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ミランダ殺し



マーガレットミラー

「カリフォルニアのとあるビーチ・クラブに展開する恐ろしくもユーモラスな悲劇の結末。鬼才の異色サスペンス」

と言うのを読んでみた。

町の裕福な人が利用する会員制のクラブにいる一癖ある人たち。
税金の使途が気に入らないと手紙を書き続けている老人。今で言う強硬なクレーマー。
9歳にしては悪知恵の働く少年、手に負えない姉妹などの常連がいる。
その中には亡き夫の遺言の認証を待っているミランダがいる、それがこともあろうに、プールの監視員を連れて失踪してしまう。

そこに遺言書の認証手続きを任された、弁護士のアラゴンがくる。
ミランダはどこへ行った。彼は仕事を終えないと帰れない。
ミランダは若さを保つために、怪しげな病院で山羊のリンパ液の注射を受けていたという。
世を忍んで不思議な治療をする不思議な病院があるそうだ。
そうならと、彼は彼女が隠していた行き先をすぐに突き止めてしまう。

ミランダはプールの監視員から愛されていると自惚れていた。
案の定、彼はミランダの買い与えた高価な車に乗って消えてしまう。

クラブに舞い戻ったミランダは、夫が裕福ではなく大きな負債を抱えていたことを知っていた。
もう金も見栄もない、クラブにいることはできない。

切羽詰まったところにわたりに舟。会員の海軍准将から、子供に礼儀作法を教える家庭教師を頼まれる。
彼女が住み込んだ家で、准将の妻が死に、後釜を狙ったかもしれないと真っ先にミランダが疑われる。

暇と金のある人たちの中にいるにはいるが、じつは暇も金も無くその日暮らしのために悪知恵をフルに使って生きている人々。その中でおきた犯罪は、浮世離れのした面白い展開になる。

弁護士のアラゴンはミランダの遺産相続手続きが無事すまないと帰れない。
窮した彼は混乱の中で秩序を見つけようとする。

おかしなおかしな小さな世界、富裕者の集まるクラブは一皮むけばこんなもので。
筆致が機知に飛んで明るい。「ミランダ殺し」この題名がいい。ミランダは殺されるのか。殺したのか。
解決は意外な方向で、と言うか少しは予期される結末で、軽いがよくできている、作風に好感を持って楽しく読み終えた。


お気に入り度:★★★★☆
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