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エリザベスタウン

エリザベスタウン 映画

エリザベスタウン

「Elizabethtown」 (2005年 米)

監督・脚本:キャメロン・クロウ
製作:キャメロン・クロウ トム・クルーズ ポーラ・ワグナー
出演:オーランド・ブルーム(ドリュー) キルスティン・ダンスト(クレア) スーザン・サランドン(ホリー) アレック・ボールドウィン(フィル) ジェシカ・ビール(エレン)


現代の社会では似たような出来事はあるにはあるだろうけれど、実際にはこんな話はありえないと思うので説明不足というか手抜きと言うか疑問符だらけ。
始めからお伽話かもという積もりで見れば結構楽しめる。
音楽は監督のこだわりでいいし、キャストも魅力的で実力があり、風景も美しい。
これで何が在り得ないかと言うと、それはないだろうというストーリーが満載の脚本に大いに問題があって、見始めはちょっと気分が覚めてしまう部分がある。
オーランド・ブルームのファンででもなければお勧めできないのが残念。
若者の精神の喪失と再生の物語ということになってはいるが。期待外れだった。 


靴のデザイナーであるドリューは自分の開発した新製品で会社に10億ドル近い損害を与え、クビになってしまう。
失意の彼は自殺をしようと思うが、そのとき父親が故郷のエリザベスタウンを訪問中に心臓発作で亡くなった知らせが入る。
長男のドリューがそこで葬式を行うことになり自殺は一時お預けにして出かけることになる。
都会暮らしの彼は疎遠になっていた父にあまり親しみを感じていなかったのだが、
素朴な人々に迎えられ昔話を聞かされ次第に馴染んでいく。
そこで世話好きのクレアとも出会いお互いに惹かれていく。
家族は両親の結婚を期に故郷から出て行っていたのだが、エリザベスタウンの墓地に葬られる夫や父親を送るために一家で故郷を訪れる。
過去のしがらみを越えて、懐かしい田舎町の人々と再び巡りあうことになり、なくなった父がなぜ故郷をたびたび訪れていたかを理解することが出来る。
ドリューはクレアに勧められて車で長い道のりを帰路に着く。
クレアの作った地図と、ドライブ音楽のCDを旅の伴にして走る間に、彼は心の傷が癒され新しい明日へ踏み出す勇気を与えられる。


というお話なのだが、導入部で彼がなぜクビになったか。
靴が売れなかった、返品の山になったという、社長(フイル)は社屋の内装に莫大な金をかける幼稚な経営者だが、プロジェクトの失敗を彼一人に負わせなおかつ新聞種になることにも無関心と言うのは考えられない。
故郷の人たちは最初は多少のこだわりはあったもののすぐに打ち解けて許してしまう底抜けのお人よし。
世話好きのクレアは仕事の休みとはいえ、ドリューの行く所にタイミングよく顔を出す、
恋するものの直観かも知れないが、都合よすぎて少し笑ってしまう。
最期たった6日間の滞在中にあんなに細かい心づくしの詰まった地図を作るなんて神業にも等しい、選曲はまさにピッタリでドライブを盛り上げるが彼女がいつの間にあれを選んだのかななんて、素直に楽しむには少し辛いかな。
でもまぁ 悪気のない暖かいお話なので見終わったあとの気分は悪くない。
大目に見て傑作と言うのは大袈裟だがいい映画だったという人がいてもおかしくはないけれど。
オーランド・ブルームの現代劇は始めて見たが、やはり彼はロード・オブ・ザ・リングのレゴラスが一番いい。
パイレーツ・オブ・カリビアンは大成功だが少々汚い(笑)
キングダム・オブ・ヘブンも悪くないが悲しいかな脚本が良くなかった。
この映画の見所はスーザン・サランドンの習い始めということになっているタップダンスを披露しながらの語りだろう、さすがに圧巻、夫を失って奇行に走っているように見えたところが深い意味を持っていたという感動的なシーンで熱演する、一部聞いていてむず痒くなる部分があるがこれも脚本のせいにする。
まだ他の映画を撮影中だったオーランド・ブルームを待ってまで彼を主役にしたというが、
アイドル映画になりかねないところが、「あの頃ペニー・レインと」というなんか懐かしい自伝的ないい映画を撮ったあの監督かとちょっとガッカリ。
やはり映画は真面目に納得のいくものを作って欲しいし、内容には多少の厚みも必要というのが結論。

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