キースピータースン
記者ウエルズ・シリーズの4作目、これで取りあえずシリーズが終わる。構成で見ると、粋な書き出しで話の導入部からとても面白い。
先の情報屋の一件で編集長が変わり、アイビーリーグ出身の、元気のいい気の強い女性がやってくる。
体制が変わると、浮かぶ人も沈む人もあるという好例かな。
仲間のランシングやマッケイも大喜び。
肺がんで死を前にした元警官が、ウェルズに告白をする。
15年前にチンピラを殺して、工事中だった校庭に生き埋めにしたのは、ヤクザ仲間ではなく二人の警官だという。
そのうちの一人は以前、無実のウェルズが一方的に容疑者にされた時(二作目 幻の終わり)取調べで暴力を振るわれた相手だった。
ウェルズはそのときの復讐心もあり、悪徳警官の殺人事件を明らかにしようとした矢先、部屋に押し入った暴漢と揉めて、突き上げたこぶしで殺してしまう。
ウェルズは罪の意識に悩む。
悪徳警官ワッツは自己防衛とウェルズに対する憎悪のために彼を殺人罪で逮捕しようとする。
大きな警察機構の波が押し寄せる中で、行き詰ったウェルズは捨て身で調査を始める。
今までのもの柔らかさは、ハードボイルドに姿を変えて、彼はどうなるのか、随分ハラハラさせられる。
途中には、最終回にふさわしいちょっといい話もあって、このスリルとサスペンスがてんこ盛りの話も一区切りが付く、これはこれでいいかなと、落ち着いた。
調べてみるとキースピーターソンはほかにも面白そうな作品がある。
弟と合作で出した、マーガレット・トレイシー名義の『切り裂き魔の森』でMWA賞
本名のクラヴァン名義では『真夜中の死線』が圧巻とか。 これをメモしていずれ。
お気に入り度:★★★★☆
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