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グラン・トリノ

グラン・トリノ 映画

グラン・トリノ

監督・製作:クリント・イーストウッド

出演:クリント・イーストウッド ビー・バン アーニー・ハー クリストファー・カーリー コリー・ハードリクト ブライアン・ヘーリー

 

クリント・イーストウッドが監督としても俳優としても最高傑作だと賞賛されている映画を見てきた。

 

 アメリカの中西部のありそうな日常生活が描かれています。そこに住んでいる孤独な老人も身近にいそうな存在です。ただ近所はアジアの人たちが多く住んでいるところで、偏屈で固定観念に縛られた彼は周りから孤立していて、二人の息子の家族とも理解しあうことが出来ません。 ところがそこで隣の男の子と知り合うことで、変わっていきます。

晩年を迎えて、過去の出来事が、硬いトラウマになっていることをひた隠しにしていた老人の心が、次第にほどけて行く様子が感動的です。 彼の心に硬いしこりになっているのは、戦争という名前で許されてきた出来事が、多くの人にとっては犯罪とは呼べない、多くに人にとっては、戦いに勝つための手段だったと、忘れ去られていくようなことなのです。

しかし彼は戦いの後、勲章を貰ってはいますが、そのことから逃れることが出来ないでいました。彼がやっと心を開いて、教会に行き神父に懺悔したことは、思えば些細な出来事ばかりでした。 しかし彼は、ついに戦争で犯した罪を贖おうとします。 誠実さとは目に見えない心の奥底にあり、人の孤独というのは年とともに深まっていくことを思い知らされます。

彼の晩年には、理解できないと思えた異民族にも、習慣や人種を超えて暖かい人間性を理解し合えることを知り、そんな心の変化を受け入れたこと、暖かく周りに迎え入れられたことなどで、次第に気持が豊かになっていったのでしょう。 イーストウッドは78歳になったそうで、この役は彼の年齢と人生観にも深い関わりがありそうです。 深く考えさせられるいい映画でした。

イーストウッドの映画は、「ミリオンダラー・ベイビー」が一番だと思ってきました。評判ではこの作品に一歩譲るようですが、しばらく時間を置いて考えます。 映画ではありそうにない出来事を在りそうに作るものだと思います。現実はもっと奇異なものかもしれませんが、普通はそんな場面に身をおくことはありません、クリントイーストウッドはそんなありえないようなことでも綴り上げて普遍的な人の心に迫り、違和感を覚えさせず感動を与えるいい監督だと思います、この素晴らしい脚本と映像には拍手を惜しみません。

 

GRAN TORINO 2008年  アメリカ

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