員で、少女を集めて、薬を使い売春をさせていた。しかし銃痕に不審な点があった。一度止まった銃弾が心臓まで押し込まれた形跡が見つかったのだ。
現場から逃げた男が逮捕された、だがそこにひとりの少女がいた。調べが進んでいくと、その子は現場捜査に加わった警官が世話になった上司の娘らしい。彼女はその前から家出して行方不明になっていた。
この件については、何も聞かず見なかったことにしてくれ、警官仲間はそういって頼んだ。

蛍蜘蛛
梅島の路上で刺殺事件が起きた。西新井署の巡査二人も捜査本部を手伝うことになった。巡査の山岸はストーカー相談を受けたことがあった。相談に来たのは、彼の行きつけのコンビニ店員で、ストーカーというのは死んだ男だった。だが再度の聞き込みをすると、コンビに店員はすでに姿を消した後だった。一方少女と居たと言うアリバイが崩れた、水野と言う男が犯人に挙げられ自殺。

腐屍蝶
警察官をやめて探偵になった青木のところに、伊東と言う男が家出した娘の捜索を依頼してきた。しかしその娘は市原市の山林で白骨化していた。一方、家出人のサイトで娘の写真を見た西新井署の山岸巡査は、コンビニで働いていた澤田と言う娘が家出した伊東静加に似ていると思った。一方青木は女に浮気調査を頼まれた。相手の南原は組員崩れの不動産屋で、青木は追跡中に見つかってしまった。

罪時雨
伊東が行きつけの理髪店のインターン(深雪)が、DV被害にあっているという、聞いてみると若く見えた彼女には内縁の夫がいて、若いときに生んだ娘もいるという。その同居人が刺されて死んだ。そのとき八歳になる娘が通報してきた。時が経ち、伊東は深雪と結婚した。

死舞盃
南原が撃たれて死んだ。組のフロント企業だった南原が銃と薬を奪ったのが元で襲われたらしい。内通してきたのはアキという女だった。捜査をしているうち青木という探偵の行方も明るみに出た。

独静加
死んだ女性の戸籍が使われていた。容疑者を逮捕したが、彼女には子供がいた。

これはネタバレになりそう、というか少しネタバレ
優しい花の名前がついた題名で買った本(こういうのをジャケ買いというのかな)が、犯罪小説だった。まぁ誉田さんなのでコレもいいかなと。


お気に入り度:★★★☆☆
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