THE LIFE OF DAVID GALE」 (2003年 米)
監督:アラン・パーカー
製作:ニコラス・ケイジ アラン・パーカー リサ・モラン
脚本:チャールス・ランドルフ
出演:ケビン・スペイシー(デビッド・ゲイル) ケイト・ウインスレット(ビッツイー) ローラ・リネイ(コンスタンス) ガブリエル・マン(ザック) マット・クレイヴン(ダスティ) ット・クレイヴン(ダスティ) ケイト・ウインスレット(ビッツイー) ローラ・リネイ(コンスタンス) ガブリエル・マン(ザック) マット・クレイヴン(ダスティ)
ジャンルはミステリーになっているが多分にサスペンス色の濃い作品。
米国で一番死刑が多いというテキサス州が舞台で、死刑反対派のデビッド・ゲイルと、
同僚で同じ活動をしてきたコンスタンスの話に、ジャーナリスト(レポーター)のビッツイーと新入りのザックが絡む。
デビッドはハーバードを主席で卒業し、27才でテキサス大の心理学の教授になった秀才で、
社会的にも認められたリベラリストである。息子と妻がいるが妻とはうまくいってない。
卒業点の足りない女生徒に点数を与える交換条件として関係を迫られるが断る。
その結果卒業できなかった女生徒にパーティーで出会い誘惑に負けてしまう。
女生徒の訴えで強姦したということになり、地位も名誉も失ってしまう。
その前に、死刑廃止についてのテレビ討論会があり、その席でデビッドは知事の発言を抑えて、
強引な口調で、さまざまなデータを元に死刑廃止論をまくし立てる。
そこには知識人としてのプライドと傲慢さが見える、こういったシーンは彼を通俗的な知識人として
伝えようとするなら、その後の行為すべては彼の意に反した俗物としての
彼の生き方であったといえるが。
そこで、「では今まで冤罪で死刑にされた人があれば具体的に名前を」という質問に、言葉に詰まってしまう。
公衆の面前で恥をかいたわけで、さらっとしか触れられてないこの場面があるいは、デビッドにとっては重いしこりになったのではないだろうか。
同僚で活動家のコンスタンスがキッチンでポリ袋をかぶせられて窒息死する。
多くの証拠を残したデビッドが逮捕され、その残忍で悲惨な殺し方に加え、前の強姦罪の記憶もあって死刑の判決が下りる。
7年後、記者のビッツイーが指名され、デビッドにインタビューをするために彼が
収監されている刑務所に出かけることになる。それは死刑執行の4日前。
一日おきに二日、前日、と3日間で二時間ずつデビッドの話を聞くことが条件になっている。
ビッツイーはこの有名な事件で、すでに刑の確定したデビッドには悪感情しかない。
そして 回想シーンも交えてデビッドの話が始まる。
この映画は、死刑についてどうあるべきかというテーマに沿ったものではない。
あくまで、デビッドの話を時間を追って見ながら、結末がどうなるのかという楽しみで見る映画である。
一種の謎解きの面白さと、死刑執行の時間が刻々と迫る中で、
ビッツイーとザックが巻き込まれた状況をどう切り抜けるかハラハラする。
周りの人物が思いが けない動きをはじめる。
最初にいくつかの伏線もある。無能な弁護士、コンスタンスと活動を共にしてきた崇拝者、愛する息子、別居中の妻なども重要な人物で 話が複雑になる。
まったくよく出来たストーリーで、登場人物の中で誰が書いた筋書きなのかということもあるし、
最後の場面では手に汗を握る。
ケビン・スペイシーはこんな悲惨な暗い役がよく似合う。「アメリカンビューティ」も素晴らしかった。
ぱっとしない風貌で俳優らしくないが、スマートにもセクシーにもなる。
ビッツイーは「タイタニック」で手を広げたローズのケイト・ウインスレット。